熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

本のeコマース・・・やはり書店の方が良い筈だが

2006年02月27日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   日経MJフォーラム「最新eコマース事情」を聴講したが、問題の核心は、やはり、如何に利便性と取引の安全性を確保するのかということである。
   楽天を筆頭にeコマース市場が活発に展開されているが、やはり、決済したのに商品が届かないと言った詐欺紛いの取引から、個人情報の流出、クレジットカードの悪用など、eコマースについては、便利な反面、問題が後を絶たないので、まだ手を出さない友人も多い。

   私の場合は、昔から海外生活や海外出張が多くて、クレジットカードなしには仕事が出来なかった所為もあり、クレジットカードでの取引には全く抵抗なかったので、eコマースにはすんなりと入って便利に遣わせて貰っている。
   旅行の場合は、普通エージェントや代理店を使ってチケットやホテルを予約するのだが、私のように総て自分で手配する人間にとっては、決済手段は総てクレジットカードであり、手配の手段が電話からコンピューターのeメールに変わっただけであり、むしろ、時間的制約のない分便利になったくらいであるし、確認も完全に取れる。
   オペラやコンサートのチケットは勿論、最近では、コンシューマーエレクトロニクス、カメラ関係は殆どeコマースであり、株取引もコンピューターで行っているのは当然である。
   私の場合は、プラハのオペラのチケット、イタリアやイギリスのホテルや観劇チケット、アメリカからのグッズの調達、等々外国相手にもeコマースを使っているが、外国語に堪能でない慣れない人には止めた方が良いであろう。

   幸いなことに、カード決済では、今のところ、大きなトラブルは経験していないので、eコマースでの問題はないが、一時、ヤフーのオークションで得体の知れない反応がありこれは怪しいと思ったことがあるので、オークションはやるつもりはない。

   ところで、シンポジュームに参加していた伊藤元重東大教授が、バーチャルなeコマースと実際の取引とが共存してビジネスチャンスを広げているケースがあることに言及していた。
   イギリスのスーパー・テスコの場合であるが、この会社は結構eコマースに力を入れているようである。
   普通は店に行き買い物をしている客が、所用等で店に行けない場合は、パソコンでテスコに注文を入れ、店員がその指示に従って商品を取り揃えて配達していると言うのである。

   アマゾンを筆頭に、本のeコマースは、非常に活発だが、実際には、直接配達されるよりは、コンビニ受け取り、書店での直接受け取りなどの方が遥かに多いようである。
   私の場合は、アマゾンに予約を入れる場合は配送だが、例えば、旭屋書店にパソコンで注文を入れる時などは銀座店で受け取っている。
   経済や経営、芸術関連の洋書などは、アマゾンやバーンズ・アンド・ノーブルにパソコンでオーダーを入れて配送で受け取るeコマースであるが、はっきりと中身が分かっている本以外は、総て、書店に行って、本を確認してから買っている。
   これは、やはり、首都圏に住んでいて、あらゆる本に直接触れることが出来るからであろうが、いくらeコマースが便利だからと言っても、これには限界がある。
   eコマースと実際のリアル商店との棲み分け、そして、その共存共栄がビジネスチャンスを拡大する道であることには間違いない。
   三省堂の有楽町店では、少し早いが、桜に関連する本を集めて展示していたし、神田の本店では、店頭で結構面白い展示や即売をやっていたりする。しかし、もう少し工夫しないとすぐにだれてしまう。

   日本の代表的な書店では、ネットブックショップも併設しているが、本の説明が極めて貧弱で、その本がどんな本なのか、ブックの背後にある必要なデータベースが全くなっていない。例えば、著者の略歴等書いてあるだけでも役に立つし、あれば著者のホームページに繋げるともっとベターである。
   何故、ネットショップを開いてデジタル、IT手段を使ってビジネスしているのか、全く分かっていないのが日本の書店である。
   アマゾンの場合には、データベースが比較的充実しているので、翻訳本などはアメリカやイギリスのアマゾンを開いて原書の説明を読んで参考にしている。 
   日本の書店も、他のデータベースをアウトソーシングするなり、もう少し、まともなマーケティング担当や司書を雇うなどして、売り物に付加価値を付けるべきである。 

   ところで、書店だが、本の説明などは、古本屋の主人等の方が遥かに詳しいが、やはり、本に対する知識は店員の必須知識だと思うので、担当の部門の本は熟知しておくべきである。
   ベストセラーや売れている新刊書などはインターネットで買っても良いが、店に来て買うのは、何らかの情報を得て買いたいと思っているのだから、それに対応する姿勢がないとダメである。
   とにかく、東京には大型の書店が沢山あるが、何処へ行っても同じで、少しも面白くない。ワクワクするような喜びを与えてくれるような、何時も行きたいと思うような、そんな店が出来ないであろうか。
   世の中が豊かになればなるほど、知の集積、知識の源である本が重要になってくる筈だが、日本は違うのであろうかと思ってしまう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする