20220528
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記新緑薫風(7)ポケモンとまれびと IN 高島屋
羽生結弦写真展を見終わって4時半。娘が予約したポケモンカフェの時間が6時。まだ1時間半ある。娘がチェックして、本館5階の高島屋資料館で「まれびと展」をやっているという。
マレビト!
半世紀前の春庭は、『古事記』を民族学文化人類学的に読み解こうと、柳田國男の諸作、折口信夫の『古代研究』や『国文学の発生序説』、山口昌夫の文化人類学関連作なんぞを読み、読みこなせず、中途半端ななんともしょうもない卒論を提出しました。卒論指導の山路平四郎教授の評によると「ここは文学部であって、文学研究を求めている。民族学研究ではない」だった。山路先生、山路愛山の息子で、厳密な文学博士でした。卒業後、「中学校の国語教師になりました」という年賀状に、丁寧な励ましのことばを書いてくださいました。不肖の弟子にも優しかった先生ありがとうございました。
学際的な研究が広がる21世紀には「古事記の神話学・文化人類学的研究」も盛んになりました。半世紀前にやろうとして果たせなかったことを、今でも学びたいと思っています。
私が中途半端にやろうとしていた、「神話学からみた神の名」も、現在ではきちんとした論文が提出されているみたいです。ウマシアシカビとか、一生懸命考察したんですけど、けちょんけちょんな評でした。
学生の想像力だけで書いてはいかん、きちんとした「根拠」を示さねば論文にはならんのだということ肝に銘じて修士論文博士論文を書くことができたのは、山路先生のけちょんけちょんのおかげ。きちんとした根拠って、評価定まった先行論文引用ってことみたい。すでに世に認められている論文を綺羅星のごとく散りばめつつ、自分の論を構築するっているパッチワーク術の達人になれってことです。
高島屋資料室はそう広くもない一室でしたが、展示は充実していました。
写真は、石川直樹と岡本太郎のものが半々。岡本は縄文文化に入れ込んだあたりからマレビトをも追い求めた。
高島屋の口上
本展では、まれびとと祝祭を現在の視点からとらえ直したいと思います。古より人類は、幾度も疫病の脅威 にさらされてきましたが、我々は祝祭(祭り)と、その時間的・空間的中心に現れるまれびと(来訪神)を信仰 することにより、それらを乗り越える経験を重ねてきました。 感染症パンデミックにより、不可避的に閉ざされた関係を強いられている現在だからこそ、改めてまれびと と祝祭に目を向け、これら根源に立ち返ることが、現状を打ち破るヒントになるのではないかと考えます。 まれびととは、民俗学者であり国文学者でもあった折口信夫(1887-1953)が提唱した概念です。折口は それを、祭祀などに、超現実の世界から現実の世界を訪れて、またもとの世界にかえってゆくという、人間を 超えた存在としています。 そもそも時間や空間を一新する強大な力を持つまれびとは、もたらし/追いはらう、という両義性を持つ 存在でもありますが、それはすなわちまれびとが、異物としてもたらされた病でもあり、そしてその病を彼方へ 追いはらって救いをもたらす神でもあるということを意味しています。 こうした一見矛盾する概念が同居する状況を、古代から私たちの社会が内包してきたことは、コロナ禍に よって混迷した状況を、いま一度立ち止まって考察する契機にもなるでしょう。そして同時にそれは、分野を 超越して一つにつなぎ合わせるという、これからの芸術表現の可能性も示すことになるでしょう。 *2018年には「来訪神:仮面・仮装の神々」がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど、世界的にも災厄をはらって 幸福をもたらす来訪神(折口がいう「まれびと」)」が注目を浴びています。
娘にはそれほど興味がない展示かと思いきや。
娘は大学時代、サークル活動のひとつとして、沖縄県宮古島の児童館でボランティアをしました。そのおり、宮古島の民俗に興味をもったのだとか。
「パーントゥ」の動画映像記録に見入っていました。
宮古島のパーントゥ
映像は、外国人研究者が撮影した戦前のアイヌの祭り、 鹿児島県十島村悪石島の「ボゼ」など、貴重な記録でした。
12年に一度行われる久高島イザイホーは、1978年に撮影されたのを最後に途絶えた、ということです。神女になる「久高島に生まれ、久高島生まれの男に嫁いだ30歳以上の女性」という条件を満たす女性がいなくなったからです。みな、島の外に出て、若者は島に残らなくなった。
全国各地のマレビトを祭る行事は、衰退したり途絶えたり。
秋田のなまはげも、マレビト来訪というより、観光化して毎年の「季節だより」的なニュースになっているのを見ます。
悪石島のボゼは、1989年に鹿児島県の無形民俗文化財に指定され、2017年に、国の無形民俗文化財に指定されたことから、「観光資源」として存続していける模様。
悪石島ボゼ
岡本太郎が縄文文化やマレビト祝祭に影響を受けつつ制作した陶芸作品や「高島屋本館壁画」1954の原画を見ることができました。
ゆっくり動画記録も見て、ようやく5時半。本館4階からエレベーターで降りて、東館へ行って、またエレベーターで5階へ。ピカチューカフェで晩御飯。
6時の予約と娘が言ったのは、6:15の予約の人は6:05までに来店すること、といい渡されていたから。娘はポケモンショップへ。また、マグカップだのタオルハンカチだのいっぱい買い込むんでしょ。
私は待つことにしたのだけれど、5時半じゃまだ早すぎる。かといって、別の喫茶店に30分だけ座るのも、貧乏人にはもったいない気がするし。
「このフロアに座って待ていられるイスがありますか」と聞いてみると、受付のおねえさんは、「ここ、まっすぐ行くと、羽生結弦展やってますから、そこの待合スペースにいすがあります」「えっ、羽生結弦展見てきたんですけど」
たしか8階でした。
高島屋本館8階と東館5階は渡り廊下スペースでつながっていました。4階の資料室にいかなければ、直でポケモンカフェにつながっていたのです。知らなかった。
途中のゼクシイブライダルスペースの横にあったスツールに座る。ほんと、ちょっと先はさっき見てきた羽生結弦展でした。そこからぐるりと遠回りしたみたい。
娘はディズニーキャラクターもポケモンも大好き。ポケモンカフェもオトート君と何度も来ているのだと。私は初めてです。
このカフェに来るポケモンファンは、ポケモン赤緑以来の登場モンスターは全部そらで言えるんだって。すみませんね、私はピカチューくらいしか知らない。
カフェ入口で、カビゴンと。
カフェ内は撮影自由ですが、むろん、客は入り込まないよう気をつけて撮影しました。
カビゴンごしにみる店内
かわいいキャラクターが店内にいっぱい。コロナ対策で、客はテーブルひとつおきに座るので、開いている席にはキャラクターがお客になって座っています。
娘の食べたイーブイプレートと、私のカビゴンプレート
店内、親子連れか、デートカップルがほとんどで、私たちのような古希すぎ老婆とアラフォー娘っていう組み合わせはほかにいなかったですけれど、めげずにピカチューと一緒に写真を撮りました。
6:15に入店して、だいたい60分でごはんを食べて、カフェアートのほどこ
してあるキャラメルラテを飲んでいると、ウエイトレスピカチューが登場。90分制の食事時間のなかで、たいていおわりの30分くらいで現れるという「シェフピカチュー」しっぽがハート型のメスピカチューの「ウエイトレスピカチュー」。今回はかわいいウエイトレス。
ろーば in ポケモンカフェ、ちょっと気恥ずかしくもあったけれど、そこは「楽しまなきゃ損」精神。カビゴンプレートご飯だって2000円もしたんですから、写真くらいいっぱい撮らなきゃ。(ピカチューごはん、子供の日お祝いです)
私ほど「無料大好き」ではない娘も「今日の展覧会は、羽生結弦写真展もまれびと展も無料だったけど、いい展示で楽しかった」と、言っていました。会期終了2日前にやっと予約とれて、よかった。
<つづく>