武田薬品工業が、過去最高の追徴課税されたと報道されてびっくりしていたら、ソニーやマツダ、三井物産や三菱商事にも同じ移転価格税制による追徴があると言う朝日新聞の1日の朝刊を見て、また驚いた。
国際ビジネスにおいては、別に珍しい問題ではないが、優等生の武田が所得申告漏れをする筈がないので、国税庁の何らかの意図が働いたと思って新聞を読んでいると、やはり、税収確保の為の国税庁の足掻きであるようである。
もう30年以上の前の、ウォートン・スクールでのインターナショナル・ビジネスの授業を思い出した。
あの頃は、まだ、税務当局が気付いていなかったので問題にさえなっていなかったが、ビジネス・スクールの授業では、アメリカの多国籍企業が海外での事業から如何に多くの利益を吸い上げるか、その一つの手段として移転価格による収奪方法を教授していたのである。
例えば、古くなって使えなくなった製造機械をメキシコの子会社に高く売りつけたり、製品価格を高く設定して利益を吸い上げると言った手法である。
他に、本国の親会社が海外の子会社に資金を送る時は、利益配当や利益送金にはホスト国の規制が厳しいので資本金としての送金は最小限にして、融資なり貸し金にして利子として利益を回収するのが良い等々、とにかく、国際間の法律や税制の差やその裏をかいて利益を確保しようとするアメリカの多国籍企業の暗躍が面白かった。
ところで、今回の5社の日本の国際企業の移転価格は、海外の子会社や関連会社に対してモノやサービスを提供しておきながら、然るべき対価を受け取らずに安く提供して日本での所得を少なくした、その差額を所得と看做すので追徴課税すると言う趣旨であり、アメリカで勉強したケースの逆である。
武田薬品工業は、ホームページで「移転価格税制に基づく当社に対する更正について」と言う抗議文で、法令に則り、この更正処分の取り消しを求めるとしている。
米国アボット社との50:50の合弁会社であるTAP社に対して、安く製品を売って半分利益が流出するような馬鹿なことを誰がするのか、意図も動機もないし、第一相手の同意が要るし、税務当局が言うような利益配分は適正とは言えないと抗議している。
ソニーは主にプレイステーションでの米国子会社関連での取引で279億円の追徴、マツダは海外子会社へ売った車の価格が安いので寄付金と看做して76億円の追徴、三菱商事と三井物産はオーストラリアの石油・ガス開発プロジェクトでの合弁会社に対する様々なノウハウ提供の対価収入が少ないとして夫々22億円と25億円の追徴という事である。
このあたり、見解の相違と言うことで片付けられそうだが、夫々、国内の利益が少なくて困っている時期に、国内の所得を少なくして海外に所得を移転する動機など働く筈がないと思うのだが。
来年三角合併が認められると、イギリスの会社が、武田薬品工業をM&Aしようと考えていると言う報道もあったし、日本政府が姑息な税収確保の為に詰まらない事を考えて優秀な日本企業の力を削いでいると、シギとハマグリの戦いで漁師(外国企業)に総てを持って行かれる。
実際ふたを開けて見ないと分からないが、来年以降、三角合併等による日本企業の買収合併が花盛りとなり、アッと言うような買収劇が起こる可能性が高いと思っている。
また、早い話、優秀な日本企業の外人持ち株比率が50%を超えている会社も可也あり、企業立地としては日本は世界的にも悪い部類に入るので本社を海外に移す企業さえ出て来ると言う可能性もある。
グローバル時代の到来が言われて久しいが、何時までも日本企業が日本企業に留まっている保障はなく、グローバルに流動していることを忘れるとしっぺ返しが大きくなることは必定である。
国際ビジネスにおいては、別に珍しい問題ではないが、優等生の武田が所得申告漏れをする筈がないので、国税庁の何らかの意図が働いたと思って新聞を読んでいると、やはり、税収確保の為の国税庁の足掻きであるようである。
もう30年以上の前の、ウォートン・スクールでのインターナショナル・ビジネスの授業を思い出した。
あの頃は、まだ、税務当局が気付いていなかったので問題にさえなっていなかったが、ビジネス・スクールの授業では、アメリカの多国籍企業が海外での事業から如何に多くの利益を吸い上げるか、その一つの手段として移転価格による収奪方法を教授していたのである。
例えば、古くなって使えなくなった製造機械をメキシコの子会社に高く売りつけたり、製品価格を高く設定して利益を吸い上げると言った手法である。
他に、本国の親会社が海外の子会社に資金を送る時は、利益配当や利益送金にはホスト国の規制が厳しいので資本金としての送金は最小限にして、融資なり貸し金にして利子として利益を回収するのが良い等々、とにかく、国際間の法律や税制の差やその裏をかいて利益を確保しようとするアメリカの多国籍企業の暗躍が面白かった。
ところで、今回の5社の日本の国際企業の移転価格は、海外の子会社や関連会社に対してモノやサービスを提供しておきながら、然るべき対価を受け取らずに安く提供して日本での所得を少なくした、その差額を所得と看做すので追徴課税すると言う趣旨であり、アメリカで勉強したケースの逆である。
武田薬品工業は、ホームページで「移転価格税制に基づく当社に対する更正について」と言う抗議文で、法令に則り、この更正処分の取り消しを求めるとしている。
米国アボット社との50:50の合弁会社であるTAP社に対して、安く製品を売って半分利益が流出するような馬鹿なことを誰がするのか、意図も動機もないし、第一相手の同意が要るし、税務当局が言うような利益配分は適正とは言えないと抗議している。
ソニーは主にプレイステーションでの米国子会社関連での取引で279億円の追徴、マツダは海外子会社へ売った車の価格が安いので寄付金と看做して76億円の追徴、三菱商事と三井物産はオーストラリアの石油・ガス開発プロジェクトでの合弁会社に対する様々なノウハウ提供の対価収入が少ないとして夫々22億円と25億円の追徴という事である。
このあたり、見解の相違と言うことで片付けられそうだが、夫々、国内の利益が少なくて困っている時期に、国内の所得を少なくして海外に所得を移転する動機など働く筈がないと思うのだが。
来年三角合併が認められると、イギリスの会社が、武田薬品工業をM&Aしようと考えていると言う報道もあったし、日本政府が姑息な税収確保の為に詰まらない事を考えて優秀な日本企業の力を削いでいると、シギとハマグリの戦いで漁師(外国企業)に総てを持って行かれる。
実際ふたを開けて見ないと分からないが、来年以降、三角合併等による日本企業の買収合併が花盛りとなり、アッと言うような買収劇が起こる可能性が高いと思っている。
また、早い話、優秀な日本企業の外人持ち株比率が50%を超えている会社も可也あり、企業立地としては日本は世界的にも悪い部類に入るので本社を海外に移す企業さえ出て来ると言う可能性もある。
グローバル時代の到来が言われて久しいが、何時までも日本企業が日本企業に留まっている保障はなく、グローバルに流動していることを忘れるとしっぺ返しが大きくなることは必定である。