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眠りの悩み改善、就寝時間と生活リズム大事に
2022年3月2日 日経
年とともに眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めてしまいます。朝になっても疲れが残り、スッキリと起きられません。日中も仕事への集中力が落ちている気がします。どうしたらいいでしょうか。
ソフトウエア開発会社の総務部長、Aさん(60)はちょっとした物音で目が覚めることが増えた。再び眠ろうとしても、仕事のことなどを考えて目がさえてしまう。日中に眠気がさすこともあるが、内勤の管理職なので居眠りもできない。「朝までノンストップだった若い頃の睡眠を取り戻したい」と言う。
シニアが睡眠問題で悩む原因は何か。「年を取ると睡眠時間は徐々に短くなり、深い睡眠が占める割合も下がる傾向がある」。こう話すのは秋田大学大学院・医学系研究科の三島和夫教授。加齢で眠りが短く、浅くなるので、シニアには「中途覚醒」(夜に何度も目が覚める)や、「早朝覚醒」(朝早く目が覚める)を経験する人が多い。
年を取ると体や心の病気にかかりやすく、病気が原因で眠れなくなることも多い。例えば、睡眠中に空気の通り道である気道が塞がり、呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)。年を取ると口やノドまわりの筋肉が緩み、気道が塞がりやすくなる。このため「高齢者はSASにかかりやすく、重症化しやすいと考えられている」(大阪市のますたに呼吸器クリニックの舛谷仁丸院長)。
急な不眠に要注意
定年による生活の変化や生計、病気への不安がストレスとなり、不眠を招くこともある。三島氏は「1~2カ月で急に不眠になったら要注意。うつ病などの可能性がある」と言う。
これといった原因が思い当たらない場合は、生活リズムが乱れたせいかもしれない。ヒトには約24時間周期で体温や血圧などを制御する「体内時計」が備わっている。昼行性の体内時計を持つヒトが夜型の生活をすると、海外旅行で経験する時差ボケのような状態になる。体内時計も遅れ、夜型にずれる。
では原因別に対処法を考えてみよう。加齢に伴って眠りが短く、浅くなった場合、三島氏は「長く眠ろうとして、あまり早く寝床に入るのはよくない。大切なのは時間帯」と語る。夜11時から朝6時までの7時間にコンパクトに寝るのが望ましいという。
適度で定期的な運動を
6時間睡眠でも健康的に過ごしているシニアは多いそうだ。眠れずに寝床でもんもんとしていると、それがストレスになりかねない。昼間は仕事や趣味で活動的に過ごし長時間の昼寝は避ける。定年後もメリハリのある生活が大切だ。
適度で定期的な運動も、睡眠の質を維持するのに役立つという。中学生時代から自転車に乗り続けている中村博司さん(73)は、昨年も6400㌔㍍走った。
睡眠時間は7~8時間で、寝付き、寝起きとも良好。途中2、3回トイレに行くが、その後もすぐ眠れる。生活習慣病とも無縁という。「無理はしない。適度な疲労が快い睡眠につながるようだ」と話す。
SASの予防法としては「減量や節酒、禁煙が有効」(舛谷氏)。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増えるなど運動不足になりやすいので、体重増には気をつけたい。
原因がSASと気づかずに、よく眠れないからと睡眠薬を服用すると「悪化することもある」(三島氏)。SASは口やノドまわりの筋肉が緩むことなどで起きるので、筋弛緩作用などがある睡眠薬は避けたい。
ますたに呼吸器クリニックには、いびきや無呼吸を家族に指摘されて来院する人が多い。一人暮らしの場合でも、「最近はスマートウオッチで睡眠中の酸素飽和度の低下に気づくなどして受診する人も増えてきた」(舛谷氏)。
朝の過ごし方カギに
体内時計が関係していると考えられる睡眠問題では、リズミカルな生活が重要だ。定年を迎えても朝寝坊はしない方がいい。
夜型にずれた体内時計の修正には朝の過ごし方がカギを握る。山口大学時間学研究所の明石真教授は「朝起きたら朝日を浴び、朝食もしっかりとることが重要」と話す。朝に光を目で感知すると朝型に戻す効果がある。屋外で30分浴びることが望ましいが「冬などは朝日の差す窓際でコーヒーを飲むといった方法でもいい」(明石氏)。
昼夜逆転の生活は若者に多い。だが夜もスマートフォンなどのブルーライトを受けることが多くなった現代では、シニアの体内時計も夜型にずれる可能性がある。生活リズムの乱れによる時差ボケが続くと、不眠だけでなく糖尿病やがん、認知症などのリスクも高まる恐れがあるという。
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