日経の「技術立社 -イノベーション新世紀-」セミナーで、TDKの澤部肇会長の「デジタル時代の事業戦略」と題する講演を聞いた。
丁度、イノベーションを勉強中で、ジェフリー・ムーアの「ライフサイクル・イノベーション Dealing with Darwin」を読んでいたので、TDKのイノベーションを事業の核として躍進を続ける企業の経営戦略を、非常に興味深く聞かせて貰った。
クリステンセンの持続的イノベーションを追及しながら技術を深化させている会社なのだが、製品イノベーションとプロセスイノベーションを上手く組み合わせて、マーケット・オリエンテッドなアプローチで、イノベーションの成長と深化における供給と需要間のギャップをうまく埋めて無駄を出さない経営手法が卓越している。
元々フェライトからスタートした会社で、一頃、ビデオ・テープが売り上げの50%を占めていた会社だと言うから、私など、ビデオ・テープの会社だと思っていて不思議はなかったのだが、今や、コアコンピタンスは、小型大容量のチップ、HDDヘッド、etc. フェライトの延長線上にあるイノベーション技術が生み出した高度なIT,デジタル関連部品を次から次へと生み出している業績の素晴らしい技術の会社である。
技術のイノベーションによって新しい価値を創造し続けなければ、企業の成長など有り得ない、それも、最高品質を追求するイノベーションでなければならないと言う。
市場環境は、デジタル化の進行によって、部品は共有化(モジュラー化)し、参入障壁が低くなり、その結果、競争が激化して価格が低落、収益が低下を続ける。
このように製品のコモディティ化が進む一方、市場での技術の変化は激しく、そのスピードは凄まじい。
生きて行くためには、ハツカネズミのようにイノベーションを追求して走り続けなければならないと言うのである。
TDKにとってのイノベーションとは、自分の得意な分野における日々のイノベーションの積み重ねであり、そして、激変する環境の中で新しく伸びて行く技術や製品は何かを的確に把握して照準を合わせて行くことだと言う。
ITバブル崩壊時期に、一度赤字に落ちたが、その時は、顧客のニーズと市場の変化のスピードに対応出来ずに独創性に欠ける製品しか作っていなかった。
市場や顧客のニーズを前もって性格に掴むこと、テクノロジー・マーケティングが如何に大切であるかを悟り、その後は、顧客と密接に接触してニーズを掘り起こして一歩先を行く技術開発に心掛けている。
TDKのイノベーションを、ジェフリー・ムーアのイノベーション分類にあてはめると、主に製品リーダーシップ・ゾーンにおけるタイプである。
既にその分野で市場のリーダーなので、既存のテクノロジーで今までなかった応用分野を発見するアプリケーション(ソリューション)イノベーションや既存の市場と製品に対して前例がない機能を追加して差別化を図る製品イノベーションが多く、今までになかったテクノロジーやビジネスモデルにより新しい市場カテゴリーを作り出す破壊的イノベーションは少ない様に思う。
これに、最近特に注力しているテクノロジー・マーケティングを活用して、顧客との親密性を生かして顧客のニーズに沿った顧客インティマシー・ゾーンにおける製品ライン拡張イノベーションや機能強化イノベーションが加わって、先端技術の開発を企図した攻撃的なイノベーションで業界をリードしていると言えよう。
TDKの誇る磁性材料技術、積層セラミック技術等の材料技術とプロセス技術の融合を図り、評価シュミレーション技術を加えて、一番ホットな市場において他の追随を許さないような部品を提供する特徴ある技術ナンバーワン企業を目指す。
独自の技術を活かし、真のe-Material Solution Provider を目指すのだと言う。
クリステンセンは、イノベーションのジレンマで、業界のリーダーである大企業が、何故、イノベーターとして成功し続けられないのかを語ったが、破壊的イノベーションのみならず、持続的イノベーションの追及において、その延長線上で破壊的イノベーション的効果を発揮できることを、このTDKのケースが暗示しているような気がする。
厳密には、破壊的と持続的との区別が出来なくなるようなイノベーションの時代に入って行くのではないか、と言うことである。
また、自動車メーカーのように、ハイブリッドや燃料電池カーが破壊的だとすると、顧客のニーズを先取りしたマーケット・ドリブンを指向したリーダー企業が破壊的イノベーションを追及して成功するケースが増えてくる筈である。
丁度、イノベーションを勉強中で、ジェフリー・ムーアの「ライフサイクル・イノベーション Dealing with Darwin」を読んでいたので、TDKのイノベーションを事業の核として躍進を続ける企業の経営戦略を、非常に興味深く聞かせて貰った。
クリステンセンの持続的イノベーションを追及しながら技術を深化させている会社なのだが、製品イノベーションとプロセスイノベーションを上手く組み合わせて、マーケット・オリエンテッドなアプローチで、イノベーションの成長と深化における供給と需要間のギャップをうまく埋めて無駄を出さない経営手法が卓越している。
元々フェライトからスタートした会社で、一頃、ビデオ・テープが売り上げの50%を占めていた会社だと言うから、私など、ビデオ・テープの会社だと思っていて不思議はなかったのだが、今や、コアコンピタンスは、小型大容量のチップ、HDDヘッド、etc. フェライトの延長線上にあるイノベーション技術が生み出した高度なIT,デジタル関連部品を次から次へと生み出している業績の素晴らしい技術の会社である。
技術のイノベーションによって新しい価値を創造し続けなければ、企業の成長など有り得ない、それも、最高品質を追求するイノベーションでなければならないと言う。
市場環境は、デジタル化の進行によって、部品は共有化(モジュラー化)し、参入障壁が低くなり、その結果、競争が激化して価格が低落、収益が低下を続ける。
このように製品のコモディティ化が進む一方、市場での技術の変化は激しく、そのスピードは凄まじい。
生きて行くためには、ハツカネズミのようにイノベーションを追求して走り続けなければならないと言うのである。
TDKにとってのイノベーションとは、自分の得意な分野における日々のイノベーションの積み重ねであり、そして、激変する環境の中で新しく伸びて行く技術や製品は何かを的確に把握して照準を合わせて行くことだと言う。
ITバブル崩壊時期に、一度赤字に落ちたが、その時は、顧客のニーズと市場の変化のスピードに対応出来ずに独創性に欠ける製品しか作っていなかった。
市場や顧客のニーズを前もって性格に掴むこと、テクノロジー・マーケティングが如何に大切であるかを悟り、その後は、顧客と密接に接触してニーズを掘り起こして一歩先を行く技術開発に心掛けている。
TDKのイノベーションを、ジェフリー・ムーアのイノベーション分類にあてはめると、主に製品リーダーシップ・ゾーンにおけるタイプである。
既にその分野で市場のリーダーなので、既存のテクノロジーで今までなかった応用分野を発見するアプリケーション(ソリューション)イノベーションや既存の市場と製品に対して前例がない機能を追加して差別化を図る製品イノベーションが多く、今までになかったテクノロジーやビジネスモデルにより新しい市場カテゴリーを作り出す破壊的イノベーションは少ない様に思う。
これに、最近特に注力しているテクノロジー・マーケティングを活用して、顧客との親密性を生かして顧客のニーズに沿った顧客インティマシー・ゾーンにおける製品ライン拡張イノベーションや機能強化イノベーションが加わって、先端技術の開発を企図した攻撃的なイノベーションで業界をリードしていると言えよう。
TDKの誇る磁性材料技術、積層セラミック技術等の材料技術とプロセス技術の融合を図り、評価シュミレーション技術を加えて、一番ホットな市場において他の追随を許さないような部品を提供する特徴ある技術ナンバーワン企業を目指す。
独自の技術を活かし、真のe-Material Solution Provider を目指すのだと言う。
クリステンセンは、イノベーションのジレンマで、業界のリーダーである大企業が、何故、イノベーターとして成功し続けられないのかを語ったが、破壊的イノベーションのみならず、持続的イノベーションの追及において、その延長線上で破壊的イノベーション的効果を発揮できることを、このTDKのケースが暗示しているような気がする。
厳密には、破壊的と持続的との区別が出来なくなるようなイノベーションの時代に入って行くのではないか、と言うことである。
また、自動車メーカーのように、ハイブリッドや燃料電池カーが破壊的だとすると、顧客のニーズを先取りしたマーケット・ドリブンを指向したリーダー企業が破壊的イノベーションを追及して成功するケースが増えてくる筈である。





