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ぽかぽか春庭アーカイブ「さ)澤地久枝『妻たちの二・二六事件』」

2018-11-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
20181106
ぽかぽか春庭アーカイブ>(さ)澤地久枝『妻たちの二・二六事件』

2003年のアーカイブです。
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at 2003 10/06 04:49 編集
春庭千日千冊 今日の一冊No.11(さ)澤地久枝『妻たちの二・二六事件』
 石牟礼道子、須賀敦子と共に、女性作家の中で、愛読してきたひとり。
 『妻たちの二・二六事件』は、澤地久枝がノンフィクション作家として世に出た最初の作品。長年の『戦争と人間』の資料助手の時代を経て、独り立ちしたデビューだった。
 この後の作品、文庫本になったものは、ほとんど読んでいる。中国へ行く前は『もうひとつの満州』に感銘を受けた。
 戦争ドキュメンタリーや『石川節子』の評伝など、歴史に翻弄されながらも自分の生き方をつらぬいた女性を描いた作も好きだが、彼女自身の自伝エッセイも好き。

 澤地さんは、67歳のときにスタンフォード大学で1年間聴講生として学び、続けてさらに琉球大学の大学院で2年間、国際関係論を学んだ。72歳になった2003年3月には卒業した早稲田大学から、芸術功労者表彰を受けた。
 授賞式(2003年/3月の早稲田大学卒業式)での、記念スピーチから

 『私は、卒業論文が万葉集十四巻の東歌の研究でございました。ご存じのように、これは東国の無名の人たちの歌を短歌の形式に採取したものでございます。考えてみますと、私はいつも名前の知られないような底辺の人たち、しかし、その人たちを抜きにしては歴史は一日も成り立たなかったという人たちのことに心を惹かれ、そういう人たちのことを文章にする仕事をしてきたという感じがいたします。

 しかし、これは地味な仕事でございます。私自身としては、だれも認めてくれなくても自分の気持ちが済むようなきちんとした仕事をしたいという思い一筋に生きてまいりましたけれども、今日こういう席にお招きいただいて、母校とは何とありがたいものかというのが私の実感でございます。(中略)
 私たちの身近なところで、歴史はさまざまな人間の物語を刻んでいるんでいるということを思わずにはいられません。


 どうぞ、あなたの近くにいる歴史の語り部から、さまざまな人間の物語を、受け取ってください。そして、受け止めた物語をインターネットで世界に発信してください。

at 2003 10/06 04:49 編集 歴史の語り部
 赤ワイン効果に続けて、脳の老化を防ぐよい方法をもうひとつ。
 思い出を語ることが、高齢者の生活活性化にたいへん良い影響があることが、最近の研究の結果、明らかになっている。
 『100歳回想法』(黒川由紀子著)には、100歳前後のお年寄りの回想が記録されている。遠い過去のできごとを、生き生きと思い出し、語り続けるお年寄りたち。

 心理療法として開発された「回想法」であるが、専門家だけの療法ではなく、家庭でもできる。「家庭でもできる回想法入門」。自分の周囲に高齢の方がいたら、回想法を取り入れよう!
 私は、舅が残した「山東省出征記録画集」という、中国戦線をスケッチした画集を、いつかまとめて公開したいと思っている。「

 私など、実家の父には「おじいちゃん、その話、もう何回も聞いた!」などと、冷たく言ってしまったこともあり、亡くなった後になって、「もっと熱心に話を聞いておくんだった」と後悔している。

 高齢の方や、そのご家族にインターネットホームページを活用してほしいことのひとつに、「歴史の語り部」がある。
 21世紀の今、高齢となっている方々は、先の戦争や戦後復興を体験した、それぞれが貴重な経験の持ち主。来し方の思い出を、ご自身の文章、家族の聞き書き、語りおろしの録音などで、残してほしい。小さな思い出も、些末に思える記憶も、貴重な歴史の証言。
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2010/01/20
 2010年の現在では、「傾聴ボランティア」という仕事に注目が集まっている。老人ホームなどで、お年寄りのおしゃべりに耳を傾け、気持ちよく話しをしてもらう役割を果たす。あいずちの打ち方、興味の示し方などに訓練を受け、つじつまがあわない話であっても、そう語りたいのがお年寄りの気持ちなら、その話をそういうものとして受け止める。語る人の気持ちを尊重し、敬意をこめて話を聞く。

 回想法、年寄りの話には繰り返しも多く、矛盾もあるけれど、それを「また、おじいちゃんの自慢話が始まった」などと冷たくあしらわずに、耳を傾けて、1時間話を受け止めることで、お年寄りは記憶を生き生きとさせて脳を活性化できるし、聞く方は貴重な時代の証言を受け止めることができる。家族だと何度でも同じ話を聞かなければならない、という人のために、傾聴ボランティアがある。順番にローテーションで話を聞いて回れば、毎回違う人の話を聞ける。

 「生きている本の貸し出し」という図書館活動もある。貸し出される「生きている本」は、自分の体験を語る。かり出したほうは、サークルやグループ活動の場でひとりの人の語りを聞き取り、一冊の本を読むように、ひとりの生きた証言を聞く。もっと広がってほしい活動です。

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20181106
 今年のよい出来事のひとつ。澤地久枝の講演会に出かけて、ツーショットを撮影できたこと。『14歳<フォーティーン>満州開拓村からの帰還』にサインしてもらえたこと。
 澤地さんがいつまでもお元気で言論の火を灯し続けていらっしゃることを、願っています。

 3月に掲載したのですが、澤地さんとのツーショット写真、うれしかったので、もう一度。澤地さんの凛としたたたずまいの中に深いやさしさがにじみ出ているのに対して、春庭のアホ面、ミーハーファンまる出して、ばかっぽくて気に入っています。



<つづく>
コメント (4)
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