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ぽかぽか春庭「2022年11月目次」

2022-11-29 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221129
ぽかぽか春庭>2022年11月目次

20221101
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記秋の旅(4)高山の街並みと建物

1103 ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>文化の日確認

1105 2022ふたふた日記秋の旅(5)高山町歩き-朝市と高山陣屋
1106 2022ふたふた日記秋の旅(6)高山町歩き-街並みめぐりその2
1108 2022ふたふた日記秋の旅(7)高山町歩き-村半とまちの博物館
1110 2022ふたふた日記秋の旅(8)高山町歩き-飛騨の里

1112 2022ふたふた日記秋の旅番外編(1)高山町歩き余禄擬擬洋風・高山市図書館

1113 ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>日本語学校秋から冬へ(1)誕生日の比較文化
1115 日本語学校秋から冬へ(2)EJU日本留学試験
1117 日本語学校秋から冬へ(3)耳で聞く理解

1119 ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(1)新常用漢字の音訓読みクイズ1-50
1120 日本語教師養成講座漢字の読み方(2)新常用漢字の音訓読みクイズ51-100
1122 日本語教師養成講座漢字の読み方(3)新常用漢字の音訓読みクイズ101-200
1124 日本語教師養成講座漢字の読み方(4)新常用漢字の音訓読みクイズ201-250
1126 日本語教師養成講座漢字の読み方(5)新常用漢字の音訓読みクイズ251-333
1127 日本語教師養成講座漢字の読み方(6)生の読み方

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ぽかぽか春庭「生の読み方」

2022-11-27 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221127

ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(7)生の読み方

  何度も同じコラムの再掲載で恐縮ですが、ついでなので。「生」の読み方をもう一度。

 日本人学生の「日本語教師養成講座」受講者に「原則として標準語(普通話)の中国語では、漢字ひとつに発音はひとつだけ」という話をしたあと、「日本語の漢字の難しさは、ひとつの漢字に発音(読み方)が多種あり、文脈によって読み方をかえなければならないこと」という話をしてきました。


 中国語母語話者の「日本語教師志望者」にも、同じクイズを出そうとして、以下の練習問題をだしました。
~~~~~~~~~~~~~
 以下の例文を読んでみましょう。

 ☆クイズ3-4 以下の文章を読んでください

 『A:腹を痛めて生んだのではないから、生さぬ仲の息子とは、疎遠だろうですって?お生憎さま、親子の仲、うまくいってます。息子、生真面目ないい子に育ちました。あごには髭など生やして、見た目はちょっと生意気そうですが、特技を生かして仕事を続けています。 

B:息子は、立派に自立して生活しています。生な娘と恋仲になって、木に果物が生るように自然に縁が結ばれまして。このたび、孫が生まれたんですよ。かわいい孫が無事に生い立ち、よい生涯がすごせるようにとの願いをこめて、花を生け、生ビールで乾杯しました。』 

 「生」の「音読み」

ショウ(呉音)生類 生滅 生老病死 など

 セイ(漢音)学生 生活 生死 など 

 「生」の「訓読み」(常用漢字音訓)

い  生きる(いきる)生かす(いかす)生ける(いける)

う  生まれる(うまれる)生む(うむ)

お  生う(おう) 生い立ち(おいたち)生い茂る(おいしげる)

き  生真面目(きまじめ)生娘(きむすめ)生粋(きっすい)

なま 生魚(なまざかな)生兵法(なまびょうほう)生返事(なまへんじ)

は  生える(はえる)生やす(はやす) 

  以上の読み方は、学校で教えます。

 

  「常用漢字表に掲載されている以外の訓読み」(学校では教えない) 

な(す) 子まで生した仲(なした)生さぬ仲の子(為す、成すの表記もあり)

な(る) 木に果物が生った(なった)

うぶ   生養い(うぶやしない)生な乙女(うぶなおとめ)生方(うぶかた)  

 「熟字訓」(特別な読み方)

あい  生憎(あいにく)  

 どうですか。「生」の読み方、全部できましたか。辞書を調べれば、もっとあります。

 

クイズ3-4 解答

 A:はらを いためて うんだのではないから、なさぬ なかの むすことは、そえんだろうですって?おあいにくさま、おやこの なか、うまくいってます。 むすこ、きまじめな いいこに そだちました。あごには ひげなど はやして、みためは ちょっと なまいきそうですが、とくぎを いかして しごとを つづけ りっぱに じりつして せいかつしています。 

B:むすこは  うぶな むすめと こいなかに なって、きに くだものが なるように しぜんに えんが むすばれました。このたび、まごが うまれたんですよ。かわいい まごが ぶじに おいたち、 よい しょうがいを すごせるようにとの ねがいを こめて、はなを いけ、なまビールで かんぱいしました。

~~~~~~~~~
 「生」の読み方が「shēng」ひとつしかない中国語に比べて、日本語の漢字にはひとつの漢字にかくもたくさんの読み方(発音)があるんだよ、と念押しするための、毎年のクイズでした。

 日本の漢字は中国漢字より数が少ないから「楽勝」と思っている中国人学生に、日本の漢字読み方をしっかり覚えなければ、聴解試験にも苦労をするよ、と言い聞かせるための「生」の読み方です。いわば「日本の漢字読み方は手ごわいぞ」とおどすための例です。ほとんどの漢字は、音読みひとつ訓読みひとつの2つの読み方でOK。
 それでも、ふたつの読み方を使い分ける日本語母語話者は「しずかな夜」「せいじゃくな深夜」という音声を聞いて、「静かな夜」「静寂な深夜」と、意味を理解できるのですから、すごいことなんです。

 一つの文字にふたつの読み方を併用するという文字言語、すでに滅びてしまった古代語に例は見つかったそうですが、世界で日常的に使われている現代語では、日本語だけです。
 日本語は「ことばの並べ方=文法」が難しい、という日本語学習者もいますが、日本語と文法が同じである、モンゴル語、韓国朝鮮語、トルコ語などの母語話者にとって、少しも難しくありません。
 しかし、日本語漢字の読み方は、だれにとっても難しいのです。

 小学校1年生から「先生」のとき「せい」と読む漢字の読み方、「生きる」ときは「い」なのだ、と訓練されてきた日本語話者は、「一生」を「いーしぇん」「いちせい」と読む中国人に「たいへんだね」と思ってください。



<おわり>
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ぽかぽか春庭「春庭漢字話・新常用漢字の読み251-333」

2022-11-26 00:00:01 | エッセイ、コラム

20211124
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(6)新常用漢字の音訓読みクイズ251-300

 春庭漢字頭の体操つづきです。漢字読み方クイズ再録ですが、同じテストでも、10年後、読み方を覚えているか、再チェック。2010年に新たに常用漢字に加わった約300の漢字。つまり、団塊の世代は学校でならっていない漢字の読み確認です。
~~~~~~~~~
2010/05/18
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>新常用漢字(4)漢字読みテスト251~333

 新常用漢字の読み練習つづきです。

251)不可解な話を聞いて首を「捻る」
252)手ぬぐいを「捻って」頭に巻く
253)「罵声」を浴びせる
254)人前にもかかわらず「罵る」
255)優勝選手のメダルを「剥奪する」
256)電柱のビラを「剥がす」
257)仮面を「剥ぐ」
258)みかんの皮を「剥く」
259)「剥製」の動物 
260)豆を「箸」ではさむ
261)大雨で川が「氾濫」する
262)「汎用性」のあるコンピューター
263)「阪神」地方の高級住宅地
264)「大阪城」をめぐるマラソンコース
265)体に「斑点」が出た
266)雪が「斑」に消え残る
267)「眉目」秀麗な若者
268)「眉間」にしわを寄せる
269)「眉毛」を整える
270)「膝」をくずしてすわる
271)将軍の前で「膝行」する
272)「肘掛け」がついたソファー
273)恩人の「訃報」を聞く
274)「岐阜県」を水源とする河川
275)外国から講師を「招聘」する
(答え)
251)ひねる 252)ねじって 253)ばせい 254)ののしる 255)はくだつ 256)はがす 257)はぐ 258)むく 259)はくせい 260)はし 261)はんらん 262)はんようせい 263)はんしん 264)おおさかじょう 265)はんてん 266)まだら 267)びもく 268)みけん 269)まゆげ 270)ひざ 271)しっこうする 272)ひじかけ 273)ふほうく 274)ぎふけん 275)しょうへい

276)過去の不正を「隠蔽」する
277)霧に「蔽われた」牧場
278)「餅」を焼いて食べる
279)「誰」にも言えない秘密
280)「完璧」にやりとげる
281)「軽蔑」したくなる行い
282)ひきょうな行為だと「蔑む」
283)困った農民が「蜂起」する
284)「蜂」の巣をつついたような騒ぎ
285)めざましい「変貌」をとげた国
286)寒さで「頬」が赤くなる
287)地域紛争が「勃発」する
288)ぜいたく「三昧」な暮らし
289)「枕元」に時計を置く
290)「枕頭」の書を選ぶ
291)昆虫が花の「蜜」を吸う
292)故人の「冥福」を祈る
293)役者「冥利」に尽きる
294)「麺類」が好きだ
295)人格を「陶冶」する 296)「弥生」時代の土器 297)「弥縫策」にすぎないと批判される 298)本尊の「阿弥陀」如来 299)「暗闇」に浮かぶ明かり 300)「暁闇」を破るときの声
(答え)
276)いんぺい277)おおわれた278)もち279)だれ280)かんぺき 281)けいべつ 282)さげすむ 283)ほうきする 284)はち 285)へんぼう 286)ほお (ほほ)287)ぼっぱつ 288)ざんまい 289)まくらもと 290)ちんとう 291)みつ 292)めいふく 293)みょうり 294)めんるい 295)とうや 296)やよいじだい 297)びほうさく 298)あみだ 299)くらやみ 300)ぎょうあん

 新常用漢字の読み練習つづきです。301~333

301)「比喩的」に表現する
302)人生を旅に「喩える」
303)温泉が「湧出」する
304)森の中に泉が「湧く」
305)「妖精」の出てくる話
305)「妖しい」魅力を持つ人
306)「胃潰瘍」で苦しむ
307)「鵜」がアユをくわえる
308)「肥沃」な土地を耕す
309)外交官が秘密警察に「拉致」される
310)「辛辣」な意見を述べる
311)法隆寺の「伽藍」
312)「藍色」のジーンズをはく
313)人形「浄瑠璃」を見る
314)凶悪事件に「戦慄」を覚える
315)恐怖に「慄いた」表情
316)人々から尊敬される「僧侶」
317)「明瞭」な発音
318)「風呂」に入る
319)戦争に「翻弄」された人生
320)人の感情を「弄ぶ」
321)人質をとって「籠城」する
322)犯人が店に立て「籠もる」り
323)「籠」の中にカナリアがいる
324)「山麓」に草原が広がる
325)山頂から「麓」の町を見下ろす
326)「脇役」の俳優
327)「脇息」に体をもたせかける
328)「憂鬱」な気持ち
329)「妖艶」な表情
330) 「貫禄」のある人物
331)「獅子」を描いたふすま絵
332)奇跡的に「蘇生」した 
333)死者が「蘇る」
(答え)
301)ひゆてき 302)たとえる 303)ゆうしゅつ 304)わく 305)ようせい 305)あやしい 306)いかいよう 307)う 308)ひよく 309)らち 310)しんらつ 311)がらん 312)あいいろ 313)じょうるり 314)せんりつ 315)おののいた 316そうりょ 317)めいりょう318)ふろ 319)ほんろう 320)もてあそぶ 321)ろうじょう 322)こもる 323)かご 324)さんれい 325)ふもと 326)わきやく 327)きょうそく 328)ゆううつ 329)ようえん 330)かんろく 331)しし 332)そせい 333)よみがえる

 333題の漢字問題のなか、新常用漢字表には選ばれなかったけれど、NHKではニュースなどで漢字表記をしている字、数題を付け足しとして出題してあります。(例:柿、獅子)
 1問1点として333点満点です。3倍してから1点おまけで付け足して、1000点にして10で割ると100点満点になります。
 さて、100点満点だった方もいらっしゃるでしょう。私は100番の「さんく」でこけたので、満点にはならず、99.7ポイントでした。

 漢字は日本言語文化にとって大切なものです。戦後教育では漢文教育の時間が減り、私も漢字漢語に弱い人間のひとりですが、意味がわからない漢語でも、ふりがながあれば、辞書を引くのも容易になります。

 非漢字圏の留学生にとって、漢字2000字余りを覚えるのは負担が大きいです。日本語の中級までの教科書ですと、新出漢字にはルビ(ふりがな)がついていて、学生たちは一生懸命読み方を覚えようとします。読み方がわかれば辞書を引くのも簡単。
 上級になると、生教材(日本の新聞雑誌や書籍など実際の生活で使われている文章を教材として扱うようになるので、昔は新しい漢字に四苦八苦していました。近頃の留学生は、現代のパソコン技術を駆使して読み仮名を調べます。まずスキャナーで新聞などの文章をパソコンに取り込み、ふりがな機能を操作して漢字の読み方を調べるのです。ときどきとてもへんてこりんな読みをする学生がいますが、きっとパソコンがそのように読んだのでしょう。こんなことなら、最初からルビがついていればいいのに、と思うのです。

 漢字学習は日本語母語話者にとっても留学生にとっても関門のひとつではあるのですが、漢字表記は千年の使用を経て、日本語になっています。かって漢字を自国語の表記のひとつとして採用していたベトナム(越南)は漢字表記からアルファベット表記に切り替えました。ベトナム語の構造は漢字表記に不便だったからです。日本語と同じ膠着語構造でも閉音節の発音を持つ朝鮮・韓国でもハングル表記がほとんどになり、自分の名前の漢字表記を知らない人います。しかし、開音節の音節構造をもち名詞に助詞を付属させるという文法構造の日本語は、平仮名片仮名漢字併用という方法を選び、日本語の構造に合わせた文字表記を工夫してきました。
 「漢字仮名併用、振り仮名つき」私は、この表記法が日本語にあっていると思います。


<おわり>

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ぽかぽか春庭「春庭漢字話・新常用漢字の読み201-250」

2022-11-24 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221122

ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(5)新常用漢字の音訓読みクイズ201-250


 春庭漢字頭の体操つづきです。10年前の再録ですが、同じテストでも、10年後、読み方を覚えているか、再チェック。2010年に新たに常用漢字に加わった約300の漢字。つまり、団塊の世代は学校でならっていない漢字の読み確認です。
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2010/05/18
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>新常用漢字(4)漢字読みテスト

 新常用漢字の読み練習つづきです。201~250

201)奉公人に理解のある「旦那」
202)経営が「破綻」する
203)ズボンのすそが「綻びる」
204)「忌憚」なく話す
205)人目を「憚らず」に泣く
206)「緻密」な計画を立てる
207)「焼酎」をベースにした飲み物
208)写真を「貼付」する
209)ポスターを「貼る」
210)観衆から「嘲笑」を受ける演技
211)他人を「嘲る」ような態度
212)外国で「諜報」活動を続ける
213)交渉が「進捗」する
214)仕事が順調に「捗る」 
215)猫が「爪」をたてる
216)「爪先」で立つ
217)白い「鶴」がいる
218)吉報を「鶴首」して待つ
219人生を「諦観」できる年齢
220)最後まで「諦める」な
221)「真摯」に受け止める
222)祖母が孫を「溺愛」する
223)川で「溺れ」そうになる
224)損失した分を「補填」する
225)机の上を「整頓」する
(答え)
201)だんな 202)はたん 203)ほころびる 204)きたん 205)はばからず 206)ちみつな 207)しょうちゅう 208)てんぷする 209)はる 210)ちょうしょう 211)あざける212)ちょうほう 213)しんちょく 214)はかどる 215)つめ 216)つまさき 217)つる218)かくしゅ 219)ていかん 220)あきらめる 221)しんし 222)できあい223)おぼれ 224)ほてん 225)せいとんする

226)友人に「嫉妬」する
227)同僚の出世を「妬む」
228)「賭博」を禁じている国
229)大金を「賭けて」勝負する
230)難しい「磯」釣り
231)「藤」の花が見ごろになる
232)「瞳孔」を見開く
233)つぶらな「瞳」の少女
234)「栃木県」にある日光国立公園
235)「貪欲」に知識を吸収する
236)暴利を「貪る」悪徳業者
237)「丼」を洗う
238)エビの「天丼」を食べる
239)「鵜」飼いの見物
240)「奈落」の底に落ちる
241)「洋梨」の皮をむく
242)「梨園」の名門で育つ 243)「柿」の実を買う
244)「熟柿」の甘さ 
245)事件の「謎」を解く
246)冬は「鍋物」が一番だ
247)バラの「匂い」をかぐ
248)「虹」が空にかかる
249)目に入る光を調節する「虹彩」
150)「釜」でめしを炊く
(答え)
226)しっと 227)ねたむ 228)とばく 229)かけて 230)いそ 231)ふじ 232)どうこう 233)ひとみ 234)とちぎけん 235)どんよく 236)むさぼる 237)どんぶり 238)てんどん 239)う 240)ならく 241)ようなし 242)りえん 243)かき244)じゅくし245)なぞ 246)なべもの 247)におい 248)にじ 249)こうさい 250)かま



<つづく>

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ぽかぽか春庭「春庭漢字話常用漢字の読み101-200」

2022-11-22 00:00:01 | エッセイ、コラム

20221120
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(3)新常用漢字の音訓読みクイズ101-200)

 春庭漢字頭の体操のつづきです。10年前の再録ですが、同じテストでも、10年後、読み方を覚えているか、再チェック。2010年に新たに常用漢字に加わった約300の漢字。つまり、団塊の世代から、2010には学校を卒業していた世代は、学校で習っていない漢字の読み確認です。
~~~~~~~~~
2010/05/18
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>新常用漢字(4)漢字読みテスト
 新常用漢字の読み練習つづきです。
 漢字の正解率がお笑い芸人のロザンのウジハラやシンデレラ畠山に劣る金田一秀穂センセー、私の周囲では「ああいう人が日本語学者の代表だと世間に思われたらイヤダ」という日本語研究者たちが多いのですが、私は、あの低い正答率にもめげずにゲーノー界大好きなピデボセンセーのファンです。トッツァンのパルピコ先生が童謡歌手を目指していたみたいに、「漢字に弱い日本語のセンセー代表」としてゲーノー界バラエティ番組でかんばってください。
新常用漢字の読み練習つづきです。101~200

101)「手頃」な値段
102)マンモスがいた「痕跡」
103)腕に切り傷の「痕」がある
104)「ご無沙汰」しています
105)「挫折」から立ち直る
106)足首を「捻挫」した
107)敵の野望を「挫く」
108)気持ちが「挫ける」
109)みごとな「采配」を振る
110)「要塞」を攻め落とす
111)「閉塞」した時代に生きる
112)耳を「塞ぎ」たくなる事実
113)事故で道路が「塞がる」
114)「埼玉県」から都心に通勤する
115)鉄の「柵」で囲う
116)奈良の「古刹」をめぐる
117)「刹那的」な犯行
118)風で「椎」の実がたくさん落ちた
119)「斬新」な考え
120)刀で人を「斬る」
121)「恣意的」な判断
122)「擬餌針」を使って釣りをする
123)家畜に「餌」を与える
124)ひな鳥が猛獣の「餌食」になる 
125)父は「小唄」を習っている
(答え)
101)てごろ 102)こんせき 103)あと 104)ごぶさた 105)ざせつ 106)ねんざ 107)くじく 108)くじける 109)さいはい 110)ようさい 111)へいそく 112)ふさぎ 113)ふさがる 114)さいたまけん 115)さく 116)こさつ 117)せつなてき118)しい 119)ざんしん 120)きる 121)しいてき 122)ぎじばり 123)えさ 124)えじき125)こうた

126)「鹿」が鳴く
127)「鹿の子」模様の着物
128)「鹿鳴館」で行われた舞踏会
129)きびしい「叱責」を受ける
130)親が子どもを「叱る」
131)友人に「嫉妬」する
132)同僚の出世を「嫉む」
133)がんなどの悪性の「肉腫」
134)検査で「腫瘍」が見つかる
135)突き指をしたところが「腫れる」
136)泣き「腫らした」目
137)「呪縛」が解ける
138)わが身の不運を「呪う」
139)派閥の「領袖」
140)「半袖」の服を着る
141)「羞恥心」を忘れた行動
142)おのれの不明を「羞じる」
143)要求を「一蹴」する
144)サッカーボールを「蹴る」
145)他人を「蹴落として」出世する
146)大きな大会の「前哨戦」
147)疑惑を「払拭」する
148)タオルで手を「拭く」
149)ひたいの汗を「拭う」
150)こわくて「尻込み」する
(答え)
126)しか 127)かのこ 128)ろくめいかん 129)しっせき 130)しかる 131)しっと 132)ねたむ(そねむ) 133)にくしゅ 134)しゅよう 135)はれる 136)はらした 137)じゅばく 138)のろう 139)りょうしゅう 140)はんそで 141)しゅうちしん 142)はじる 143)いっしゅう 144)ける 145)けおとして 146)ぜんしょうせん 147)ふっしょく 148)ふく 149)ぬぐう 150)しりごみ

151)鉛筆の「芯」を削る
152)「腎臓」の具合がよくない
153)「必須」の要件
154)富士山の「裾野」
155)「凄惨」な事故現場
156)「凄じい」速さのスポーツカー
157)あの映画は「凄い」評判だ
158)カフェインの「覚醒」作用
159)酒の酔いから「醒める」
160)事故で「脊髄」をいためる
161)魚は「脊椎」動物だ
162)「親戚」の子と遊ぶ 
163)毎朝「煎茶」を飲む
164)みやげに「煎餅」を買う
165)豆を「煎る」
167)「羨望」のまなざしで見る
168)他人の成功を「羨む」
169)泳ぎの得意な兄が「羨ましい」
170)首のリンパ「腺」がはれる
175)あれこれ「詮索」する
(答え)
151)しん 152)じんぞう 153)ひっす 154)すその 155)せいさん 156)すさまじい 157)すごい 158)かくせい 159)さめる 160)せきずい 161)せきつい 162)しんせき 163)せんちゃ 164)せんべい 165)いる 167)せんぼう 168)うらやむ 169)うらやましい 170)せん 175)せんさく

176)「処方箋」を受け取る
177)誕生会の「お膳立て」
178)重要人物が「狙撃」される
179)優勝のチャンスを「狙う」
180)サケが川を「遡上」する
181)歴史を「遡る」テーマのテレビ番組
182)「曽祖父」は百歳に近い
183)「未曽有」の大事件
184)「曽て」住んでいた場所
185)雲一つなく「爽快」な朝 
186)「爽やか」な朝を迎える
187)「痩身」で品のよい老紳士
188)体が「痩せて」、力が出ない
189)彼が「失踪」して5年たった
190レーダーで飛行機を「捕捉」する
191)問題をどう「捉える」べきか
192)「謙遜」したもの言い
193)「遜った」態度をとる
194)「唾液」は消化を助ける
195)「生唾」を飲み込む
196)河口に砂が「堆積」する
197)国王の「戴冠式」
198)頭に王冠を「戴く」
199)「誓願」成就した
200)元旦に一年の「誓い」を立てる

176)しょほうせん 177)おぜんだて 178)そげき 179)ねらう 180)そじょう 181)さかのぼる 182)そうそふ 183)みぞう 184)かって 185)そうかい 186)さわやか 187)そうしん 188)やせて 189)しっそう 190)ほそく 191)とらえる 192)けんそん 193)へりくだった194だえき 195)なまつば 196)たいせき 197)たいかんしき 198)いただく 199)せいがん 200)ちかい

 憧憬はやはり「どうけい」派と「しょうけい」派に別れました。もう少ししたらNHK漢字読み調査班や文科省も「どうけい」を正解にするようになるでしょう。岩波国語辞書(第四版)では「しょうけい」欄には「どうけいともいう」と注記され、「どうけい」欄には「しょうけいが正しい読み方」と注記されています。ところが、金田一京助編集の三省堂国語辞典では「どうけい」のみ掲載され「しょうけい」はないのです。Qさま出演で漢字に弱いことが判明した金田一秀穂のじっちゃん、漢字に関しては「若者」だった!

 さて、誤植誤変換訂正は、わが家の家業であるのですが、春庭は入力ミス頻発で、皆様のご指摘には感謝&恐縮の至り。
 漢字読みテストの解答にミスがありました。茨城県の読み方は「いばらきけん」です。「いばらぎけん」と濁音で表記すると、いばらき県民は不愉快に思うとのことです。が、なぜ「いばらぎ」と思われてしまうかというと、北関東と東北の発音の訛りに関わります。私は北毛地方の出身ですが、「学校へ行く」の「いく」は「いぐ、いがない」と濁音で発音していました。「欠く」「置く」「聞く」などでは「きぐ」「おぐ」にならないのに、「いく」だけは「いぐ」でした。

 同じように、茨城栃木の北部から東北地方の発音では、語頭になく、語中・語尾のカ行の発音が濁る傾向があります。牛のことを東北方言では「べこ」と言います。「べ~」という牛の鳴き声に子をつけて「にゃんこ」「わんこ」と同じように「べこ」というのですが、多くの東北地方では「べご」と濁音で発音します。そのほうが言いやすいからです。

 茨城県の「いばらき」も、茨城北部の人たち、表記は「いばらき」ですが、会話のときは「いばらぎ」と濁音に聞こえる発音をしている人が多かった。私も関東北部出身者のひとりとして、「いばらぎ」と濁って発話していました。それで、「茨城」の振り仮名に「いばらぎ」と入力してしまいました。(ご指摘を受けて訂正済み)。
 一太郎は「いばらき」「いばらぎ」のどちらに入力しても「茨城」が出力されますので、気づきませんでした。

 現在は茨城県内でも「いばらぎ」と看板などに表記する例も出てきているとのことで、さて、この誤表記が広まるものやら、県民の「おらが県はいばらぎじゃねぇよ、いばらギだよ」との抗議により、他県民には「いばらぎ」に聞こえたとしても表記は「いばらき」なのだ、という道理が通って、「いばらぎ」という無理が引っ込むのか。
 ご指摘くださったyokochannさん、ありがとうございます。



<つづく>

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ぽかぽか春庭「常用漢字読みクイズ51-100」

2022-11-20 00:00:01 | エッセイ、コラム

20201122
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(2)新常用漢字の音訓読みクイズ51-100

 漢字の読み練習復習です。10年前の春庭漢字練習の再録、10年たつと忘れてしまうものかもしれないから、頭の体操に役立ててください。
~~~~~~~~~~~~
2010/05/15
ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>新常用漢字(3)漢字読みテスト51-100

 さて、新常用漢字の読みテスト、第一日目はいかがでしたか。社会に浸透しているという理由で選ばれている新常用漢字候補なので、おおかたは読めると思うのですが、75番あたり、若者と年配者の読み方が別れる例かもしれません。

 ほとんどの人が誤読するようになれば、誤読のほうが「正しい読み方」となっていく、という例のひとつ。「誤読から慣用読みへ」については、下記の春庭「感じる漢字」話のサイトをご覧下さい。
http://www2.ocn.ne.jp/~haruniwa/nipponia0502.htm

51)手で扇子を「玩ぶ」
52)愛玩動物」を飼う
53)日本と「韓国」との交流 
54)「歌舞伎」の公演
55)不思議な顔の「伎楽」の面
56)ビルの壁に「亀裂」が走る
57)鶴は千年、「亀」は万年
58)「近畿地方」の天気予報
59)肩を「脱臼」する
60)「石臼」でそば粉をひく
61)犬は「嗅覚」がすぐれている
62)花のにおいを「嗅ぐ」
63)床に「雑巾」をかける
64)「僅差」で逃げ切る
65)「僅かな」差で金メダルをのがす
66)「錦秋」の時期に旅行する
67)「錦絵」に描かれた風景
68)将来を「危惧」する
69)絶滅の「惧れ」のある小動物
70)肉を「串」に刺す
71)「洞窟」の中を探検する
72)「熊」が人里に現れる
73)お寺に「参詣」する
74)「初詣で」に出かける
75)古代美術への「憧憬」
(答え)
51)もてあそぶ52)あいがんどうぶつ53)かんこく54)かぶき55)ぎがく56)きれつ57)かめ58)きんきちほう59)だっきゅう60)いしうす61)きゅうかく62)かぐ63)ぞうきん64)きんさ65)わずかな66)きんしゅう67)にしきえ68)きぐ69)おそれ70)くし71)どうくつ72)くま73)さんけい74)はつもうで75)しょうけい(最近では「どうけい」という誤読のほうが優勢)

76)サッカー選手に「憬れる」
77)弟子に「稽古」をつける
78)「間隙」をついて攻める
79)「隙間」から風が入る
80)「手間隙」をかけた仕事
81)「桁違い」の実力の持ち主
82)「拳銃」を密輸する
83)「拳」を振り上げる
84)「拳骨」でなぐる
85)ピアノの「鍵盤」
86)自転車の「鍵」を忘れる
87)船が「右舷」から波をかぶる
88)「股関節」をいためる
89)「大股」で歩く
90)「太股」の筋肉をもみほぐす
91)「猛虎」がすむという密林
92)「虎」の尾を踏む気持ち
93)「脳梗塞」で入院する
94)「鎌」で稲を刈る
95)「喉元」すぎれば熱さを忘れる
96)「雨乞い」の祈り
97)「傲慢」な態度をとる
98)「傲る」平家は久しからず
99)決勝に「駒」を進める
100)競走馬の子を「産駒」と言う

76)あこがれる77)けいこ78)かんげき79)すきま80)てまひま81)けたちがい82)けんじゅう83)こぶし84)げんこつ85)けんばん86)かぎ87)うげん88)こかんせつ89)おおまた90)ふともも91)もうこ92)とら93)のうこうそく94)かま95)のどもと96)あまごい97)ごうまん98)おごる99)こま100)さんく

 私は100番の「さんく」という競馬用語を知りませんでした。私が知らないだけで競走馬関係の専門用語であるだろうと見当をつけたのですが、重箱読み湯桶読みの可能性もあるので、「さんごま」「さんこま」「さんく」のどれかわかりませんでした。
 結局は音読みの原則通りでよかったのに。「さんく」漢字に強い一太郎の熟語変換でも「三区・三句・惨苦」の三つしかでてきませんでした。この調査を編集した人たちの中に競馬ファンがいたという理由のほかに、この産駒が漢字読み仮名テストの熟語に選ばれた理由がわかりません。

 1題3点で計算して、100題で300点満点です。以下、333題まで、脳の活性化めざしてがんばりましょう。


<つづく>

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ぽかぽか春庭「新常用漢字の音訓読みクイズ1-50」

2022-11-19 00:00:01 | エッセイ、コラム

202001120
ぽかぽか春庭ニッポニアにっぽん語教師日誌>日本語教師養成講座漢字の読み方(1)新常用漢字の音訓読みクイズ1-50

 2010年11月に29年ぶりに常用漢字の改定があり、新常用漢字が選出されました。
 196字が追加され、5字が除外され、常用漢字は2136字。
 NHKが常用漢字候補333字の音訓テストを行い、どれが現代生活に必需かの調査をしました。
 そのテストを春庭もやってみたし、日本語教育研究の授業を受講している日本人大学生にもやってもらいました。日本語教師をめざす日本語話者にとっては、必要な基礎知識です。


 2010年に掲載したのテストですが、10年たつと忘れてしまったのもあるかもしれないから、もう一度。

 認知症予防にもなりますから、頭の体操としてやってみましょう。
~~~~~~~~~

ぽかぽか春庭ニッポニアニッポン語教室>新常用漢字(1)漢字読みテスト挨拶 

 新常用漢字候補の読みテスト、5年前に行われた調査では「破綻」という熟語が読めた高校生は42%だったのに対し、2009年の調査で61%が読めたのは、それだけニュースなどに「銀行破綻」「リーマンショックで会社破綻」などが頻出したからでしょう。

 高校生には歯が立たなかった字も多い。派閥の「領袖りょうしゅう」、人格を「陶冶とうや」する、は1%の正答率。交渉が「進捗しんちょく」する、は2%など、生活にあまり関わりのない熟語だと正答率が低くなります。高齢層にはなじみの「葛餅くずもち」「参詣さんけい」などの語も、高校生には縁が薄い。

 さて、高校生に実施されたNHKの新常用漢字読みテスト。日本語学概論を受講する日本人学生、どれほどできるか、テスト問題をコピーしました。
 漢字に強いと思っている方、漢字は苦手と敬遠している方、試しにやってみましょう。ほとんどの漢字、今でも使用されているからこそ「新常用」に選ばれたわけです。「え、これ常用漢字じゃなかったのね」というほうが多いのですが、さて、みなさま、高校生に比べて正答率やいかに。
 私は、100%パーフェクトに読めると信じてテストしましたが、333題並べたうち、なんと1問落としました。

 25題ずつ並んでいます。1~333番までのうち、本日は50番まで。明日から333までテスト。嫌気がささない程度にお楽しみください。現行の常用漢字には入っていない漢字ですから、国語の授業では教わらなかった漢字です。できなくて当たり前、読めたら自慢して。

1) 先生に「挨拶」する 
2)「曖昧」な返事をする 
3)「顎」の骨を折る 
4)「下顎骨」を折る重傷 
5)「宛先」を書く 
6)春の「嵐」が吹く 
7)「青嵐」が山に立ちこめる 
8)「畏敬」の念を持つ 9)神を「畏れる」
10)社長の訓辞を「畏まって」聞く
11)強敵に対して「萎縮」する
12)気持ちが「萎える」
13)朝顔の花が「萎む」
14)きのう買った花が「萎れる」
15)「椅子」を並べる
16)「語彙」の豊かな人
17)「茨城県」の名産
18)「耳鼻咽喉科」の医師
19)「淫行条例」に違反する
20)目に余る「淫らなふるまい
21)怨恨による殺人事件
22)「怨念」を抱く
23)人に「怨まれる」覚えはない
24)「才媛」のほまれが高い
25)「愛媛県」はみかんの産地
(答え)
1)あいさつ2)あいまい3)あご2)かがくこつ3)あてさき4)あらし5)せいらん8)いけい9)おそれる10)かしこまって11)いしゅく12)なえる13)しぼむ14)しおれる15)いす16)ごい 17)いばらきけん 18)じびいんこうか19)いんこうじょうれい20)みだらな21)えんこん22)おんねん 23)うらまれる24)さいえん25)えひめけん

26)肌の「色艶」がよい
27)「艶やかな」着物姿
28)食欲が「旺盛」だ
29)力が満ちあふれて「旺んだ」
30)「福岡県」へ出張する
31)「臆病」な性格
32)「俺」について来い
33)「苛酷」な労働
34)列車の遅れに「苛立つ」
35)敵の「牙城」に迫る
36)貴重な「象牙」
37)ライオンが「牙」をむく
38)計画が「瓦解」した 39)屋根の「鬼瓦」
40)「胃潰瘍」で苦しむ
41)面目が「潰れる」
42)「俳諧」を味わう
43)「断崖」に立つ 
44)切り立った「崖」 
45)石器時代人の「頭蓋骨」
46)びんの「蓋」をあける
47)仏像の頭部を「蓋う」飾り
48)航空機の「残骸」が散らばる
49)兄弟の心理的な「葛藤」
50)「葛餅」を食べる
(答え)
26)いろつや27)あでやか28)おうせい29)さかんだ30)ふくおかけん31)おくびょう32)おれ33)かこく34)いらだつ35)がじょう36)ぞうげ37)きば38)がかい39)おにがわら40)いかいよう41)つぶれる42)はいかい43)だんがい44)がけ45)ずがいこつ46)ふた47)おおう48)ざんがい49)かっとう50)くずもち
~~~~~~~~
20201201
 今では子供でも書けるかもしれない「嵐」。10年前までは常用漢字じゃなかったんですね。この語が常用漢字になるほどポピュラーになったのは、確実に、あのグループが貢献している。2020年の年末には解散してしまうのが惜しいです。

 333字から選ばれた常用漢字196字。今では新聞や雑誌でもよく見かけます。若い世代の語彙力がどんどん低下しているという一面もあるし、漢字変換が簡単になったおかげか、ネットの中にやたらに難しい漢字も使われるようになったという面もあるので、2030年以後、さらに常用漢字が増えるかもしれません。



<つづく>
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ぽかぽか春庭「耳で聞く理解」

2022-11-17 00:01:01 | エッセイ、コラム
20221117
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>日本語学校秋から冬へ(3)

 生き物には、人間の千倍万倍も鼻が利く動物がいたり、水の中で何キロも先の仲間の鳴き声をちゃんと聞きとったりする動物もいます。

 ヒトの感覚や機能も千差万別。私は、娘と比べるとまったく鼻がきかず、においに敏感でないことは昔から承知していました。味覚もにぶく、娘が感じ取れる味の違いに鈍感。
 年をとってますます耳の聞こえも悪くなっていますし、私の感覚能力は一般の人に比べてとても低いのだと自覚しています。

 私は近視ですから、遠くのものを見分けるのは苦手ですが、手元にある文字を認識する能力が、一般の人の4倍である、という検査結果を受けたことがあります。これは、私の「食べるのが早い、寝付くのが早い、キーボードを打つのが早い」と並ぶ「早業自慢」のひとつです。

 文字を読み分ける能力が早いので、洋画の字幕を読むのに不自由したことがありません。しかし、娘は字幕を読んでいると画面から情報を読み取る時間が減ってしまうので、洋画は吹替じゃなければ見たくない、と言います。
 耳から情報を得る力が勝っている娘と、文字から情報を得たい私とでは、世界の認識においてずいぶん違いがあるのではないか、と思います。

 それにつけても、最近の大学入試などでの英語リスニング試験の重要化。私が受験生であったころには、発音試験というのも、文字に書かれた発音記号を見て解答するものでしたから、耳の聞こえが悪い私にとってはありがたかったです。

 現在の日本語能力試験や日本留学試験でも、聴解試験は重要な「日本語能力」とされ、聴解能力に強い学生は、有利です。
 音声によって言語を理解する能力は、欧米出身の学生のほうが有利のように見えます。
 しかし、文字情報が日本語理解の助けとなっている中国人学習者にとって、聴解問題は大の苦手。

 読解問題にはかなりの点数をかせげる学生も、聴解となると音声の情報を理解するのが難しくなります。漢字の発音(日本語漢字の読み方がわからなくても、漢字が並んでいる文面を見れば、どんなことが述べられているかおおよそは理解できるため、読解文設問の回答を四択から選ぶことが可能になるのです。

 耳で聞いていると想像して、声に出して読み、文の内容を理解してください。以下は読解問題の一部です。
 
 ときどき、しんかんせんで しずおかふきんを はしっているとき、おちゃばたけに ちいさなふうしゃがたくさんならんでるのを みかけますが、「あれは はつでんのためですか」というしつもんを うける。じつは あれは ふうしゃではなく おおがたの せんぷうき、ぼうそうファンなのである。つまり ちひょうふきんの ひかくてき そうのうすい つめたい くうきそうの うえに~(以下略)

 さて、すんなりと理解できましたか。音読してみて、頭の中で漢字変換を行っているのではありませんか。漢字かな表記の日本式文章表記にすれば、日本語母語話者のみならず、漢字圏中国語話者にも、意味が分かりやすくなります。ぼうそうファンというのが、何なのか、漢字変換ができましたか。
 
 時々、新幹線で静岡付近を走っているとき、お茶畑に小さな風車がたくさん並んでいるのを 見かけますが、「あれは 発電のためですか」という質問を 受ける。じつはあれは風車ではなく 大型の扇風機(防霜ファン)なのである。つまり地表付近の比較的層の薄い冷たい空気の層の上に~

 私たちが、いかに漢字の持つ「表意文字」の情報によってさまざまな理解を行っているのか、よくわかります。「ぼうそう」と音で聞いて、私は房総半島のぼうそうかと思いました。
 「はつでん」ということば、「ちひょう」ということばも、発電、地表という文字情報で見ればすぐにすんなり頭に入ります。

 日本語を耳で聞いて理解するためには、漢字の読み方をしっかり覚えていなければ、はつでん=発電、ちひょう=地表という意味が受け取れないのです。

 日頃「漢字の読み方をきちんと覚えてください」と言っても、漢字を見れば「社会」も「経済」も「中国の意味と同じ」と思ってわかった気になり、読み方をきちんと覚えない学生もいます。
 しかし、聴解問題では「にほんの けいざいも しゃかいも、このひゃくごじゅうねんの あいだ、いちねんごとに へんかを とげ~」と、耳で聞いて意味を理解しなければなりません。

 訓読みをしっかり覚えること、音読み熟語の読み方を知ることで、聴解力も伸びるのです。漢字熟語の読み方を知ること、大事です。

 日本の文章表現のうち、漢字熟語が70%を占めます。つまり、耳で日本語を聞いたとき、日本語の音読み訓読みで漢字のことばを理解していなければ、70%がわからず、ひいては全体が理解できなくなります。

 学生には、口をすっぱくして「漢字のことば、読み方をおぼえてください」といっているのですが、、、、。

 日本人学生の日本語教師養成講座を受講した「漢字の読み方訓練」の300語を、何度目かに再掲載します。またか、と思う方、すっとばしてください。

 では、以後、何度かにわけて、「日本語漢字の読み方練習」をUPします。



<おわり>
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ぽかぽか春庭「EJU日本留学試験」

2022-11-15 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221115
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>日本語学校秋から冬へ(2)EJU日本留学試験

 2022年、11月13日。年に2回実施される「EJU」の日です。EJUとは、日本留学試験」の略語です。
 留学生が日本の大学に入学するとき、大学学部に応じて日本語による試験を受験し、大学によっては、面接試験などを行う前に「足切り」につかっています。多くの大学でEJUの成績が満点の半分ない学生には、その時点で「不合格」を通知。面接試験までたどりつけません。留学生試験の面接とは、日本語の聞き取りと表現力の試験です。多くは「この学部を志望した理由を述べなさい」などの定型質問なので、事前に回答練習ができますが、なかには予想外の質問もあり、対応力が求められます。
 事前に指導した「あなたの出身地の有名な産物産業について説明してください」とう予想問題がばっちり出て、「ちゃんと答えられた」というラッキ~!もありました。

 理系の学部受験の学生は、日本語のほか、学科によって、数学、理科、文系学生は、総合社会(日本の一般大学入試の歴史地理公民などの内容に相応)
 おおむね
 文系 日本語+総合科目(+1科目)
 理系 日本語+数学Ⅱ+理科
などを受験します。

 過去問から一部をチェック。
 まず、記述(作文)の試験。日本語話者の方は、下記の問題が英語で出題されたら、英語で作文できるかどうか想像してみて。

 50点満点ですが、評価は、文法や文字誤記を減点したうえ、構成点、論理的論述が的確かどうか、など点数がつけられます。
 課題に対して、3段落-5段落の構成で、論理的に矛盾や破綻のない内容に加点。日本語の文法や記述の間違いを減点していく。
 ある大学院では「EJU記述は30以上の得点を要求する」と受験者に注意がだされています。(EJUは大学入試用ですが、大学院の足切りにも用いているところがあります)
 50点満点のうち30点とるのはなかなか難しいことです。
 
 2つのテーマからひとつを選んで「自分の考えを述べる」という課題に400-500字で日本語文章を記述します。問題文は一部変更あり。
~~~~~~~~~~~~~
1) 観光地には、以前には有名でなかった場所が有名になり、多くの人が訪れるようになったところもあります。ある場所が有名な観光地になっていくと、どんなことが起こるでしょうか。よい点と悪い点に触れながら、あなたの考えを述べなさい。

 参考までに簡単な英訳を提出しますから、さて、英語でどう答えを記述するか試してみてください。自分の考えを出すことが大事です。日本語母語話者でも、20分程度で500字書くのは、なかなかたいへんなことです。 
 Some of the tourist destinations are famous places that were not famous before, and many people have come to visit them. State your thoughts, mentioning the pros and cons.

2)現在、社会のさまざまな場所で人のかわりに仕事をするロボットが使われています。社会の中でロボットが使われていくと、どんなことが起こるでしょうか。良い点と悪い点の両方に触れながら、あなたの考えを述べなさい。
 Currently, robots are used in various places in society to do work instead of people. What will happen when robots are used in society? State your thoughts, touching on both the good and the bad.

 私が1年弱日本語授業を担当したある外国の大学では、ひたすら暗記し、教科書に書かれていることをそっくりそのままテスト用紙に再現することが試験でした。出題されたあるページを、一字一句教科書に書かれているとおりに間違いなく書いたものが高得点、という試験でした。このような試験で優等生となった学生にとっては「自分の考えを述べる」という出題はとてもむずかしいものとなります。

 11月13日、試験を受けた学生のうち、ひとりは「大学院入試にEJU試験の結果を提出しなければならない」。あとは、ほとんどの大学で採用している「面接試験の足切りとしてEJUテストの点数を用いる」
 大学のレベルによって、足切り点はさまざまで、中には「面接で学習意欲を見て、人物をみきわめ、EJUの成績は参考程度」という留学生入試もありますが、どの大学でも、おおむね、満点の半数以下の点数だと面接試験までたどり着けない。

 日本語試験は、125分。全問400点満点。
 リスニング(聴解)と聴読解(文章を耳で聞き、グラフ、表などを読み解き質問に答える)が60分。

 残りの65分のうち、記述は25分。テーマに従い、意見文を500字執筆。
 読解(300~500字程度の文章25題)を40分で読み、内容についての質問。四択から正解を選んでマークシートに記入。
 ひとつの文章を読み解答を選択する時間は2分程度。それ以上時間をかけたら25問が終わらない。

 EJUで高得点を得るために、毎日受験勉強指導に邁進するよう、学校経営者から厳命を受けています。
 中国在住の学生は、「中国で名の知られている有名大学に何人送り出せたか」によって、日本語学校を選ぶので、どの大学に入学させたかが、学校経営のために最重要だ、ということです。これは、日本の私立高校の受験対策と同じです。どれだけ偏差値の高い大学に送りこめている高校か、ということで親世代が高校を評価する。

 私は、40年前の中学校国語教師時代、1点でも多く受験国語の点数を上げて「より偏差値の高い高校に何人合格させたか」で世間から評価される、という偏差値教育に反発して公教育教師をやめました。1970年代のことです。
 大学の留学生センター日本語講師になっていた35年間、受験戦争からは無縁でいられました。主に国費留学生の大学院生に日本語を教える仕事だったので、純粋に留学生の日本語能力向上のために教えることができました。

 学校の方針が「学校設立の理念」からどんどん変えられていく事態。もはや、「日本文化・社会」も二の次です。少しでも高得点をとれる「受験のコツ」が優先される授業に、他の優秀な方々はともかく、受験に関しては自分自身がずっと落ちこぼれであった私にはついていけません。たぶん、「老兵は消えゆくのみ」になってきたのでしょう、、、、。
 これまでがんばってきましたが、限界かも。

 留学生、ネパールの学生もベトナムの学生も、とても仲のよいなごやかな教室で、多数派の中国人学生も仲良くしているので、うれしく思っています。


<つづく>
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ぽかぽか春庭「誕生日の比較文化」

2022-11-13 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221113
ぽかぽか春庭にっぽにあニッポン語教師日誌>日本語学校秋から冬へ(1)誕生日の比較文化

 日本語を教えるには、語彙を覚えさせ、文型を理解させ、日々鍛錬の日本語教師。でも、私はこれまでJLPT(日本語能力試験)などに合格させるだけが日本語教育の目的ではない、と信じて、「試験のため」以外に日本語を楽しむ、という機会も作るようにしてきました。

 たとえば、七夕の前には日本の「棚機つ女(たなばたつめ)=機織り姫」の存在と、中国の七夕(チーシー)の違うところを比べて学生に絵を見せたり、 毎月の最初の日を「ついたち」と呼ぶのはなぜか、と話したり。12月31日を「おおみそか」と呼ぶのはなぜか、と解説したり、日本語の受験勉強とは関わりなくても、日本文化について理解してもらうことを願ってきました。

 「ついたち」というのは、陰暦(月のめぐりによる暦)では、新月が立ち上がる日だから「月立ち→ついたち」なんだよ、と教えると、今でも陰暦が「農暦ノンリー」として利用されている地方の学生は「そういうことか」と納得して面白がってくれます。

 しかし、今期、後期の授業からは「受験勉強優先」の方針が学校経営者から出されましたので、のんびり日本の文化や多文化との比較などの時間は取れない状況になってきました。

 「常識、あたりまえ」と信じてきた自国の文化との比較。たとえば、日本では誕生日には、家族や友人が誕生日を祝って誕生日を迎えた人にお花やケーキなどさまざまなプレゼントをあげるうという習慣があり、欧米でも多くの文化がそうだと話します。そして、そうでない文化も世界にはあります。と話すのです。

 私がかって滞在して日本語教育の一端を担った国では、誕生日を迎えた人が、その日まで自分を育て、いつくしんでくれた両親や家族、支えてくれた友人たちに感謝をこめて、感謝の品を贈呈するのです。
 短期留学で日本から語学留学していたある日本人学生は、その習慣を知って日本から「折りたたみ傘を50本」航空便で送ってもらい、誕生日に間に合わせて周囲の人に配った、と話していました。
 心の支えであるお寺に感謝をこめて、お寺への寄進もします。それが誕生日の迎え方。

 授業中「先生、今日は私の誕生日ですから、これからクラスの皆さんにケーキを買ってきて、プレゼントしたいと思います。3限目の前に駅前のケーキ屋まで買い物に行っていいですか」と尋ねてきた学生がいました。誕生日なので、皆に感謝をこめてバースデーケーキをふるまいたい、というのです。


 わたしは、その留学生の国も「誕生日を迎えた人が周囲にプレゼントをおくる」という習慣なのかと思って許可しました。「自転車で駅前に行く」というので、それほど買い物に時間はかからず、休み時間に行って帰れるくらいだろうと思ったのです。

 しかし、彼女は、ケーキに「happy birthday」のチョコレート文字を書いてもらったり、100円ショップでみなにケーキを切り分けて配るための紙皿やプラスチックフォークやナイフまで買い込み、たっぷり45分ひとこま分の時間をつかって買い物をしてきました。

 教室でケーキと一緒に写真をとったり、切り分けてみなに配ったり。クラスメートはハッピバースデーの歌を歌って、彼女のバースデーを祝いました。
 ホールケーキも、20人に切り分けたらほんの一口ずつになりましたが、みなにこにこです。
 ハート形のろうそくと細いケーキキャンドルが4本ついていたので、私は「24歳おめでとう」と言いましたが、入学の書類には確か「27歳」とあったはず。だから28歳になったんだよね。

 来日して5年ほど。日本でつらい時期も経験した彼女が、明るい表情になりけんめいに日本語を学んでいる姿、応援したくなります。
 45分1コマを抜けた分は欠席としないで、出席マークをつけました。まあ、誕生日祝いです。
 私もひとくちケーキをいただきました。28歳からの1年間がよき日々でありますように。


 故国では英語の先生をしていたという彼女が、「日本の大学に入って勉強しなおしたい」という人生設計を後押ししたいと思います。

<つづく>
コメント (2)
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ぽかぽか春庭「擬擬洋風高山市図書館」

2022-11-12 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221111
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記秋の旅番外編(1)高山町歩き余禄擬擬洋風・高山市図書館

 高山陣屋を見学したあと、市内巡りバスの中から見かけて、気になった建物をたずねました。私の好きな擬洋風の建物に見えたからです。
 バスの運転手さんが親切に下車停留所を教えてくれたのですが、運転手さんが言うには、「ただの市立図書館で、私らは別段観光スポットとは思っていない場所ですよ」

 まあ、確かめてみましょうと、建物の外観、玄関と眺めます。遠目にはたしかに擬洋風ではある。松本まで見に行った旧開智学校の建物に似ています。
擬洋風とは、明治のはじめ、西洋建築など知らなかった大工棟梁たちが、横浜などに建つ洋館を見学し、培った寺社建築の腕にかけて、見事な洋風の学校や役所を建てたものを言います。

 図書館に「煥章館」と名付けていることからして、由緒ありそうなんだけれど。
 図書館なんだから、建物の記録があるだろうと中へ。


 煥章館の「煥」の字は、私が好きだった書店、前橋煥乎堂の「煥」の字と同じ。たぶん煥という漢字に由緒正しき意味があるのだろう。と、調べてみれば。火偏ですから、「燃え盛る火の輝くさま」「煥章」とは、光り輝く文明の文章。明治の文明開化に応じたことばでした。ちなみに、前橋煥乎堂は、孔子が神話上の君主である堯を称えた論語の一節「煥乎として其れ文章あり」(光明なる文化がある)から採用されているので、煥章館もこの孔子の一節からと知れる。



遠目には擬洋風と見えましたが、近くでみればコンクリート製。「擬洋風」風でした。

「この図書館の建物について調べたいのですが」と、カンファレンスを申し込んだのですが、このとき図書館にいた館員さんたちが入れ替わりで調べてくださったのに、建物に関する記録は「図書館にはありません」で終わりでした。わずかに、元の建物は、明治のはじめの「煥章学校」であっただろう、ということがわかりました。古い教育史の中に「煥章学校」の写真がある、ということがわかったのです。

 「高山教育史」の年表によると、煥章学校は「高山尋常小学校」に名前がかわったまではわかりました。

 煥章学校を擬洋風に建てた大工さんとかを知りたかったのですが、建築についての記録は教育史には書かれていません。
 飛騨の匠は、きっと擬洋風の建物も上手にこなしたと思うのです。図書館ではこれ以上の調べはできませんでした。市役所のほうになんらかの記録があるのかもしれませんが、今回はそこまでは追及できず。

 図書館員さんが閉架書庫からもってきてくれた「高山教育史」

 しかし、帰宅してからネットで調べてみると、いろいろわかりました。
 いきなり飛び込みで図書館に入り、専門ではないであろう館員にたずねた私の「好奇心のわくまま、行き当たりばったり」の調べ方が悪かったのです。
 「信州松本深志神社舞台保存会」で調査をなさっている方が、高山図書館にあらかじめメールを出し、調査を依頼したうえで図書館を訪問された記録が「深志神社舞台保存会だより2013.12.22 」として残されていました。

 ちゃんと調査されている方には、司書さんもさまざまに資料を探してくれた、とのことで、館内撮影も許可された、ということでした。
 しかし、それでも建物については、松本の旧開智学校と関わりがあるらしいこと以上にはわからなかったそうです。(開智学校と煥章学校ができた明治の初期、長野松本と岐阜県飛騨は、両方とも「筑摩県」に属していた同県内。県の東と西に最初に建てられた学校でした。

 私は飛び込みの通りすがりのものにすぎませんでしたが、「現在の図書館は、いつ建てられた建物ですか」という質問にも、「えっと、私が勤め始めたのが平成20年からで。そのときはもうこの建物で勤務しました」という「個人史」を聞かされただけ。
 新しい高山市立図書館は2004(平成16)年に建造された、くらいは教えて欲しかった。コンクリート製ですが、煥章学校の写真などをもとに、色彩などを調査したうえで「擬洋風」風に、建てられました。

 帰宅後ネット調査でわかったこと、感じたこと。
1 明治元年11月に「江戸幕府直轄地高山から明治政府の筑摩県にかわったことなどを地元民に知らしめるための教育の場」がお寺などに設けられた。役人のことばを聞く人々は、何を知らされたのかさっぱりわからず、ただ、お坊さんの説教を聞くときのように、なんまんだぶなんまんだぶ、と唱えながら聞いていたそう。おもしろ!
 この政府命令による「教育の場」設立が、地域の学校設立契機になったので、「なんまんだぶ」にも後世に続く効果があった。

2 1873年、筑摩県(長野県一部と岐阜県一部)に、煥章学校と開智学校が設立され、1876(明治9)年に、1年の工期で木造校舎完成。同じ筑摩県松本の開智学校とほぼ同時期。 
 通常なら大工が屋根裏などに掲げておく棟札。明治19年に「高山尋常小学校」と改称されたのち、1970(昭和45)年まで煥章学校校舎が小学校として使用されましたが、新校舎への移転後1996(平成8)年までは市役所として使用されました。老朽化を理由に解体取り壊し。このおり、棟札を保存しなかったのは、高山市のミスと思います。最初からなかったとは考えにくい。

 その後「古い町並みは観光資源になる」ということが観光地として生き残るために必要なことがわかり、高山市内の各地の建物が「文化財」として保存されるようになっています。旧煥章学校も、新しい技術で耐震工事などをほどこして改修すればよい観光資源になったことでしょう。
 「近代建築」愛好家の「近代建築学校巡り」の場所のひとつになったでしょうに。壊してしまったら後の祭り。

 1920年頃と推測される旧煥章学校の写真(借り物)。市内の医師が撮影した「校庭での相撲大会」

3 棟札は保存されていませんが、言い伝えにより、宮大工の滝井与六が棟梁として携わったとみられます。しかし、与六がどのように建てたのかは記録に残されていない。図面などもなし。
 わかっているのは、高山の生んだ作家、瀧井孝作(1894 - 1984)が、与六の孫だということ。孝作の父親も腕のいい指物師(家具職人)だった、ということなので、飛騨の匠の技術を受け継いでいる家系と思われます。

 図書館内に設置されている「瀧井孝作書斎再現コーナー」

(無許可撮影。館内の撮影はすべて不可。
 図書館に来た人などが写り込んだ写真をそのまま公開する人などもあったかと思います。トラブルになることを市側が事前回避しているのでしょう。しかし、撮影希望者が受け付けに名前住所などの証明を提示することを条件にして、撮影許可を出すべき。公共の施設が、トラブルをめんどうがって、なんでもかんでも「撮影不可」にすることに、春庭は反対しています。フラッシュを切った撮影により、展示物が痛むこともないですし。春庭がここに「滝井孝作書斎再現」を無許可で撮影し、ブログUPすることで、誰かに迷惑をかけることになるのなら、削除します)。

 瀧井孝作による「小学校の思い出」  
 『今思い描けば、母校は華麗に看えた。明治初年の仏蘭西風に倣った白亜の西洋館で… …正面玄関の廂の軒の、大鷹の羽ひろげた大塑像も明治開花の象徴らしかった。』(瀧井孝作)

4 瀧井孝作の思い出の記にもある「鷹」について。
 高山市図書館入口に今も残されている彫刻「鷹」の作者はわかっています。山口権蔵(山口権之守 )と、図書館のガラスケースの鷹の足元に作者の名前が入っていました。(権之守は、権之正とも)

鷹は、煥章学校の玄関に掲げられ、登校する生徒を見守っていたそうです。

 中央で官の側に立って仕事をした高村光雲の名は残り、東京国立博物館で、その作品を見ることもできますが、山口権蔵は「飛騨の匠のひとり」として伝わるのみで、生没年不詳。全国的には無名の職人です。しかし、「鷹」を眺めると、高村高雲の「老猿」に匹敵する優れた作品と思いました。
飛騨には一刀彫の伝統があります。「飛騨の匠」は、職人技として、寺や神社などの建物、指物(家具)、祭り屋台など木を使うことは全般手掛けたようです。
(画像借りもの)

5 煥章学校、滝井与六、山口権蔵について研究している方の論文があったら、ぜひネットなどでもいいから発表してほしいです。
 地方に埋もれている「郷土の偉人」発掘を地方自治体がやって、「まちおこしのネタ」でもいいから進めてほしい。

 以上、高山市でたまたま見かけた疑似「擬洋風」の建物についての春庭好奇心のレポートでした。

<おわり>


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ぽかぽか春庭「飛騨の里」

2022-11-10 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221110
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記秋の旅(7)高山町歩き-飛騨の里

 高山の旅、最後の見学地は「飛騨の里」
 9月27日、帰りの新宿行きのバスを13時から17時に延期して、午後を飛騨の里歩きにつかいました。
 「飛騨の里」の建物は、高山周辺の飛騨の地に建っていた農家の移築展示。たぶん、川崎民家園と似たようなものと思ったので、当初は見学しようとおもっていなかったのです。が、この次高山に来るのはいつになるのかわからないのだから、新宿到着が真夜中になってもいいや、と思って行ってみることにしました。


 お地蔵さんがおでむかえ。


 川崎民家園は、高低差の大きい園内を、登ったり下りたりがきつくてたいへんでしたが、飛騨の里は、大きな池を囲んで緩やかな坂を通って一周するので、歩くにはだいぶん楽でした。


 
 池を時計回りに歩きました。最初は、新井家住宅。週末なら機織り体験ができる。




 機織り機

旧若山家



 以下順不同








 屋内のようす、屋根裏など



  屋根裏



 高山の最後のひととき、高速バス新宿駅行きに乗り遅れると当日中に寄託できなくなるので、時間を気にしながらの見学となりましたが、それぞれの家にそれぞれの家の歴史が感じられて、よい時間になりました。

 <おわり>

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ぽかぽか春庭「村半と高山まちの博物館」

2022-11-08 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221106
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記秋の旅(6)高山町歩き-村半とまちの博物館

 9月26日の高山街歩き。
 高山街並みと町屋の見学のなかで、予定にはなかった建物見学をしました。
 町の地図を見て、立ちよってみようと入ったのは「村半」。
 「村半」こと、旧村田邸は、高山市立の施設になっていて、「公共利用の若者居場所つくり」の拠点です。

 村田邸外観(借り物)
 
 外観の赤みは、「ベンガラ色」です。

 高山市の説明
 明治8(1875)年に建てられた建築物であることが分かっていますが、140年以上も前に建てられた木造建築物が、ほぼそのままの姿で現在に残っているのは、とても多くの人々がこの町家に様々な形で関わり、大切に思って、保全継承する努力を積み重ねてきたからに他なりません。

 村田邸は、建物の保全だけでなく、市民に開放されて会議その他に部屋が利用されていました。高校生が集まってなにやら相談していたり、結婚式の前撮りをしたり。

 高山市のHPより


 高山市の説明
 明治大正期、村田半六が実業の繁栄とともに周囲の町家を統合してほぼ現在の姿とした、飛騨高山の城下町でも最大級の町家建築で、建物正面(東側)から見て右手は居住・商業空間である「主屋」、左手は高山まゆ市場として利用された吹き抜けの大空間が広がる「まゆ倉庫」、「中庭」をはさんで背面には3棟4つの「土蔵」が建ち並ぶ、空間の多様性に富んだ魅力的な建築物です


 現在は「高山若者等活動事務所」
 村半は、飛騨高山の城下町中心部、歴史ある町家の建ち並ぶ古い町並(下二之町大新町伝統的建造物群保存地区)にある築140年を超える大規模な町家「旧村田邸」を活用し、若者による地域活性化を進めるための市の事務所として改修整備したまちなかの拠点施設です。
 
 高山市の市立施設ですから観光名所の扱いではありませんが、見学も受け付けており、自由に内部を見て回ることができました。
 蔵を利用した学習室などで、若者が集って勉強会だかさまざまな活動を行っていました。ドアが開いている場合ちらっとのぞかせてもらいました。若者が学校以外で集まっている様子、よいものです。

 また、予想通り「結婚式の前撮り」撮影中にも出会いました。私が古い建物を訪ねると、よく結婚前撮りに行き当たります。

 玄関からつづく畳の間

 囲炉裏の間
 
 結婚式前撮りのふたり

 蔵の中は、集会室や学習室

 長持ちをテーブルに仕立てたミーティングルーム

 中庭

 井戸のある台所
 天井の木組み。太い梁が見事です


 築140年の建物を観光名所のおみやげ屋などにせず、若者の居場所拠点として利用するようにしたなんて、高山市、なかなかです。
 歴史的な建造物をどのように活用するかについては、どの町も頭をひねって有効活用を考えるでしょう。
 そんな中「高山若者等活動事務所」という利用をしている高山市、「おぬし、できるな」と感じました。

 9月27日に見学した「まちの博物館」と向かいの「飛騨高山まちの体験交流館」も、人々が集えるようになっていました。



 「まちの体験交流」は、飛騨の伝統工芸を体験することができます。

 わたしも時間があれば組みひもを作ってみたかったのですが、今回は駆け足見学なのでパス。

 高山図書館を出て、ちかくのお好み焼き屋でお昼の腹ごなし。私が食べ終わって店をでるとき、「まちの博物館に行きたいのですが、このへんに市内バスの停留所がありますか」と尋ねてみると、「孫とふたりで食べるんで、〇〇焼きふたつ」と注文していた方が「バスに乗ることないで。そこの階段くだったら、すぐそこ」と、教えてくれました。

 教えられたとおりにいくつかの階段を下る。最後の階段を降りたところが「まちの博物館」。遠回りしないですみました。
 

 「まちの博物館」建物についての高山市の説明 
 展示室は江戸時代の豪商、矢嶋家と永田家の土蔵を活用しています。
 矢嶋家は、材木や塩の商いをしながら「町年寄」として江戸時代を通じて商人町を治めていました。
 永田家は屋号を「大坂屋」といい、明治初年には高山一の田地をもち、酒造りなどをしていました。酒蔵は高山で最も大きな蔵の一つです

 各棟、各室に高山市の歴史や民俗についての展示がありました。
 

 まちの博物館各室の展示を駆け足で巡る。
 展示室3高山の祭り・高山の町屋、展示室4高山の歴史。展示室5金森氏6代。展示室6飛騨地方の自然・行事。展示室7伝統行事。展示室8美術。展示室9信仰。展示室10町人の暮らし。展示室11学問・文芸。展示室12大火と防災。展示室13伝統工芸。展示室14産業。

 展示室5の金森氏の事績。伊達政宗あての書状


 飛騨の匠の技を伝える一刀彫


 充実した「これでもかっ」の展示でしたが、駆け足見学には、あまりに盛りだくさんすぎて、なんだかぼうっと通り過ぎてしまいました。浅学菲才の身、頭に残ったのは、広瀬武夫くらい。広瀬は裁判官の父に従って高山に来ました。高山の小学校(煥章学校)で学んだことがわかりました。
 広瀬武夫写真。
 広瀬の書簡


 「明治の偉人」の中でも広瀬は世間的には軍人として知られてきました。が、明治文学を概観した時、ロシア文学とのかかわりにおいても、漢詩人としても、名を残したと言えるほど有名ではありません。
 私は小学校5年生の担任下田先生から「すぎのはいずこ」と歌う「軍神広瀬中佐のうた」というのを教わりましたが、文学と広瀬については知らないままでした。  
 広瀬武夫全集の編集をした司馬遼太郎が「文学者としての広瀬武夫」について書いた文章を読んで以来、漢詩人としての広瀬武夫に興味を持っています。
 現在の国語教育では、奈良平安時代から千年続く「漢詩漢文学」教育が途絶えてしまいましたから、漢詩への感性養成が皆無となり、なかなか漢詩が世に広く知らされることはないのが残念。
 私は漢文が高校必修であった最後の世代。むろん、白文読み下しなどはできませんが、漢詩は好きです。

 門を出てふりかえる「まちの博物館」


 

まちの博物館の向かい側に「飛騨高山まちの体験交流館」があり、どちらも駆け足ではなく、ゆっくりのんびり訪問出来たらよかったのに、と思います。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「高山街並みめぐり・その2」

2022-11-06 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221107
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記秋の旅(6)高山町歩き-街並みめぐりその2

 高山の「祭り会館」と「高山陣屋」は、どんな駆け足ツアーの観光バスも必ず立ち寄るであろう高山の2大観光スポットでしょうが、わたしには、ただ当てもなくぶらぶら歩きまわる町歩きが楽しかったです。今回は、そんな街歩き後半のレポート。

 26日、「しもちょう」とか、「さんの町」とか、いろんな町筋を歩いたのですが、きちんとした記録をとっておかないから、あとから写真を見ても、どの町がどれやらわからなくなりました。ちゃんとした町並み写真はきっと写真家が写真集とかだしているだろうから、私のは、ただ「こんなところ歩いたよ」という思い出ヅクリ。
 
 以下は「しもちょう」と「さんの町」で見た町並み建物が順不同でならべてあります。



 町並みの中、畳屋呉服屋など、日常の生活が営まれていました。観光客相手のおみやげ屋とかカフェばかりが並ぶ町並み保存が多いなか、高山の中はさまざまな生活にあふれていて、趣がありました。
 補助などもあるかもしれませんが、日常生活を送りながら家の補修保存を行うのはたいへんなことでしょう。日常の中に高山の街がこうして残されるのは貴重なことと思います。

 こちらは産婦人科の医院。


 酒屋
 味噌屋

 珍しい3階建ての町屋

 
 茶寮「三葉」は、HPに堂々の由来を掲げていましたが、貧乏春庭はのれんをくぐらず、写真だけとらせてもらいました。


 三葉による由来の口上
 当店はかつて屋貝家の邸宅があった場所です。 屋貝家は金森家の家臣として名をはせた山蔵家とも親戚関係がありました。 戦国時代、金森長近が飛騨に攻め入った際、 山蔵縫殿助宗次は飛騨の土豪三木氏との争いで 畑六郎左衛門休高を一騎打ちで討ち取り功をなしました。 山蔵家で使用したと伝わる鞍や兜が屋貝家に残されております。 屋貝家は十七世紀に町代、後に町年寄となり幕末まで世襲により続きました。 町年寄は今で言う裁判所、税務署、消防署、市役所などの 機能を果たしており、様々な事務を行っておりました。 家業は酒造業、生糸などの問屋、鉱山業などを営み、 代々皆文化人で、俳句、書画、茶

道などを嗜んでいたようです。

 街並みの中のカフェといえども、この由緒。
 店のHPに、中山秀征が旅番組の取材に来てかき氷を食べたと書いてありました。かき氷が一杯2千円くらいしそう、なんてビビっていないで、ちょこっとカフェしてみたらよかったのだけれど。貧乏旅行だからね。ひとり旅は、いつもこんなもん。

 私が食べたのは、一本130円の団子一皿2本。東京のみたらし団子と変わらないけれど、高山で食べた、というのが思い出。
 
 団子屋の中。店の中の写真を撮ってもいいか許可を求めたら、ぶっきらぼうそうなおっさんが、「べつに、かまわねぇ」と。

 下町の自治会館かなにか。「よって館しもちょう」というネーミングでしたが、よらず。
 英会話塾も、こんな風情。
 餅屋

「古い町並み」という標識が出ている角

 「さんまち通り」は、いちばんにぎわう観光名所らしいので、夕方最後に歩きました。

 この時点で夕方5時。火曜日の夕方ですから、23日24日25日の3連休のごったがえしのにぎわいは少なくなっていました。高山の友人宅によく泊りに行くという同僚にきくと、休日の高山「ふるい町並み」の通りは、原宿竹下通り並みの押すな押すな状態だそうです。

 火曜日午後5時にも人通りはまだ続いていましたが、人がいなくなったころあいを見て、写真を写すこともできました。


 昼前におだんご食べたほか、高山グルメ食べ歩きは、飛騨牛寿司と高山ラーメン。どちらもおいしかったですが、かなりの「観光客値段」でした。ま、おいしかったからいいか。



 ラーメン食べ終わって、さんの町入口というバス停で駅前に戻るバスを待つ。10分ほど待ってもこないので、心配になりました。ラーメン店「龍」から歩いてすぐの橋のたもとの交番へ行き、尋ねました。「あそこのバス停、次のバスが駅前にいくかどうか、わかりますか」。おまわりさんなら市内の交通について、知識があるだろうと思ったのです。
 若いお巡りさんが「バス停を見てきてやるから、交番の中で待ってて」というので、しばらく待っていると、目の前を駅行きのバスが通り過ぎました。

 お巡りさんが戻ってきていうには「今、バスいっちゃったね。次は40分後」と、のんびりいうので、「ああ、尋ねたりしないで、あのままバス停でまっていれば、あと少しで駅前ホテルに戻れたのに」と、激しく後悔。
 中年のおまわりさんが、タクシーを呼んでくれたので、「御親切ありがとう」と、礼を言って乗り込む。知らない観光地でひとり旅の観光客だと思われると、遠回りにぐるぐる回ってえらく高くつくタクシーもありました。タクシーに乗りたくなかったのだけれど、おまわりさんが「交番の前まで一台」と呼んでくれたタクシーだから大丈夫、と思って乗車。駅は歩いても10~15分と言う場所なので、2kmまで初乗り料金でいくとの予想よりは高かったけれど。

 というのが今回の旅の唯一の失敗です。高齢者一人旅はえてして「すっころんで骨折」なんてことにもなるのに、バスじゃなくてタクシー代奮発したくらいの失敗は、まあ、全般としてよい旅だったといえましょう。

<つづく>
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ぽかぽか春庭「高山町歩き-朝市と高山陣屋」

2022-11-05 00:00:01 | エッセイ、コラム
20221105
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2022ふたふた日記秋の旅(5)高山町歩き-朝市と高山陣屋

 高山2日目。駅前ホテルで朝ごはんをすませて、市内めぐりのバスに乗車。



 まず、高山陣屋に行き、陣屋前の朝市に。
 高山陣屋は、前回高山を大急ぎの通り抜け観光をしたときも「祭り会館」と陣屋のふたつだけはみておこうと、きたことがあったのですが、今回も「一応観光の目玉は見学しよう」とやってきました。

 高山陣屋門前
 

 陣屋前の朝市。9月27日火曜日ですから出店数は週末に比べて少なかったでしょうが、出ている店を冷やかすのも楽しかったです。東京まで持ち帰るのは重いかと思いましたが、よくよく重ければ、ホテルから宅配を頼めるからと思って、いくつか買い物。梅干しとか「ここで買わんでも、東京でも買えるけどな」と思うものの、これは、お店の人に「写真をとってもいいですか」と頼むための買い物。

 陣屋前の朝市

 陣屋の中をめぐる。いくつかの棟をめぐり、書かれている説明をひとつひとつ読んだのですが、読む端から忘れていく今日この頃。説明は、はぶきますので、陣屋の何たるかを知りたい方はぐぐってください。

 陣屋の中で
 

 高山陣屋平面図

 蔵の屋根裏



 蔵の中には、「かってはこんなふうに年貢米が積まれていた」と再現されていました。
 
 陣屋代官役宅の中(と、思う)
  
  

 ホテルの朝ごはん。外で食べることも考えましたが、すぐに市内巡りのバスにのりたいと思い、あじけないだろうけれどと、迷いつつホテル内でとりました。が、案外、朴葉ミソや飛騨蕎麦が高山っぽかったかな。1250円。
 
 
 バスの乗り継ぎがわからないので、いったん駅前のバスセンターに戻りました。バスの中から見かけた建物が気になったので、確認しに出かけました。

<つづく>
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