故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

本質

2023-08-16 04:17:12 | プロジェクトエンジニアー

この物語にあう絵はこれしかないでしょう。
タイトルは、「ぴょんぴょん」です。
かくありたい。


朝顔に つるべを与え 露を飲む

高校生の時、生物と地学が好きでした。
サッカー部に入っていました。
勉強するのは、往復のフェリーだけでした。
授業中は集中していました。
素敵な女性の横顔を見ることができ、寝る暇もなかった。
ノートを見て、その日のうちに習ったことを復習する毎日でした。
私のノートを後輩が貸してくれというので、貸しました。
仲間内で回したまま、帰ってきませんでした。

エンジニアリング会社に入り、議事録を作るために先輩と後輩のノートを借りました。
先輩のは、決まったことだけ数行でした。
後輩のは、発言を余すことなくびっしりと書いていました。
役に立ったのは、数行のほうでした。

今日のタイトルは、「本質」です。
会議で、最初に発言する上司。
自分の番が回ってきたときの準備に追われる部下。
困ったことに知恵を出し合ったり、戦略を練る会議ではありませんでした。

上司は、どこか(部下のアイデア横取り、新聞など)で借りてきたアイデアを開陳していました。
上司の発言で、会議の議事録は出来上がりました。
後輩は、ホームラン競争のでっち上げに心血を注いでいました。
長い会議は、無駄の一言でした。
後に、廊下で立ってやった、朝15分だけの会議のほうがよっぽど役に立った。
案件(毎日動く)ごとに、営業、設計、サービス、管理と社長が時系列と内容を追いました。

私は転職を繰り返しました。
元いた会社に2度出戻りました。
元居た会社から見れば、丁稚奉公に出したようなものでした。
実質3社で30年働きました。
転職したために、文化の違い、地球規模の異なる風土を見ることができました。
部下のアイデアと働きをわがものとし、のさばっていく同僚や先輩を見てきました。
ひたすらイエスマンの後輩(ノート馬鹿)も見てきました。
多くの者が仕事よりも出世でした。

転職することで学んだことは、「倫理的経済学」でした。
相手のことを考え、自分も得をする方法です。
ある工場の部長のゴーストライターをし、その報告書のチェックを本社の課長から依頼されました。
私が書いた報告書(名前だけ違う)を見て、「よくできてる」と言うしかありませんでした。
「あんたは馬鹿か、鈍いのか」と、なんとかして私を追っ払おうとする社長に食らいつきました。
社長は営業品目にない難題を持ち掛け、私が調べ上げて応える日々でした。
最後にはスカウトされましたが、実現しませんでした。
提出した見積書のヒット率は5%で、残りの95%(無理難題)は各社共通の悩みでした。

「飲む打つ買う」から脱却できない性と煩悩に、一瞬の悦楽を見つけるものの、後に来たつけに苦しみました。
綱渡りのような長い時間を過ごし、酸っぱいものをいっぱい飲み下しました。
2勝ゼロ敗はかなわず、1勝1敗がせいぜいでした。

きらびやかなきれいごと(鎧)は必要なく、数行の決まり事(羽)だけで過ごすようになりました。
なんと心地よいことか。
生きるから生かされているに気持ちが変わり、「させていただきます」と謙虚に生きていきたい。
かなわぬ夢ですが、フットワークだけは軽くなりました。

2023年8月16日
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