
「クリエイティブ資本論」で一斉を風靡したリチャード・フロリダ教授が、日立のuVALUEコンベンションで、「クリエイティブクラスの世紀、そしてその後」と言う演題で講演を行った。
都市経済学者として有名だが、やはり、脚光を浴びているのは、先年邦訳本が出た「クリエイティブ・クラスの世紀」で論じられていたように、今日の経済社会の主要プレイヤーは、クリエイティブ・クラス、すなわち、創造的な経済社会価値を生み出す知的かつクリエイティブな人々に移ったとする資本主義の大変革論にあろう。
何故、成長し繁栄する都市があれば、立ち遅れたり衰退する都市があるのか、その原因を研究する過程で、隆盛を誇っていた都市から、技術、企業、ベンチャーキャピタルなどの資金が、優秀でクリエイティブな人々の集まる地域に向けて流出していくことが分かり、クリエイティビティこそが、究極の経済資源であり経済成長の原動力であり、グローバルベースで、クリエイティブ・クラスの人々を最も集積結集した都市が世界の中心となって繁栄すると言うことに気付いたのだと言う。
フロリダ教授のハイテク産業の成長を示す指数が、「ゲイ指数」や「ボヘミアン指数」と非常に相関関係が強いと発表して物議を醸したが、都市や地方の指導者は、すぐにこの研究結果をもとに開発戦略を策定し始めたと言うから面白い。
経済発展は、寛容性が高く、多様性に富み、クリエイティビティに対して開かれた地域で起きるのであるから当然の筈だが、頭の固い日本では無理であろう。
この都市文明論への考え方は、ジャック・アタリの「21世紀の歴史」にも展開されていて興味深いのだが、現代資本主義を論じる場合の核が、知であり都市であることを考えれば当然であろうか。
ところで、今回のフロリダ教授の講演のメインテーマは、演題とは一寸ニュアンスが違っていて、5月に米国で出版された著書「THE GREAT RESET」についてであって、我々が現在その渦中にある歴史的な経済社会の革命的ともいうべき大変革についてであった。
フロリダ教授は、この150年の間に、既に、二回 GREAT RESETを経験しており、第一回目は1870年代の経済恐慌を発端とした産業技術の発展によるマス産業社会の到来、第二回目は、1930年代の大恐慌と世界大戦後の自動車電気などの技術革新に沸く爆発的な大量生産工業化社会の到来だと言う。
フロリダ教授のRESETは、経済的不況の暗黒時期から発明発見イノベーションなどによって活性化しより健全かつ豊かになった社会変革を想定しているので、単なる新テクノロジーやビジネス・モデルの変革に止まらず、人間の生き方や働き方、職場や余暇の過ごし方など全般的で恒久的な社会変化をも包含した広い概念である。
尤も、現在の新しい、かってと違ってはるかに大きくて激しいGREAT RESETは、今日の世界的不況以前から始動しているのだが、都市経済学者のフロリダ教授は、例として、著書で、新しいより大きな人口稠密な風景を示すのは、ボストンからニューヨーク・ワシントンへの回廊、グレイター・ロンドン、上海から北京と言った巨大なメガ・リージョンの台頭だと述べている。
既に、経済や社会で顕著に現れているクリエイティブクラスの時代への胎動を詳しく語りながら、経済不況や多くの困難を克服しながら、どのようにして、より豊かな新しい時代にリセットして行くのか、フロリダ教授は、1時間に亘って、THE GREAT RESETへの思いを語り続けたのである。
このほぼ50年サイクルの大経済循環は、コンドラティエフの波を思い起こさせるのだが、フロリダ教授は、マルクス、シュンペーター、ケインズを引き合いに出して、GREAT RESET を語っているのが興味深い。
近代資本主義が、最もイノベイティブで革命的なシステムだが、金融パニックや経済危機を引き起こす。しかし、これらの困難を克服しようとする人間の営みが、創造的破壊を生み出して、次の更なる高度で豊かな経済成長の種を蒔く。
更に、民間企業の経済活動の不足を政府が補って経済の健全化を図って行く。
シュンペーターが、創造的破壊を牽引するのは、企業家・アンテルプルナーとバンカーだと指摘していたが、フロリダ教授は、クリエイティブ時代の中心プレイヤーは、クリエイティブ・クラス(クリエイティブ資本論で指摘していたのは、科学者、技術者、建築家、デザイナー、作家、芸術家、音楽家、あるいは、ビジネス・教育・医療・法律などに関る職務に就き、その中心的な部分においてクリエイティビティを発揮することを求められている者)だと言う。
ポスト・インダストリアル社会をコインしたダニエル・ベルには言及したが、知識情報化産業社会とかICT革命とかの概念を一切前面に出さずに、クリエイティビティと都市化を語りながら、リチャード・フロリダ教授は、新しい資本主義発展論を展開したのである。
クリエイティブクラスの世紀については、このブログで何度か言及しているので蛇足は避け、「THE GREAT RESET」のブックレビューは、読書途中なので後日に譲りたい。
都市経済学者として有名だが、やはり、脚光を浴びているのは、先年邦訳本が出た「クリエイティブ・クラスの世紀」で論じられていたように、今日の経済社会の主要プレイヤーは、クリエイティブ・クラス、すなわち、創造的な経済社会価値を生み出す知的かつクリエイティブな人々に移ったとする資本主義の大変革論にあろう。
何故、成長し繁栄する都市があれば、立ち遅れたり衰退する都市があるのか、その原因を研究する過程で、隆盛を誇っていた都市から、技術、企業、ベンチャーキャピタルなどの資金が、優秀でクリエイティブな人々の集まる地域に向けて流出していくことが分かり、クリエイティビティこそが、究極の経済資源であり経済成長の原動力であり、グローバルベースで、クリエイティブ・クラスの人々を最も集積結集した都市が世界の中心となって繁栄すると言うことに気付いたのだと言う。
フロリダ教授のハイテク産業の成長を示す指数が、「ゲイ指数」や「ボヘミアン指数」と非常に相関関係が強いと発表して物議を醸したが、都市や地方の指導者は、すぐにこの研究結果をもとに開発戦略を策定し始めたと言うから面白い。
経済発展は、寛容性が高く、多様性に富み、クリエイティビティに対して開かれた地域で起きるのであるから当然の筈だが、頭の固い日本では無理であろう。
この都市文明論への考え方は、ジャック・アタリの「21世紀の歴史」にも展開されていて興味深いのだが、現代資本主義を論じる場合の核が、知であり都市であることを考えれば当然であろうか。
ところで、今回のフロリダ教授の講演のメインテーマは、演題とは一寸ニュアンスが違っていて、5月に米国で出版された著書「THE GREAT RESET」についてであって、我々が現在その渦中にある歴史的な経済社会の革命的ともいうべき大変革についてであった。
フロリダ教授は、この150年の間に、既に、二回 GREAT RESETを経験しており、第一回目は1870年代の経済恐慌を発端とした産業技術の発展によるマス産業社会の到来、第二回目は、1930年代の大恐慌と世界大戦後の自動車電気などの技術革新に沸く爆発的な大量生産工業化社会の到来だと言う。
フロリダ教授のRESETは、経済的不況の暗黒時期から発明発見イノベーションなどによって活性化しより健全かつ豊かになった社会変革を想定しているので、単なる新テクノロジーやビジネス・モデルの変革に止まらず、人間の生き方や働き方、職場や余暇の過ごし方など全般的で恒久的な社会変化をも包含した広い概念である。
尤も、現在の新しい、かってと違ってはるかに大きくて激しいGREAT RESETは、今日の世界的不況以前から始動しているのだが、都市経済学者のフロリダ教授は、例として、著書で、新しいより大きな人口稠密な風景を示すのは、ボストンからニューヨーク・ワシントンへの回廊、グレイター・ロンドン、上海から北京と言った巨大なメガ・リージョンの台頭だと述べている。
既に、経済や社会で顕著に現れているクリエイティブクラスの時代への胎動を詳しく語りながら、経済不況や多くの困難を克服しながら、どのようにして、より豊かな新しい時代にリセットして行くのか、フロリダ教授は、1時間に亘って、THE GREAT RESETへの思いを語り続けたのである。
このほぼ50年サイクルの大経済循環は、コンドラティエフの波を思い起こさせるのだが、フロリダ教授は、マルクス、シュンペーター、ケインズを引き合いに出して、GREAT RESET を語っているのが興味深い。
近代資本主義が、最もイノベイティブで革命的なシステムだが、金融パニックや経済危機を引き起こす。しかし、これらの困難を克服しようとする人間の営みが、創造的破壊を生み出して、次の更なる高度で豊かな経済成長の種を蒔く。
更に、民間企業の経済活動の不足を政府が補って経済の健全化を図って行く。
シュンペーターが、創造的破壊を牽引するのは、企業家・アンテルプルナーとバンカーだと指摘していたが、フロリダ教授は、クリエイティブ時代の中心プレイヤーは、クリエイティブ・クラス(クリエイティブ資本論で指摘していたのは、科学者、技術者、建築家、デザイナー、作家、芸術家、音楽家、あるいは、ビジネス・教育・医療・法律などに関る職務に就き、その中心的な部分においてクリエイティビティを発揮することを求められている者)だと言う。
ポスト・インダストリアル社会をコインしたダニエル・ベルには言及したが、知識情報化産業社会とかICT革命とかの概念を一切前面に出さずに、クリエイティビティと都市化を語りながら、リチャード・フロリダ教授は、新しい資本主義発展論を展開したのである。
クリエイティブクラスの世紀については、このブログで何度か言及しているので蛇足は避け、「THE GREAT RESET」のブックレビューは、読書途中なので後日に譲りたい。