楽園は 苦労した者 おぼろげに
今日のタイトルは、「耕作放棄地の草刈」です。
3時に目が覚め、二度寝したら置き引きされた夢をみた。
入学の手続きのために上京した。
東京発の始発に乗って、帰宅ラッシュにぶつかった。
サラリーマンが、つり革にぶら下がりながら単行本を読んでいた。
受験の時も泊めてもらった、荻窪にいる友人の下宿に世話になった。
翌日、国分寺までの切符を買い足(西荻窪迄乗車券で足りた)そうと窓口に行った。
足元に置いた大きなバッグが2つともない。
私のバッグを持ったおじさんが、上りホームの方に曲がるところが見えた。
「それは、僕の荷物です」と私は言い、「ああ、そうか」とおじさんは返してくれた。
国分寺駅前で、今晩泊まる宿を交番で聞いた。
教えてもらった道順に進んだが、迷った。
後ろから来たOL風の女性にホテルの場所を尋ねた。
「お一人でですか」と妙なことを言われた。
100mばかり一緒に歩き、ホテルに着いた。
ラブホテルだった。
波乱な学生のスタートが、これでした。
半世紀経ち、私は実家の耕作放棄地に居た。
草刈り機では、立ち枯れした1-2m高の草を刈れないと気づいた。
草の大半が、衣服に付く種を持つ草だった。
剪定ばさみで切ることにした。
上から順に鋏を入れ、切り倒していった。
何万回、鋏を動かしただろう。
種が頭から降ってきた。
軍手は、生地が見えないくらい種でハリセンボン状態になっていた。
取るのをあきらめ、七輪の火に軍手を脱いで投げ入れた。
今朝は、身体の節々が痛い。
久しぶりに腰も痛い。
東北でも広島でも耕作放棄地の草や木を刈ってきた。
始めの時は、いつも途方に暮れる。
何か月かやり続け、苦労と刈る前の風景を忘れる。
「昔からこうだった」と悦に入る。
二度と戻りたくない学生時代も、明日はないかもと冷や冷やだった会社員時代も、
家宅の人状態の家庭も、今は昔話。
笑い話に変わるまでは、今少しかかるだろう。
2023年1月21日