日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

閉塞感から逃げ出せ

2017-09-25 10:08:08 | アラカルト

9月22日、朝日新聞と東京新聞に、ある広告が真ん中二面を使って掲載された。
ジャニーズ事務所を退所した、稲垣五郎さん、草彅剛さんそして香取慎吾さんの3人が、情報発信するサイト開設の広告だった。
と同時に、youtubeでも動画が公開された。
新しい地図」というサイトだ。
ご覧になられた方も、多いのではないだろうか?

この動画を見た時、思い出したことがあった。
昨年秋、話題となったドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の最終回、最後近くの主人公・森山みくりのモノローグの台詞だ。
「私たちを縛るすべてのモノから
 目に見えない小さな痛みから
 いつの日か解き放たれて
 時に泣いても
 笑っていられますように」
放送直後から、この台詞については様々な解釈がされてきた。

ドラマでは、これまで社会的にマイノリティーと言われてきた人たちを登場させることで、マイノリティーとされる人たちの「社会的居心地の悪さ」のようなものを表現していた。
それを象徴する台詞の一つが
「自分は決めつけられるのが嫌なのに、人はどうして、偏見を持ってしまうのでしょう。」
だろう。
この言葉は、みくりの契約結婚の相手である津崎平匡が、同僚でゲイと言われている沼田さんについて、「ゲイだから、男目線と女目線があって鋭い」という趣旨の感想を述べた時、仲の良い同僚の風見さんから「ゲイだからではなく、沼田さんは、沼田さんなんですよ」と言われ、呟く言葉だ。

確かに、人を見るとき「あの人は、○○だから・・・」という、レッテルを貼る傾向がある。
総理である安倍さんも「レッテル」という言葉を、一時よく口にしていた。
「レッテル=決めつけ」は、実はとても分かり易く、人を単純評価する一つの方法だと考えている。
そのために、その人を知らない人からも共感を得やすくなる、という傾向がある。
それが「偏見」を生み出しやすい環境になるのではないだろうか?

今社会には、様々な偏見があるような気がしている。
人種や宗教という以前から指摘されているような「偏見」から、LGBT、自分との差異を感じる相手などの個人的な「偏見」まで、実に様々だ。
その「偏見」は、相手を傷つけるだけではなく、社会の息苦しさも生み出しているように感じている。
「自分が自分らしくいるために」という言葉には、わがままなニュアンスも含まれているが、社会全体が「自分を犠牲にして、社会の流れに従え」という閉塞感からの反発もあるのでは?

稲垣さん、草彅さん、香取さんたちが、ここ1年数カ月「息苦しさ」や「閉塞感」を感じていた言葉なのかもしれないが、この「新しい地図」というメッセージは、同時に今の社会で「息苦しさ」や「閉塞感」を感じている人たちへのエールのようにも思えるのだ。