日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「タイパ」は、効率的なのか?

2022-12-20 21:18:35 | アラカルト

昨日の朝FM番組を聞いていたら、今年の日経MJが選ぶ「ヒット商品番付」という話題があった。
TFM ワンモーニング・トレンドネット:「没入型消費」、今年の消費トレンド振り返りと来年の消費動向を展望 

今年の「ヒット商品番付」の横綱に選ばれた一つが、「コスパ&タイパ」ということのようだ。
「コスパ」は聞いたことがあるが、「タイパ」は聞いたことがない、という方はいらっしゃると思う。
「タイパ」とは、「タイム・パフォーマンス」ということらしい。
随分前に拙ブログでも紹介した「テレビ番組や映画を、ネットで倍速で見たりする」ことを指す言葉のようだ。

以前ブログで「倍速でテレビや映画をネットで視聴する若者」について、書かせていただいた時に、「倍速で視聴した後の時間」の過ごし方、について疑問というか、不思議な感覚を覚えた記憶がある。
そもそもなぜ「倍速で視聴する必要があるのか?」という点で、「やりたいことが沢山ありすぎて、時間がない」ということのような印象を受けるのだが、その実は「お手軽にいろいろなモノ・コトを楽しみたい」ということのようだ。
その最たるものが「ファスト教養」ということになるようだ。

「ファスト教養」というのは、YouTubeなどで見る事ができる「10分でわかる〇〇」というような、教養系YouTubeを倍速で視聴し「何となくわかったような感覚を得られる」ということと、「幅広い知識を短時間で得られたような、気がする」を指しているようだが、もう一つ加えるとすれば「タダ=無料」と点もあるのでは?という、気がしている。
ご存じのように、YouTubeにも有料と無料の2つがある。
広告などの表示がされないのが有料で、一つの番組中に何度か広告が入るのが無料ということになる。
そして今やYouTubeそのものの番組の種類が、とてつもなく多くあり、音楽やアニメ、料理などから、市民向け大学公開講座もある。
教養系と呼ばれるYouTubeには、上述したような「10分で分かる〇〇」のような、難しい内容のビジネス書籍などを、かいつまんで解説をしてくれる内容のモノもある。
そのようなYouTubeを倍速でタダで視聴することで、「何となく教養が見についた」という、気分になるという。

果たしてそのようなことで身に着けた「ファスト教養」は、本当に教養と言えるのだろうか?
大学の講義のように、90分着席をし講義を聞き続けるのは、大変なことだと思うし、そう感じたことも確かだ。
だからと言って、要約した内容を倍速で理解できるほど、生易しいモノなどはほとんどない、と実感している。
違う言い方をするなら「広く・浅く身に着けた教養」ではなく、「アッという間に消え去ってしまう教養」を、倍速という時間を使っただけ、ということなのだ。

あくまでも個人的な体験としてだが、「ファスト教養」と呼ばれるモノは、やはり「ファスト=早く過ぎ去ってしまう」ものでしかない。
「ファスト教養」を倍速で視聴する時間を積み重ねても、それは「タイム・パフォーマンス」としては、効率が良いとは言えない気がするのだが…。