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ぽかぽか春庭アーカイブ「(く)串田孫一『光と翳の領域』」

2018-11-03 00:00:01 | エッセイ、コラム
20181103
ぽかぽか春庭アーカイブ>(く)串田孫一『光と翳の領域』

 2003年のアーカイブです。
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at 2003 10/03 09:16 編集
春庭千日千冊 今日の一冊No.8(く)串田孫一『光と翳の領域』
 若い頃、あんなに熱心に読んだのに、今、本を手にとって目次を眺めても、どんなことが書いてあったのか全然思い出せない、という本もある。
 山登りが好きだった頃、せっせと読み、味わい深く心にとめた串田孫一のエッセイ類。
 伯母が姪の顔を忘れるように、私も好きだったエッセイの内容を忘れている。
 でも、いいのだと思う。全部が全部記憶にあって、すべてのことをくっきりと思い出さなくても。ぼんやりとしている記憶。おぼろげな思い出。それもこれも自分の一部。
 「忘れちゃってもええやんか」と言いながら、ページを閉じる。

at 2003 10/03 09:16 編集 長寿世界一と「元気がなくてもええやんか」
 ギネスブックに載っている長寿世界一、女性は116歳本郷かまとさん、男性は114歳中願寺雄吉さん。男女とも日本人だったが、残念ながら、雄吉さんは、2003/09/28に永眠された。家族が見にいったら、布団の中で大往生をとげていた、という114年の見事な生涯。
 でも、だれもがこんなふうに大往生できるわけでもないし、晩年までシャンシャンと過ごせるわけでもない。

 私の伯母も米寿を超えて、姪たちの顔や名前がわからなくなってきた。それでも伯母に最後まで楽しく生きていってほしいし、好きなものを食べておいしいと感じてほしい。もう、がんばらなくてもいいから、ふんわりとゆったりと、すごしてほしい。
 そんな思いでいるとき、数学者森毅さんの近著『元気がなくてもええやんか』の紹介と著者インタビューが2003/09/14の朝日読書欄に載った。
 天声人語にも引用されたことば、「みんなが毎日ハイになることないやんか。元気がない人もいてええんや」
 こんなふうに言ってもらうと、年中落ち込み、しょっちゅう元気をなくしている私は、ほっとする。元気出さなくちゃ、と自分にはっぱをかけつつ、「元気がなくてもええやんか」とつぶやいて、明日を迎えることにしよう。

 次回(け)はなし。かわりに(こ)を2回連続で。
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2010/01/17
 京都でご主人の介護を続けておられる染織家のウェブ友びるまさん。カフェ日記に、ご主人が妻のことがわからなくなった、と書いていらっしゃった。
 『 12月26日深夜、夫、私の事が判らなくなり、不安にかられて、興奮して、皆を起こしてしまいました。息子は「そんな悲しい事を言わんで~な、あんたの嫁さんやろが!」私、息子に小声で、「今が、正気なんよ!」
 「お父さん、全部忘れてもいいんよ~、ずっと、側に居るからね~~」「二人とも、お父さんの事を覚えているから、心配無いよ~~~」夫、少し、安心したようで、眠りにつきました。
 』

 「忘れてもいいんよ、お父さんのこと覚えているから、心配ないよ」という声かけは、なんとすばらしい言葉かと感服しました。姪の顔も忘れてしまった伯母に対して、私は「私のことわかってもらえないなら、見舞いに来ても無駄なんじゃないか」と感じてしまった。今思うに、伯母に「忘れてもいいんだよ。私たちは伯母さんのこといつも思っているから、大丈夫だよ」と声をかけてやるべきだったと、びるまさんのご主人への深い愛を読んで反省しました。伯母が逝って5年たちます。

 認知症の介護方法やアルツハイマー型の治療法へのさまざまな新しい方法が紹介されてきているので、私が自分の名前を忘れるころには、よい治療方法ができていると楽観しています。「脳トレ」とか自分を鍛える努力は他の方におまかせして、私は今日も「忘れちゃっても大丈夫」と開き直っております。
 あれ、私のめがね、どこ?さっきはここにあったのに。あれ?鍵がない、さいふも。と、一日の半分は「失せ物探し」で日が暮れる。

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20181103
 京都滞在楽しんでいます。ブログ友達というか先輩のアントニオ兄と中華料理店で生ビール飲んでしゃべったときは、自分がどれくらい物忘れするか合戦になったり体がどれほどガタガタになっているか競争になったり、ヨボヨボ自慢を繰り広げましたが、お互い老いを受けいれつつ、何とか生きていこうと励まし合いました。

つづく>
コメント (6)
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