日経新聞のWeb版に、なかなか手厳しい記事があった。
日経新聞:地域のデジタル街づくり「実験ありき」で7割成果なし
有料会員の記事なので、全文が読めないのは残念なのだが、見出しを見てもおおよその内容が分かる気がする。
というのも、私の実家がある米子市でも「Mass」を民間バス会社と共に運用をはじめているのだが、帰省する度に「誰がこのシステムを利用しているの?」と、疑問に思うことばかりだったからだ。
おそらく「Mass」を導入するにあたり、それなりの補助金が行政や企業に出ているのでは?と、思うのだが、その成果を求められているのか?という疑問も持っている。
まさしく「実験」として補助金をもらい、成果云々を問われることなくフェイドアウトしていくのだろうな~、という印象しかないからだ。
なぜこのような「実験」だけで終わってしまうのか?ということを、行政は考える必要が当然ある。
当然あるのだが、「補助金をもらう」ということに主眼を置いているのであれば、その仕組みづくりや需要、利用者や利用者の生活スタイルなどを調べ、考え、現実的な仕組みづくりなど、考える必要はないからだ。
そしてそのような安直な考えで「実験に参加する」行政や企業が、多いのでは?ということなのだ。
これが、「クラウドファンディング」のようなカタチで、資金集めをし・支援者に報告をするということになれば、安易な気持ちで手を挙げるということができないと思うのだ。
そもそも、行政に携わる人たちが「需要の先にある人」をどれだけ見ているのだろうか?と、疑問に感じている。
「需要の先にある人を見る」ということそのものが、マーケティングという領域の仕事であり、これまで行政にはマーケティング発想など、求められてはこなかった。
高度成長期から低成長、マイナス成長と言われるようになっても、行政自身が「儲け」ということを考える必要が無かった、という部分も大きいだろう。
「行政が儲ける」というと、反対の意見を述べられる方も多いと思うのだが、あえて「儲ける」という言葉を使うのは、行政サービスの維持・向上のために「市税を増やす」という意味だ。
「市税を増やす」ためには、①現役世代の市民を増やす、②企業誘致、③補助金などの方法がある。
①、②は即効性がないだけではなく、行政側にも様々な提案や整備をしなくてはならない。
①の現役世代の市民を増やすためには、出産・育児・教育などの充実が必要になるため、企業でいうところの「先行投資」となるモノが必要となる。
そのために、現在の市民の理解と支持が必要だ。
②の企業誘致にしても、「行政自身が自分たちの魅力を伝える」という分析とプレゼンテーション力が必要となる。
このような時間と労力を必要としないのが、③の補助金ということになる。
安易にもらえるモノだからこそ、安易に飛びつくことができるし、市民のメリットとデメリットを訴え、理解を得ようとしない、ということになるのでは?と、想像している。
とすれば、今行政に携わる人たちに一番必要なモノは「マーケティング力」ということなのでは、無いだろうか?