goo blog サービス終了のお知らせ 

熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

国立演芸場・・・川柳つくし真打昇進襲名披露公演

2013年11月09日 | 落語・講談等演芸
   その日の午後遅く、某名門私立大学で、グローバル経営の講義を行う前だったが、国立演芸場へ、川柳つくしの真打昇進襲名披露公演を聞きに行った。
   つくしを聞くのも初めてだったし、良く知らなかったのだが、これまでに聞いた林家きく姫など、女流落語家の醸し出す独特のユーモアなりエスプリに魅力を感じており、まして、美人の真打昇進襲名披露で、トリを取るのと言うのだから、文句なしに出かけたのである。
   落語の世界は、元々、男世界で、古典落語などは、男の噺家が話すように出来ていると言うことで、確かに、前座や二つ目の若い女性落語家が、古典落語を語ると、随分、違和感があるのだが、それでも、男の噺家とは違った面白味があって、それなりに楽しめるのである。

   ウイキペディアや話などによると、川柳つくしは、早大教育学部国語国文学科卒業で、旺文社で辞書編集などの仕事を経て、1997年3月に川柳川柳に入門したと言うから、歳は分からないが、アラフォー前半であろうか。
   しかし、前方の座席で聞いていたので、随分若くて非常にエネルギッシュで溌剌としていて、実に魅力的なレィディであった。

   師匠川柳の話では、つくしは、新作落語を2~300作っているようだが、この日は、予定していた「健康診断」を、「不幸な時代」に切り替えて、
   例の秋葉原の集団殺人事件に想を得たのであろうか、格差社会の拡大で、平穏な人生から外された若い女性が、人生に絶望して集団殺人を決意して、獲物を探している間に、ナイフに雷が落ちて気絶して、夢の中で揺り起こされて、第二次世界大戦当時にタイムスリップして、鬼畜米英と戦っている男性と、異次元の会話が交わされると言う話で、非常にエスプリの利いたユニークな話で面白かった。

   『ALWAYS 三丁目の夕日』の昭和30年代が、良き時代であって、現在が、「不幸な時代」だと言う発想が、非常に興味深いのだが、
   戦後から立ち上がって、欧米に追い付くべく必死になって日本人全体が頑張っていて、今日よりは明日、明日よりは明後日と、少しずつ生活が良くなっていた頃は、夢なり希望があったが、
   バブル崩壊で、日本経済がデフレ不況に突入して生活が少しも良く成らなくなって、益々格差拡大し始めた今日が、若い人々にとっては、実に不幸な時代だと言うことであろうか。

   癒し系の落語を目指して、落語界のエンヤになりたい、兵隊さんが、つくしの落語を聞いて、銃を花束に持ち替えると言った、そんな落語を語って行きたいと言う。
   女流落語家は、この日、三遊亭歌る多が、落語の後で、「かっぽれ」を踊ったが、南京玉すだれなどをやるのだが、自分は、ウクレレ漫談を語ると言って、「来世、頑張れ!」を演じた。
   チャンスをピンチにした人、来世、頑張れ と言った調子だが、カレント・トピックスなり、世相を反映していて、短いが、牧伸二のウクレレ漫談とは、違った味があって面白い。

   さて、この日、弟子の真打襲名披露に出て来た川柳川柳だが、82歳だと言うのに、素晴らしい(?)美声で、軍歌を鏤めた「ガーコン」を熱演した。
   つくしの話では、四六時中酔っ払っていて、24時間の内、正気なのは、高座に立つ15分間だけだと言い、また、つくしの真打昇進披露公演開始の10ほど前に転倒して倒れてしまい、どうにか高座には出たのだと言う。
   しかし、この日は、立ち上がって、東京のバカ息子に仕送りするために最新の農機が買えなくて脱穀機をガーコン、ガーコン踏むおやじと、勉強などそっちのけでベースを奏でるバカ息子を、手真似足真似で実に器用に熱演していた。

   弟子は一人も取らなかったのだが、何人も弟子入りを志願して来たが、断ると来なくなって、このつくしだけが、手土産を持って4回通って来たので、弟子にしたのだと言う。
   確かに、無茶苦茶、ユニークな噺家だが、何故、つくしが、この川柳を師に選んだのかは、知りたいと思っている。
   
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする