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熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国連「大気中の温暖化ガス濃度最高」と警鐘

2020年09月11日 | 地球温暖化・環境問題
   日経が、10日朝刊に、
   ”国連は9日、大気中の温暖化ガス濃度が過去最高にのぼったと発表した。新型コロナウイルスで世界各国で経済活動が止まった結果、排出量は減ったものの、影響は限定的だった。国連のグテレス事務総長は排出削減対策の徹底や、石炭火力から再生可能エネルギーへの転換の必要性を訴えた。”と報じた。

   グテレス氏は同日の記者会見で、米カリフォルニア州で広がっている山火事の問題などを受け、「(気候変動の影響で)記録的な猛暑、山火事、洪水や干ばつが起こり、問題は悪化しかねない」と警告し、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では気温上昇を産業革命前比で1.5度未満に抑える努力目標を掲げているが、今後5年の間に気温上昇が1.5度に達してしまう確率が上がっており、「目標達成の軌道から世界は外れている」と懸念を表明した。

   化石燃料から再生可能エネルギーへの転換についてグテレス氏は、アジアやアフリカで石炭火力発電所の新設が続いていると指摘し、「日本、中国や韓国に石炭火力発電所の輸出や融資を抑えるように呼びかけている」と述べた。と言う。
   恥ずべき日本への指摘だが、
   「今日から二酸化炭素の排出量を減らしても気候変動の進行は止まらない。」現状に直面している以上、化石燃料によるエネルギーの造出は断じて避けるべきで、再生可能エネルギーへの転換以外に選択肢はない。
   有馬 純教授は、温暖化防止という一神教的な考え方に立ち、石炭オプションを国内外で否定する立場の人びとに対して、
   彼らが主張するように日本が石炭火力も原子力もやめ、石炭火力の輸出もやめ、なおかつ温室効果ガス削減目標を引き上げればどうなるか。日本の電力料金は大幅に値上がりし、日本経済は疲弊し、製造業は海外流出し、その結果、CO2排出は減少するだろう。と言うのだが、そう、それで良いのである。

   地球温暖化については、このブログでも随分論じてきているし、それに、十分な情報が流布しているので、多言を要しないと思うので省略する。
   今年の初めに、ナショナルジオグラフィックが、50回目を迎えるアースデイに因んで興味深い特別号を出版した。
   表紙の一方は、「守られてきた地球」2070年、世界は暮らしやすくなる
   反対側の表紙は、「傷つけられた地球」2070年、世界は暮らしにくくなる
   それぞれ、ページを上下逆にして、明暗を分けた視点から、2070年の世界を展望していて、非常に興味深い。
   分りやすく、そして、詳細に準備された記述が魅力的だが、たとえば、「ダメージは一様ではない」というページには、気候変動に対する都市の脆弱性が表示されていて、パリやロンドン、シカゴ、ブエノスアイレスとリオ、サンパウロ以外は危険指標で、貧しい都市ほど、社会基盤や社会サービスの需要に対処できずに、人口増加を支えきれないとして、急成長を遂げるアフリカ諸国の大都市の未来は深刻だという。
   東京、大阪、名古屋の脆弱性は、北京、天津より高くて悪く、コルカタやダッカ並、
   悲しいかな、目先の小事の論戦ばかりで、如何に、総裁候補の哲学ビジョンなき思考の次元が低いかが、分ろうというものである。
   
   

   環境問題については、悲観的な見解が主流だが、中には、これまでに人類が築き上げてきたように、時代を変える新しい科学やテクノロジーの進歩によって、人間の大部分は、近いうちに、今は富裕層にしか手が届かないような豊かな生活を経験できるようになるとか、指数関数的に生まれるイノベーションによっていかなる困難も克服されて、潤沢な世界への道が切り拓かれると言う考え方に全幅の信頼を置いて輝かしい未来論を展開する学者や識者もいる。
   このブログで取り上げてブックレビューした、
   P・H・ディアマンディス&S・コトラー著「楽観主義者の未来予測」上下
   スティーブン・ピンカー著「21世紀の啓蒙 上下: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩 」などがその典型であろうと思う。
   根底には、今まで、上手くやってきではないかと言う楽観論がある。

   この問題についての私の結論だが、科学技術や世の中の進歩発展によって良くなったとしても、それは、終末を伸ばすだけで、人類が賢く対処しなければ、結局は、煮えがえる状態で、人類社会の破綻を結果するだけだと思っている。
   人類の活動が、もう既に、地球規模の限界に達してしまった以上、今度こそは、半世紀以上も前にローマクラブが提示した「成長の限界」が、マルサスとシンクロナイズしてしまって、取り返しがつかなくなるのである。
コメント
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