中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「カスハラ」防止条例

2024年02月21日 | 情報
カスハラは、顧客や取引先と直接向き合う従業員が当事者だからと、
直接関係のない経営層のみなさんは、「ひとごと」のように思っていませんか?
経営層のみなさんも、日頃よりカスハラを体験しているはずです。

「カスハラ」防止条例を都が制定へ…全国初、年内提出目指す
2/20(火) 読売

東京都は、顧客が企業の従業員に理不尽な要求や悪質なクレームを突きつける
「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の防止条例を制定する方針を固めた。
カスハラの禁止をうたい、働く人を守るルールを設けることで、
根絶に向けた機運を醸成したい考え。カスハラ防止を柱とする条例は全国初となる。

カスハラは、従業員に土下座して謝罪するよう強要したり、
暴言を吐いて過度な要求を繰り返したりするなどの迷惑行為が該当するとされる。
近年、カスハラ被害を受けた従業員が、心身の不調で離職や自殺に追い込まれるなど、小売・サービス業界を中心に問題化。
都は昨年10月に有識者会議を設置し、対策を検討してきた。
都関係者によると、条例案では、カスハラの禁止を明記し、年内の都議会への提出を目指す。
従業員をカスハラから守る企業側の責務を規定することも検討する。
禁止行為の具体事例は、別途策定するガイドライン(指針)で示す見通し。
また、行き過ぎた迷惑行為には強要罪など刑法の規定を適用できることもあり、条例では違反者への罰則を設けない方向だ。

「女のくせに」と蹴られ
客の立場に乗じた不当要求で、働く人に過度な負担を強いる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。
これまで耐えてきた接客の現場からは、東京都が防止条例の制定に踏み出すことへの期待の声が聞かれた。
首都圏の私鉄に勤務する女性(29)は、人身事故や悪天候でダイヤが乱れる度に、駅の利用客に「どうして遅れるんだ」とどなられ、
ひたすら謝罪するという経験を繰り返してきた。
ホームで客同士のトラブルを仲裁した時は「女のくせに」とののしられ、
蹴られたり、スマホで名札と顔を撮影されたりしたこともあった。
女性は「駅係員も人間だということを忘れないでほしい」と訴え、条例について、
「サービスをする側が『我慢して当たり前』という雰囲気が変わるきっかけになれば」と歓迎する。

「働く人の多くが救われる」
「店員の態度が気にくわなかった」。
東京都新宿区のコンビニ店の男性オーナーは数年前、男性客から受けた電話を忘れられない。
対応した店員に確認したが、接客に問題はなかった。
それでも男性客は「クビにしろ」「(コンビニの)本部に言うぞ」と迫った。
「『気持ち』というものがあるだろう」と暗に金品を要求するような発言もあった。
数十分に及ぶ長電話が3日間続いた後、オーナーが「警察に言います」と告げると、男性客の態度は一変。
「そういうつもりじゃなかった」と電話が切れ、以後、かかってこなくなった。
レジ待ちの客から「早くしろ」とどなられる、外国人店員が差別的な発言を浴びる――。
こうした出来事は日常茶飯事という。
オーナーは「条例がカスハラの抑止力になれば、働く人の多くが救われるはずだ」と話す。

労災認定、10年で89人
国内最大の産業別労働組合「UAゼンセン」が2020年、サービス業に従事する約2万7000人を対象に実施した調査では、
直近2年以内に「迷惑行為を受けたことがある」と回答した人が56・7%に上った。
「2時間にわたり暴言と威圧を受けた」「押し問答の後、いきなりビンタされた」といった事例もあった。
健康被害も深刻で、厚生労働省によると、顧客や取引先の無理な注文やクレームが原因で精神疾患による労災と認定された人は、
22年度までの10年間で89人に上り、うち29人は自殺(未遂含む)していた。
カスハラ問題に詳しい関西大の池内裕美教授は、
「従業員を傷つけるような行き過ぎた迷惑行為は、働く意欲をそぎ、サービスの低下を招く。
さらなる消費者の不満を生む負の循環に陥り、社会にとっても損失だ」と指摘。
「多くの人に理解を深めてもらうためにも、都はどのような行為がカスハラに該当するのか、わかりやすく示す必要がある」と述べた。
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教員の待遇改善の入り口

2024年02月20日 | 情報
教員の待遇改善の入り口は、一般の労働者と同等の給与体系の見直しでしょう。言い換えれば、残業代を認めることでしょう。

教諭死亡、1億円賠償命令 茨城県古河市に、地裁支部
2/14(水)  共同通信

2017年に茨城県古河市の市立中学校の男性教諭=当時(47)=が自殺したのは長時間労働などが原因として、
遺族が市に約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁下妻支部は14日、市に約1億円の支払いを命じた。
渡辺力裁判長は判決理由で、男性は「長時間の時間外労働によりうつ病を発症した」として、
労働時間や休日取得について定めた労働基準法に違反する状態が続いていたと指摘。
男性の健康状態を把握したり長時間労働を軽減する方策を取ったりすることがなかったとして、校長の安全配慮義務違反も認めた。
市側は、男性が顧問を務める吹奏楽部で自主的に高い目標を設定していたことが長時間労働の要因だと主張していたが、
渡辺裁判長は「指導は業務の一環で、校長も容認していた」と退けた。
原告側代理人は取材に「教職員の長時間労働が問題となっている中で、管理側の責任が認められたことは大きい」とコメントした。
市は「判決を精査し、今後の対応は訴訟代理人と協議して決定する」との市長コメントを出した。

教諭自殺、賠償命令 長時間労働認定し市に 水戸地裁支部 茨城・古河
毎日新聞 2024/2/15

2017年に茨城県古河市の市立中学校の男性教諭(当時47歳)が自殺したのは長時間労働などが原因として、
遺族が市に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、水戸地裁下妻支部は14日、市に約1億円の支払いを命じた。
渡辺力裁判長は判決理由で、男性は「長時間の時間外労働によりうつ病を発症した」として、
労働時間や休日取得について定めた労働基準法に違反する状態が続いていたと指摘。
男性の健康状態を把握したり長時間労働を軽減する方策を取…


〇精神疾患で休職の教員過去最多 初の6000人超 20代が高い増加率
2023年12月22日 NHK

うつ病などの精神疾患で昨年度休職した公立学校の教員は1割余り増えて6539人と、初めて6000人を上回り過去最多となりました。
20代の増加率が高く、文部科学省は「職場環境は非常に深刻で、教員不足の中で若手をどうサポートするかが課題だ」としています。
こうした現状を踏まえ、新卒教員を対象に担任業務の負担を軽減する取り組みを始めた県もあります。

過去最多となった精神疾患で休職した教員
文部科学省によりますと、昨年度、うつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は、
▽小学校で3202人、
▽中学校で1576人、
▽高校で849人、
▽特別支援学校で872人などで、
合わせて6539人となり、前の年度より642人、11%増えて過去最多となりました。
(途中略)
要因について文部科学省は…
要因について文部科学省が各教育委員会に聞いたところ、
▽教員間での業務量や内容のばらつき、
▽保護者からの過度な要望や苦情への対応のほか、
▽コロナ禍で児童生徒や教職員間でのコミュニケーションの取りづらさがあったことなどが挙げられたということです。


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精神疾患で休職1.8倍

2024年02月19日 | 情報
コロナ禍後、うつ病等の精神疾患り患者が増えているという定性情報を入手していますが、
その裏付けとなる調査が公表されました。

自治体、精神疾患で休職1.8倍 20代と30代目立つ
2/17(土) 共同

2022年度に精神疾患など「精神および行動の障害」で1カ月以上休んだ自治体職員は、
10万人当たり換算で2143人(2.1%)だったことが17日、地方公務員安全衛生推進協会の調査で分かった。
1993年度の調査開始以降で初めて2千人を上回り、
10年前の約1.8倍になった。年齢別は20代と30代が平均を上回った。
総務省幹部は「昔に比べて職員1人当たりの仕事量が増え、
デジタル対応や感染症対策など内容も複雑になっている」と業務負担が重くなっていると分析した。
職場の余裕が失われて若手の教育に手が回らないほか、
行政に対する過度なクレームなどハラスメントも影響している可能性があるという。

地方公務員健康状況等の現況の概要


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(プラス情報)働く女性のメンタルヘルス講演会

2024年02月19日 | 情報
東京都の報道発表より
働く女性のメンタルヘルス講演会
ありのままの自分を認める!折れない、ブレない「自分」の育て方

「なんだか自分に自信が持てない…」「最近うまくいっていないかも…」と悩んでいませんか?
今すぐ実践できるセルフケアなど、役立つ内容が満載です。ライブ配信で実施します。
当講演会は毎年開催し、昨年度は500名を越える申込みをいただいた人気企画です。
皆様のご参加お待ちしております!

日時;令和6年3月3日(日曜日)14時00分~15時20分
費用;無料
対象;働いている女性、企業の人事担当者などテーマに関心のある方
講演内容
なぜ多くの働く女性が自分に自信が持てないのか
自信を持って働く自分をつくるためにできること
前向きに働き続けるためのセルフケア
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パワハラ訴え 最高裁 上告退ける

2024年02月16日 | 情報
原告側の上告が認められない理由は、非常勤職員という理由ではなくて、
公務と自殺に関係があるとは認められない」ということなのですね。
なぜ、原告敗訴になったか、後日、判例を照会したいと考えます。

ご存じですか?
精神疾患のり患理由は、労災、私傷病、個体要因の3種とされていますが、
実は、もう一種ありまして、労災に該当しない(認定基準以下でり患した)が、私傷病ではない、精神疾患です。
これが、実は、圧倒的なウェート(恐らく、90%以上)を占めていると、小職は推測しています。

北九州 自殺した元職員の両親 パワハラ訴え 最高裁 上告退ける
2024年2月13日 NHK

福岡県北九州市の非常勤職員だった女性が退職後に自殺したのは上司のパワハラが原因だとして
両親が市に遺族補償を求めた裁判で、最高裁判所は13日までに両親側の上告を退ける決定をし、
遺族補償を認めなかった1審と2審の判決が確定しました。
北九州市の戸畑区役所の非常勤職員だった森下佳奈さん(当時27)が退職して2年後の2015年に自殺したことをめぐり、
女性の両親は上司のパワハラなどでうつ病を発症して自殺したと主張して、市に300万円余りの遺族補償を求めました。
1審の福岡地方裁判所と2審の福岡高等裁判所はいずれも「公務と自殺に関係があるとは認められない」などとして訴えを退け、
両親側が上告していました。
この裁判について最高裁判所第1小法廷の安浪亮介裁判長は、13日までに上告を退ける決定をし、
遺族補償を認めなかった1審と2審の判決が確定しました。


非常勤労災の請求権認めず 自殺女性の両親敗訴 福岡地裁判決
2019/4/20 西日本

北九州市の非常勤職員だった森下佳奈さん=当時(27)=が自殺したのは
上司のパワハラなどが原因なのに、非常勤を理由に労災認定の請求権を認めない市条例は違法だとして、
両親が160万円の損害賠償を市に求めた訴訟の判決が19日、福岡地裁であった。
鈴木博裁判長は「条例を違法と評価することはできない」として訴えを棄却した。両親は控訴する方針。
両親は、この訴訟とは別に、上司によるパワハラと自殺には因果関係があるとして、
労働基準法に基づく遺族補償など約1210万円を求めた訴訟を起こしており、同地裁で係争中。
判決によると、森下さんは2012年から同市の戸畑区役所で子どもや家庭問題の相談員を担当する非常勤職員として勤務。
13年1月に重度のうつ病と診断され、同3月に退職。15年5月に自ら命を絶った。
判決で鈴木裁判長は、条例が非常勤の遺族らに労災認定の請求権を認めていない一方、
遺族補償に関する請求は可能だとし「請求権の行使が妨げられたとは言えない」と説明。
両親の労災認定請求の申し出を断った当時の市の対応について「条例の解釈や運用を誤ってはいない」と判断した。
森下さんの訴訟をきっかけに、総務省は昨年7月、非常勤職員にも労災認定の請求権を認めるよう全国の自治体に通知。
同市も条例を改正し、非常勤職員本人や遺族が請求できるようになった。
同市の北橋健治市長は「市の手続きが認められたと考えている」とコメントした。

「命への差別」母親声震わせ 訴訟契機に市条例改正

非常勤を理由に労災認定の請求権を認めていなかった北九州市の条例を「違法ではない」と判断した福岡地裁判決後、
自殺した森下佳奈さんの母親、眞由美さん(57)が記者会見し「命が関わる問題でも差別があると認識させられた」と悔しさをにじませた。
眞由美さんによると、佳奈さんは同市への就職が決まると目を輝かせて喜び、
「一生、この街に住む」と話していたという。
訴訟を契機にした総務省の通知を受け、市の条例は改正された。
周囲からは「望みがかなったね」と言われることもある。
眞由美さんは「私の中では片付けられないものがある。
母として、娘のことで結果が出なければ納得できない」と声を震わせた。

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