Yahoo!のトピックスにも取り上げられていた、ポーラ化粧品のリクルートCM。
このCMで、注目されるのは「日本という国は、女性にとって発展途上国だと思う」という、コトバだろう。
ポーラ化粧品:リクルートCM
コピー機の前で、漠然とコピーをとる女性。
溜息をつきながら、(妊娠のため)大きくなったお腹をさする女性。
洗面所で、涙をこらえている女性。
自分も出席していた会議が終わった後、片づけをする女性。
登場する女性たちの姿は、私の20代~30代の頃、頻繁に見た「ありふれた光景」だった。
今でも「女に仕事は任せられない」と、言い切る男性も少なからずいらっしゃる。
能力的問題以前に、女性であることが仕事でのハンディとなる場合が、現実としてあるのは事実だろう。
その一方、安倍政権は「一億総活躍社会」を目指している。
この「活躍社会」というのが、実に曖昧なため「何をもって活躍というのか?」という点が不明なため、「仕事をしている人=活躍している人」と、とらえられてしまっているような気がする。
そうなると「仕事をしていない人」は、活躍していない人なのか?ということになる。
その「仕事」も、男性から見た仕事では、女性は活躍していないに等しいかもしれない。
だからこそ、家事をし、子育てをして、介護までやってほしい、できれば仕事も・・・という、男性側から見た要求の現実が見えてくる。
男性の尺度で仕事をさせられ、「女の子の仕事」という概念の中で「私のやりたい仕事は、こんな事じゃない!」と、もがき苦しんでいる女性たちにスポットを当てた点では、素晴らしい視点だと思う。
何より、私が社会にでて30年以上経っても、男女雇用機会均等法が施行されても、日本のビジネス慣行はほとんど変わってはいない、という事実を突きつけた点でも、優れていると思う。
しかし、視点を変えるともしかしたら「女性にとって,発展途上国」なのではなく、「男性にとっても発展途上国」なのかもしれない。
CMの中にあるように「様々なしがらみ」に縛られて、仕事をしているのは男性だ。
その「しがらみ」に縛られ、本当は休みたいのに休めない、という社会慣行に苦しんでいるのは男性なのでは?
そう考えると「日本は、男性が自分らしく生きるコトができない、発展途上国」かもしれない・・・という気がするのだ。
米国大統領共和党候補となった、トランプ氏の暴言・放言が止まらない。
先日は、イラクで戦死したイスラム教徒の遺族に対して、暴言を吐き問題となった。
AFP:トランプ氏、戦没者遺族を繰り返し批判。党内外から非難の嵐
この発言に対して、オバマ大統領だけではなく共和党内からも非難の声が上がったのは、当然だろう。
というのも「退役軍人団体」というのは、団体規模も大きく資金面での支援も大きいからだ。
そのような団体から非難されるとなると、とてもではないが選挙戦は戦えない。
戦えないだけではない。
批判した陸軍中尉は、イラクでの戦闘で亡くなっている。
ブッシュ氏(=共和党出身の大統領)が始めた戦争で、亡くなったといっても過言ではない。
トランプ氏としては、イスラム教徒を批判したつもりだったのだろうが、イスラム教徒ではなく戦没者全体を批判したようなカタチとなってしまったのだ。
しかし、トランプ氏の暴言はこれだけでは収まらない。
「あなたは何一つ犠牲を払っていない」と、戦没者遺族の言葉に対して「たくさんの『雇用』という犠牲を払ってきた」と、言ってしまったのだ。
朝日新聞:「雇用創出という犠牲払った」トランプ氏、遺族に反論
「雇用の創出」と「戦争で自分の家族が犠牲になる」ということは、同じではない。
それを思わず、言ってしまったのだ。
ある意味、トランプ氏が考える「雇用」についての本音の考えを、話してしまったという瞬間だったと思う。
トランプ氏のような実業家だけではなく、企業の経営に携わっている人はもちろん、ビジネスマンであれば「雇用の創出」の意味は、十分にご存じだと思う。
「雇用の創出」があるからこそ、経済的な安定が図られ、経済が発展するのだ。
もちろん「経済格差」の解消にもつながり、社会的貧困層の解消、ひいては社会保障費の軽減にも結び付く。
それが「雇用の創出」の重要性でもあるのだ。
それを「犠牲」と思わず(苦し紛れに)言ってしまった、ということはトランプ氏自身は、「雇用」することは、自分の利益を失わせることだ、と考えているということになる。
実際、トランプ氏は自分が出演するテレビ番組で「お前は、クビだ」という言葉が、お決まり台詞だった。
テレビ番組では、決め台詞となる言葉であっても、ビジネスマンとしては軽々しく言う言葉ではない。
それは「雇用」によって起きる、様々な経済的利点や社会的利点が、十二分にわかっているからだ。
にもかかわらず、苦し紛れに言ってしまったということは、トランプ氏自身が実業家としても、経営者、ビジネスマンとしても、問題を抱えた人物である、ということを自らアピールしてしまったのだ。
トランプ氏を支えている層というのは、「白人のブルーカラー」と言われている。
「雇用」に対する、不安を常に持っている層でもある。
彼らが今回のトランプ氏の発言を聞いて、どう思ったのだろうか?
何より、全米のビジネスパーソンからは「トランプ氏のような人物は、ビジネスパーソンでも何でもない。単なる金儲けの亡者だ」と、思われたような気がする。
三菱自動車の「燃費不正問題」で、昨日調つ査委員会からの報告があった。
朝日新聞:三菱自幹部、新入社員の不正指摘を放置 調査委会が報告書
調査委員会側が指摘した「新入社員が、不正を指摘するというインパクトがある出来事なのに、会社幹部が覚えていない、というのは組織的隠ぺい体質があったのでは」という指摘がされている。
確かに、第三者から見ればインパクトのある出来事であったのでは?と思うし、そのような指摘をされても仕方ないはずだ。
しかし、当事者である幹部たちが「覚えていない」というのも、分かるような気がするのだ。
単純に「覚えていない」のではなく、「最初から、聞く気が無かった」ので「覚えていない」という気がするからだ。
最初から聞く気が無く、話の内容よりも「話を聞いた」という事実だけが重要で、半ばその会議(?)が「セレモニー化」していてたとしても、不思議ではないだろう。
あくまでも想像の範囲なので、本当かどうかはわからないが、その話を聞いた幹部側の思考として「新入社員に、この会社のことがわかるのか!」という、気持ちはあったのでは?という気がするのだ。
だからこそ「聞く気が無い話」として、最初から情報を遮断していたのではないだろうか?
そう考えると、この「新入社員の指摘を放置」という問題は、決して三菱自動車幹部だけのことではない、ということになる。
違う言い方をするなら、「前例主義の組織体質」ということになるのかもしれない。
もしくは「硬直化した組織」ということになるのかもしれない。
既に出来上がって、それなりの実績を積んできた組織(企業)は、「異質」を受け入れることが苦手だ。
「異質」というのは、「新入社員」であったり、「女性」や「障害を持った人」、あるいは「外国籍の人」などになるだろう。
「新入社員」は、入社後数カ月は「異質」な存在であっても、徐々に組織の一員となっていく。そのころになってやっと「異質な存在」から「仲間」という扱いになっていくはずだ。
「仲間」以外の人物から、自分たちの間違いを指摘されたら、多くの人は拒絶反応を起こすのでは?
それと同じことなのだと思う。
その視点で考えると、この報告書の指摘は三菱自動車幹部だけではなく、多くの企業が潜在的に持っている問題だという気がする。
昨日の東京都知事選の結果は、すでにご存じの通り小池さんが圧倒的支持を得て、当選された。
小池さんが出馬を表明した時から、最有力候補として挙げられていたことを考えれば、順当な結果という気がする。
ただ、小池さんの政治家としての手腕を評価しての、当選だったのか?と言うと、どうなのだろう?という気もするのだ。
もちろん、小池さんは国会議員としてのキャリアだけではなく、大臣経験もある。
その意味では「国とのパイプ」も、他の候補者よりも持っている。
しかし、それが当選した要因か?と言えば、やはり違うような気がするのだ。
むしろ、小池さん支持を早い段階で表明した前都知事の猪瀬さんの「都議連」という伏魔殿発言や、その後の「文春砲」とも言われる都議連のドンと呼ばれる?方の、スキャンダルなどが、小池さんを当選させたのでは?という気がするのだ。
前都知事の猪瀬さんが、ご自身のSNSで発信した「都議連の伏魔殿」発言は、都知事だけではなく都議連にも問題があり、その都議連のドンと呼ばれる人物をクローズアップさせることで、その人物と関係している企業が2020年の東京オリンピックにかかわる事業を多く請け負うことになっているということや、自殺にまで追い込まれた都議がいたなど、都議連の問題というよりもドンと言われる人物による「悪行(というべきか?)」が、世間の目にさらされることになった。
このことは、当然自民党都議連が推薦した増田さんにとっては、痛手となったはずだ。
増田さんが岩手県知事時代に作られた「負の遺産」そのものは、立候補の話があったときから問題視されてはいたが、選挙終盤になると増田さんよりも、「都議連のドン」へと話題が移っていった。
世間的には「伏魔殿のドンとその取り巻きが支援するような人は、✖」という、雰囲気が選挙前に出来上がってしまっていたように感じるのだ。
それだけではなく、自民党都議連の「お達し」などが、社会に知れ渡るコトで、小池さんを「ヒロイン化」させることになってしまった。
極め付けは、石原慎太郎さんの「大年増+厚化粧」発言だろう。
以前、拙ブログでも指摘をさせていただいたのだが、小池さんご自身は、同性からそれほど好かれるキャラクターではないように感じている。
それは「政界の渡り鳥」と呼ばれる小池さんの姿が、「(自分の)都合の良い相手にすり寄る、オンナ」というイメージがたぶんにあるからだと思う。
ところが、選挙戦終盤で飛び出した石原慎太郎さんの「暴言・放言」により、女性が小池さんに動いたような印象を受けるのだ。
小池さんにとって、これからは「都議連」との戦いが待っているはずだ。
都議連側としては、小池さんが都知事に立候補さえしなければ、世間に知られることのなかった「闇」の部分を世間に曝した!という点で、快く思ってはいないはずだ。
「自分たちは被害者だ」という、気持ちも都議連側にあるかもしれない。
であれば小池さんは、都議連との協調路線を図るのではなく、正攻法の議会運営をすることが大切なのだと思う。