中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

双極症、治療などの手引となる医療者向けのガイドラインについて大改訂

2024年02月02日 | 情報
 企業関係者の皆さんも、参考までにご一読ください。

東京新聞 23.12.19

かつて「そううつ病」「双極性障害」と呼ばれていた双極症
日本うつ病学会が今年、治療などの手引となる医療者向けのガイドラインについて12年ぶりに大改訂を施した。
最新の治療薬の使い方のほか、従来は薬物療法が中心だった内容を、
患者への心理療法や家族に対する社会的支援などにも目配りした包括的なものに拡充したという。
双極症の生涯有病率は約1%。統合失調症とほぼ同じで、うつ病の10分の1という。
気分が高揚し過活動となる「躁(そう)・軽躁」、気分が憂鬱(ゆううつ)になり活動が弱まる「抑うつ」の
二つの病相(エピソード)がみられる。
双極症の「抑うつ」はうつ病と見分けが付きにくく診断が難しいとされる。
うつ病学会は前回のガイドラインを、うつ病に先んじて2011年に出している。
今回の改訂の実務統括役を務めた埼玉医科大教授の松尾幸治さん(56)によると、
新ガイドラインは「フルモデルチェンジ」したという。
作成には患者や家族ら当事者、公認心理師や薬剤師など医師以外の職種の人らも中心メンバーとして参加した。
新しく章立てされたのは、「疾患の特徴」、薬物療法以外の「心理社会的支援」、
妊娠前後の対応をまとめた「周産期」、薬の副作用などを解説した「副作用とモニタリング」。
包括的な内容になったことから名前も「治療ガイドライン」から「診療ガイドライン」に改めた。
松尾さんに改訂のポイントを聞いた。

【ポイント】心理面や家族への対応 紹介
◆薬物療法
「躁」「抑うつ」の二つのエピソード、安定した時期の「維持療法」の3段階に分け、
関係する論文を科学的根拠(エビデンス)に基づいて解析し標準的選択薬の推奨度=表参照=を決めた。
その結果、従来は多くのケースで、抗精神病薬か気分安定薬のいずれかを単独で使うことが推奨されていたが、
新ガイドラインではいずれの段階でも両薬の併用が推奨されることになった。

◆周産期
 妊娠前に必要な健康管理を患者、家族と医師が話し合う「プレコンセプションケア」を盛り込んだ。
「双極症は妊娠中-産後に再発しやすいことが知られているので、
妊娠中から産後にかけても継続した服薬が望ましいとされています」など、
医師が患者らに伝えるべき具体的な言葉を「実践例」としてまとめている。

◆心理社会的支援
医療現場の実情に合わせ、患者にとって最小限必要な中身をまとめた7項目の「心理教育のミニマムエッセンス」を作成。
「規則正しい生活習慣の維持」「病状悪化につながる要因の把握」などで、リスクを高める行動と健康的な行動を例示している。
また、家族などのケアラーについても言及し、彼らへの支援方法などを紹介。
診療ガイドラインでは異例で、治療上、周囲の支えが欠かせないことを医療者が認識し、配慮する必要性を強調する狙い。
「日本うつ病学会診療ガイドライン双極症2023」は、学会のホームページから無料でダウンロードできる。
詳しい解説などを加えた同名の本(医学書院、5500円)もある。
学会が刊行している一般向けのパンフレットも、ガイドラインに合わせて本年度中に改訂する。

◎日本うつ病学会HP






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