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楽しんでこそ人生!ー「たった一度の人生 ほんとうに生かさなかったら人間生まれてきた甲斐がないじゃないか」山本有三

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     ・おくのほそ道を歩く

ブーメラン(オーストラリア紀行 最終章)

2012年09月20日 10時29分14秒 | 海外旅行1
(ブーメラン)

子供の頃、江戸川乱歩が書いた、シドニー、メルボルンを
舞台に妖怪が出てくる探偵小説を読んだ記憶がある。

ついこの間まで、オーストラリアの首都は、
メルボルンであると思い込んでいた。
メルボルン・オリンピックの所為だ。
ところが、シドニーでオリンピックが開催されるや、
なんだ 首都はシドニーだったかと考え直した。

そしてオーストラリアを旅するに当たって、
最初に着陸する空港がブリスベーンで、
ここが首都であることを知った。
地理に疎いボクの知識はこんなところである。

着陸したブリスベーンの街に入って、
すぐ朝食の時間になる。
一寸街に入ったら、川べりに出た。
はるか向こうに熱気球がいくつか空に浮かんで、
ゆっくりと進んでいる。
その川べりの東屋ですこし休憩しようと思ったら、
先客がいた。
ホームレスである。

文化の進んだ白人社会にホームレスがいるとは、
思いもよらなかった。
この時がアメリカ以外の国への、
初めての海外旅行であったので、
驚きは大きかった。
第一日本が世界第二位の経済大国であるなど考えもしなかったから、
白人社会のホームレスも予想外の出来事であった。
オーストラリアの旅はこんな出来事からスタートした。

オーストラリアは御承知の通り、羊の国でもあるので、
ツアーの中に農場見学、羊の毛刈りのショウも入っていた。
グリーン農場と名の付いた農場で、昼食とブーメラン飛ばしと
羊飼いの羊の柵への追い込みショウが、
今日一日の予定になっていた。

昼食を早めに食べ終えて、
農場に出ると数頭の犬が鎖に繋がれている。
いかにも精悍な面構えである。
こんな精悍な犬に吠え立てられたら、
羊も怖くて逃げ回るのも当たり前と思っていた。

犬よりもさらに精悍な面構えの、
羊飼いのお兄さんが、
革のジャンパーに皮のズボンをはいて、
手にはブーメランを持って、
幅広のカウボーイハットをかぶり出てきた。
近くに来ると背の高い手のひらの大きい、
そのカウボーイのごつごつした手の指には、
ごつい塊の銀の指輪が入っていた。

唇に指を当て口笛を吹くと、何処からともなく一団の羊が
音もなく近寄ってきた。
もう一度口笛を吹くと、羊たちの後ろで犬たちが大忙しで
駆けずり回っているのが見える。

次の口笛で犬たちは伏せをした。
そこで羊飼いのお兄さんが説明をする。
口笛の吹き方で、伏せ、右回り、左回り、
と言うように、犬に命令をします。
犬に追いかけられる羊たちを、
必要な柵の中に追い込むためです。
牧童の口笛に従って、犬たちは右往左往する。
説明は英語だ。
カミサンに何をしゃべったか話してあげる。

ボクは当初、
犬たちは自らの考えで各々協力し合って、
柵へ羊を追い込むものと思っていた。
主人の意向を汲んで、
犬たちが勝手に動くはずは無く、
考えてみれば牧草地はいくつもあって、
牧草を食べつくすと次の牧草地へ移動するのであるから、
次は何処と犬たちに分るはずも無い。
それにしてもよく飼いならされた犬たちである。

一団の羊たちが柵に追い込まれると、ブーメランを飛ばす。
飛ばしたブーメランがまた自分の手元に戻ってくる。
これは移民したイギリス人が、
本国で飛ばし方を習ってきた訳ではない。
もとはというと、オーストラリアに居住していた先住民の
アボリジニが行っていたものである。


(ブーメラン)

それを移民してきたイギリス人が習い覚えたものである。
早稲田大学の物理学教授の話によれば、
空体力学から簡単に解明出来るそうだが、
飛ばす物体の空気抵抗力、浮揚力を利用しているから、
吹いている風に向かって約45℃の角度で投げると、
物体は飛んでいって戻ってくるらしい。

その旅行の時期、ちょうどボクは、昔は40肩、50肩と言い、
今では栄養事情がよくなったのか、60歳頃になると起きる
肩の上げ下げさえ覚束ない痛みに耐えていた時期であった。

今では60肩。それがすこし良くなった時期であったが、
ブーメランくらいは飛ばせるものと思っていた。
「誰か、やって見ませんか?」と言われて、すぐ飛びついた。

しかし、肩の痛みは思ったほど好転していなくて、
残念ながらブーメランを飛ばすどころか
地面に叩きつけることになってしまった。
意気揚々と名乗り出て、
カミさんに良いところを見せようと思ったのに、
無残な姿を披露して、
みんなの失笑をかってしまったのは、
いかにも残念であった。

ボクが悔しがっているのを見て、
そっとなだめてくれたのはカミサンで、
持つべきものは、気の効いたカミサンにしかず、
そう思っているから、世界へ旅立つことが出来ている。

悔し紛れに、日本に帰ってから、
もう一度チャレンジするつもりで、
自分へのお土産にブーメランを買ってきたが、
ついに飛ばしたことも無く、
今では本箱の上で埃を被っている。

(おわり)
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ロブスターディナー(5)

2012年09月17日 10時05分58秒 | 海外旅行1
(ロブスター)
その夜は、ロブスターディナーと名づけた
旅行社御自慢のディナーが用意されていた。
料理で有名なフランスでは「オマールえび」と言い、
日本名では「ウミザリガニ」といい、
えびの仲間では最大級とされる。
ちなみに「イセエビ」はスパイ二ーロブスター
(「棘のあるロブスター」)と言うらしい。

ボク自身はエビ・カニの類はあまり好きでない。
ボクに言わせれば、味も素っ気もないからである。
しかし生きているエビとカニを刺身で食べるのは好きだ。
食感がよいからである。

レストランに着くと、一つのテーブルに六組12名が着席する。
ウエイターの方が大皿に生きた海老を一匹乗せて、
六組の皆さんに見せた。
大きなロブスターである。
日本では、海老の大きなものと言えば「イセエビ」であるが、
この海老は実に大きい。背の部分に手を乗せてみたが、
手のひらを一杯に広げても背中を持ち上げることが出来ない。

両のハサミが動いているがこれだけでもカミさんの
手のひらくらいはある。
ボクは大きさにビックリしたが、カミさんは早く食べたいらしく、
もうにこにこしている。

皿が下げられ、12の山に分けられた12人分の刺身と共に
まだ動いている頭の部分が出て来た。
尻尾の部分だけで12人分ある。
ボクたち夫婦を除けば、
あとの五組はそれぞれ新婚さんである。
新婚で胸が一杯なのか、
生ものはお腹に悪いからなのか、
今夜のことが気に掛かっているのか、
新婚さんたちは誰も箸をつけない。
ボクは何十年か前の新婚旅行を思い出したが、
その話はいずれお話したいと思います。


ボクたち夫婦だけが醤油をつけて、
今思い出すとわさびがあったかどうか忘れたが、
オーストラリアのフルーティなワインと一緒に
自分たちの分は瞬く間に平らげた。
美味しいことこの上もない。
こんな美味しいものが他にあるだろうか?と思うくらい。

しかしあとの五組はまだ誰も箸をつけない。
こんな時、年を経た人生経験豊かなボクたちにかかってはたまらない。
皆さんにお尋ねして、残っている刺身を頂戴したが、
さすがに12人分は食べ切れなかった。
 
ウエイターの方が残りを下げに来て、
「この頭と足と手をこれから茹でて持ってきますので、
しばらくお待ちください」と言った。

その後、同席の皆さんに新婚旅行か?
どちらから来たのか?
恋愛結婚か?
お見合い結婚か?などなど、
ねほりはほり聞いているうちに、
頭の部分が茹で上がってきた。

新婚さんの皆さんは殆ど手を出さない。
ボクとカミさんが両の剪部分を採って食べたが、
カミさんの握りこぶしほどの大きさの剪みはさすがに食べ出があった。

ボクの人差し指ほどの太さの海老の足を、
一本づづ取って、皮を剥いてやって、
新婚さんに手渡して、
「美味しいから食べてごらん」と無理やり食べさせた。

すこし食べて、元気を出して、二人だけの静かな夜を
迎えて欲しいからだ。
余計なことだが・・・

それにしても、大きければ大味だと言うのに、
あんなに大きかったのに、
ロブスターの美味しかったこと、
未だに忘れることが出来ない。
世界遺産なんて、くそ食らえ、
これだけのためにもう一度、
オーストラリアに行きたいものである。


(つづく)
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南十字星(4)

2012年09月13日 10時13分08秒 | 海外旅行1
(南十字星)
サザ―ンクロス=Southern Cross
英語はやはりこの方が分りやすい。
「南十字星」のことだ。
昔から日本では外国語に憧れがあるのか、
外国語の使いたがり屋が多い。

サザーンクロスが気になって、
同名のゴルフ場に行ったことがある。
今でもあるかどうか知らないが、伊豆にあった。
ごく普通のゴルフ場であったことを覚えている。

北半球にいる日本人にとって、
「南十字星」は憧れの星座である。
南半球に行ったら何が何でも見てこないと、
話にも何もならない。
しかし期待が大きすぎると、がっかりしてしまうことが多い。

代表的な例が東尋坊。
(その地方の方には、申し訳ありませんが)
写真やテレビ画面で見ると、
すごい断崖絶壁がえんえんと続くように見える。
しかし行ってみると、断崖絶壁はほんの一部しかない。
ツアーには、永平寺がつき物になっているから、
こちらの古刹で我慢することになる。
修行する坊さんの姿、立ち居振る舞い、
毎日の生活などなど興味尽きない。

観光地にはこうしたところが結構ある。
今まで旅して(沢山したわけではないが)案内パンフレットや
ガイドブックを読んで期待して、旅をして、
期待通りであったところは、
カナダとスイス、カンボジアのアンコールワット、
エジプトのピラミッドであった。

南十字星に戻る。
人家が少なく、電灯の光が少ないオーストラリアの星空は、
プラネタリュウムを見ているように、星が瞬いている。
当たり前のことだ。

ガイドさんに聞いたら、すぐに教えてくれた。
ホテルに帰るために乗るバスの横で。

何でバスが出てくるかと言うと、
ガイドさんが指差して教えてくれた。
「真上に見える星がそうです」という。
「どれですか」観光客が集まってきた。
「なんですか?」
「いえ、南十字星がどれだか教えてもらっているのです」
とボク。
「バスの屋根の端にある星を南十字星といいます」
「線を引くと台形に見えるあの四つの星?」とボク。
「そうです縦(たて)横(よこ)に線を引くと
クロスに見えるでしょう」
ボクの想像では、星座そのものは、もっと大きなもので、
輝きも素晴らしいものを予想していたのに、
バスの屋根の端に懸かる四つの貧弱な星。


(南十字星はどれでしょうか?)

バスがなかったら、探すのに時間にして十分以上
かかったに違いない。
手をかざしてみると、なんと手のひらに入るくらいの大きさ。
ボクに言わせれば「なーんだ、あんな小さなものか」
感動も何もありはしない。

カミさんにも教えたが、
どれだどれだと、なかなか分かってもらえない。
そんな星座。
教えてもらわないで、憧れのままにしておいて貰った方が、
よほどロマンティックであった気がする。

(つづく)
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ペンギンパレード(3)

2012年09月09日 10時39分12秒 | 海外旅行1

(ペンギン)

カミさんに急かされて、ペンギンパレードを見に行く。

海岸近くの潅木が密生している場所へ着く。
日本の湿原に在るような板でできた通路があり、
その木道を通って砂浜に出た。

沢山の観光客が波打ち際から
20メートルほど離れたところに蹲っている。
ここでペンギンのパレードが見られると言う。
ボクの好奇心が先ほどからうずうずしている。

どうしてこの海岸でペンギンがパレードするのだろうか?
疑問はこの一点にある。
アナウンスでペンギンが来てもフラッシュをたいて
写真を撮らないで下さい。と放送が繰り返されている。
周りを見ると観光客は殆どが日本人ばかり。
しかも若くて可愛いカップルばかり。
ボクたちのような年配者は殆ど見かけない。

フラッシュと一緒になぜ写真を撮ったらダメなのか、と考えているうちに、
続いてアナウンスがある。
「フラッシュでペンギンが失明する恐れがありますので、
絶対にフラッシュを焚いて写真を撮らないで下さい。」
なるほどとボクも納得する。

陽は殆ど落ちていて、今まで群れを成していたカモメも
姿を消した。

すると海の波に乗って、
白い魚なのか鳥なのか見分けのつかない物体が浮き上がってきて、
うねっている波に乗っている。
やがて波が砂浜に打ち寄せると同時に、
その生き物は砂浜に立ち上がった。

ペンギンである。

写真を撮ってはいけないといわれると、
この貴重な一瞬をカメラに収めたいと思うのは、
カメラを持つものの共通の思いなのだ。
今のカメラは、光が不足すると
自動的にフラッシュを焚くように出来ており、
暗くてもフラッシュを焚かない設定ができるようになっているが、
暗くてその設定がままならないので、
ボクはシャッターをきるのを諦めていた。

すると誰かがシャッターをきったのであろう、
フラッシュが光った。
すると係員が飛んできてカメラの所有者に文句を言っている。
英語だから何を言っているのかわからないが、
注意をしていることだけは、口調でわかる。
当然のことだ。ペンギンが失明でもしたら、このイベントは
永久に中止させられることは明らかだ。
それほど自然を大切にする国だからである。

その一例に、
飛行機から降りて入国する前に、
入国申請書に、今までに日本で農業に従事していたか?
と質問があるくらいだ。
どうしてこんな質問があるのかというと、
靴や衣服に日本の雑草の種などがついており、
それがオーストラリアに落ちて、
オーストラリアの自然を変えることを恐れているからだと言う。

入国審査の窓口についても、
食べ物の持込みについてチェックされる。
持ち込む人と持ち込まない人は、
審査窓口が違っていたように思う。

その昔、イギリス人が移住してきた時、
虫が異常に多かったので、
天敵としての蛙を、イギリスから持ち込んだ。
するとこの蛙が瞬く間に異常繁殖して、
オーストラリア全土に広がり、
生態系を替えたことが悔やまれての措置である。
いまだに蛙は繁殖が続いているらしい。

話がそれたが、ペンギンは次から次へとやってきて、
時には群れを成して、
波打ち際に立ち、列を組んで右側の方へ歩いていく。
右側とは、先ほど注意をした係員がいる
方向へである。

そのあと何処へ行くのか?

しばらくして、ペンギンが砂浜へ来なくなってしまった。
辺りは月明かりで思ったより明るい。
ガイドさんの帰宅の掛け声で、
みんな一斉に立ち上がりペンギンパレードは終わる。
木製の板道を歩きながら、脇を覗いてみると、
何か蠢くものがいる。
暗闇に目を凝らすと、先ほどのペンギンたちである。
思い思いに毛づくろいをしている。

木道の脇のブッシュは、ペンギンたちの棲家である。
彼らが海で餌を取り、巣に戻ってくるところを、
人間様が大勢で見に来ているのだ。
立って歩く珍しい鳥、ペンギンの行動だから見世物になる。
これがカラスの行動だとしたら、
何人の人が見に来るのだろうか?
頭の中で笑ってしまった。

旅はこれだから楽しい!

帰り道で、南十字星がどれなのか教えてもらった。

(つづく)
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ユーカリとコアラ(2)

2012年08月26日 10時16分01秒 | 海外旅行1
(有袋類=お腹に袋を持った動物)

哺乳類の中で有袋類といえば、
最初に頭に浮かぶのがカンガルー。


(交尾しているカンガルー)

オーストラリアでは、放し飼いになっているといえば、
人間が飼っているようであるが、そうではなく野生なのだ。

夜、高速道路に出てきて、車とぶつかる。
体重は何十キロとあるから、衝突した自動車は大破するし、
時には搭乗者が大怪我をするだけでなく、
搭乗者が命を落としかねない。

そこで考えられたのがグリルガード
(ラジエーターグリルの前、フロントバンパーの上につける)が発明され、
取り付けられることになった。
日本では装飾品として取り付けられるが、
オーストラリアでは実用品であり、
命を守るための必需品でもある。

有袋類で有名な動物の第二は、コアラ。
もっとも有名なのが パンダ。
これは中国に住む。

コアラがカンガルーと基本的に異なるのが、お腹の袋の付き方。
カンガルーの袋は上が(親の胸の方が)開いている。
しかし、コアラは下のほうが(親の胸の方は閉じており、
両足の付け根の方が)開いている。
どうして下向きに付いているのだろうか?

(コアラ)

ここからが本題。
コアラはユーカリを食べて生活している。
ところがユーカリは毒性があって、
親のコアラはその毒性を口にしても、
お腹の中で解毒消化している。

ところが、生まれたばかりの赤ちゃんコアラは、
体内に解毒作用をする器官がないか消化酵素が無いか、
いずれにしろ解毒消化出来ないという。
成獣になって、ユーカリの毒素を解毒出来るようになるらしい。

それでは、
「食事をするとき子供のコアラはどうするのか?」というと、
親コアラが採って毒性を消化したユーカリを食べて大きくなる。

つまり、親コアラが食事のユーカリを食べ毒性を
消化して排泄する。
その排泄物を食べるという。
お腹の袋が逆さまに付いている理由がよく理解できる。

子のコアラは親のお腹にある袋の中で大きくなる。
親が食べて、消毒したユーカリを排泄する排泄物の出口から
子供は食事をして大きくなるというのだ。

だから、カンガルーと違って、お腹の袋の出入り口が
逆さまについており、
子のコアラが食事を採りやすいように出来ているのだ。

自然の摂理とはいえ、神様は細かいところに気を配って、
お創りになったものだ。

(つづく)
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