子供のころ、女の子と遊ぶときはお医者さんごっこが一番楽しかった。
「じゃあ、私、看護婦さんやる」
という子がいた。
お医者さんごっこの場合、脱がされるのは患者だけで、もちろん看護婦にはその被害は及ばない。
要領の良い子は先に看護婦役に手を上げ、ちょっとトロい子は患者になった。
先生役(アタクシですが)が「はい、聴診器で身体を調べますから服を脱いだください」
患者はおとなしく上着を脱いで、座布団2枚だけの簡易ベットの上に横になった。
「うーん、お腹をこわしてますね、お薬をあげましょう」
そういって看護婦さんに向かって手を出すと、畳の上に散らばっていたおはじきを渡され、そのおはじきを右手に握り、
「はい、お薬をあげましょう」といって、スカートをパッとまくり、パンツをズリ下げて持っていたおはじきをその中に全部放り込んだ。
「わーっ、冷たいよー、冷たいよー」といって足をバタバタさせ、おはじきをパンツの中に入れたままオンオン泣きながら家に帰ってしまった。
先生と看護婦役は横目でお互いを見ながら黙っていた。
「あんたはいやらしい」と言われて半世紀以上。
幼いころ、パンツの中におはじきを突っ込んだ記憶が今でも脳裏の片隅に残っているのが何だか恥ずかしいような、アホらしいような。
ふとそんなことを思い出してしまった。