今日、フランスのTGVの複数の線路で火災が発生し、TGVの運行だけではなく関連する駅でも混乱が起きている、というニュースがあった。
朝日新聞:フランスTGV、複数の路線で火災の情報 五輪開会式は予定通り実施
毎日新聞:仏TGV路線で放火・破壊 鉄道網狙う大規模攻撃か パリ五輪開幕直前
これら報道だけを見ると、時期的にパリオリンピック開催に反対する人達の、過激な抗議行動のような印象を受ける。
しかし、現時点で抗議団体などからの声明などが無く、犯行そのものの動機などはまだ不明なままだ。
ただ、これまでオリンピックとは関係が無いのだが、フランスをはじめとする著名な美術館や観光施設に対して、ペンキやジュースなどを作品に投げ付けるという行為が、環境保護団体などが行ってきている。
彼らと関係があるのかは、上述した通り犯行声明のようなものが出ていないので、わからないのだが、過激さから考えるとなんだかの意図があり、フランスの鉄道網を攻撃し、混乱に陥れたい、という意志のようなものは感じる。
ブラジルのリオ五輪の後、東京・パリと先進国での五輪開催が続いている。
しかも、初開催ではなく、過去にも五輪を開催した都市での開催だ。
このような過去に開催をしたことがある都市開催に対して、何等かの不満を持つ人達がいてもおかしくはないだろう。
「なぜ、同じ都市で何度も開催するのか?」という、疑念だ。
ただ、五輪の開催は先の東京五輪でもわかる通り、当初予算の何倍ものお金がかかる。
ある程度の都市規模と、経済力がある都市でなくては、開催そのものができない、というのが現状だろう。
もちろん、開催することで観光誘致ができたりすることはできるのだが、今現在はその観光誘致などは都市にとって魅力なのだろうか?
それよりも、魅力があるとすれば、様々な企業から支払われるスポンサー料などでは?という、気がしている。
財政難というのではなく、都市開催が基本となる五輪では開催運営に携わった団体=開催都市に、膨大なお金が落ちる、とも言われている。
このビジネスモデルの始まりは、1984年のロサンゼルス五輪で、それまでの五輪は開催すれば、必ず赤字、という状況だったと言われている。
それを聖火ランナーをスポンサー企業を絡め、募集し一般ランナーが参加できるようになった。
現在では、このスタイルが定着し、スポンサー企業の名前の入ったTシャツを着て、一般ランナーが高々と聖火トーチを掲げ走る光景が定着した。
しかもスポンサーランクのようなものがあり、飲料水メーカーはコカ・コーラ社、クレジット会社はVisa、自動車はトヨタの「ミライ」というように1業種1社と決められている。
スポンサー契約を獲れること自体、企業にとっては広告宣伝だと考えれば、それなりのメリットがあるがその額は開催毎に高騰している、と言われている。
今や、クーベルタン男爵が言われたような「参加することに意義がある」という五輪の姿ではない、と言っても過言ではないだろう。
TEAM JAPAN:クーベルタンとオリンピズム
そう考えると、今回のTGV路線を狙った放火や破壊行為は、行き過ぎた商業主義五輪に対する、抗議のようにも思えてくる。
選手やスポーツ関係者、観客や住民の方々には、関係が無いが、美術館を襲撃する過激な団体の姿を見ると、そんな気がしてくるのだ。
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