面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

近鉄バファローズ最後の日のこと

2006年11月16日 | 野球
このブログ、記事に複数の写真を掲載できることに気付いた。
遅っ!なんともマヌケなことである。
そこでさっそく記事を考えたとき、ハタと思いついたのが、かつて応援していた近鉄バファローズの本拠地最終戦の思い出である。
(また野球ネタかい!?)

今回は本ブログには珍しい(?)悲しい記事であるがご容赦願いたい。
(ご容赦いただくポイントが間違っているか!?)

2004年9月のことである。
タイガースとともに応援してきた近鉄バファローズの、地元・大阪ドームの最終戦。
平日だったので、前日から段取りを考え、仕事を定時で切り上げて駆けつけた。

地下鉄の最寄駅から地上へ出て球場を見た瞬間、急に寂しさがこみ上げた。
今日で近鉄バファローズは見納めか…と思うと涙が溢れそうになり、慌てて気を取り直してドームへと急いだ。

内外野自由席が無料開放されたこともあり、ドーム周辺には人の波。
一塁側を諦めて三塁側へと急ぎ、席を確保することができた。
観戦しながらも、ふとした瞬間に涙が流れそうになるのをこらえての観戦…



近鉄を応援するようになったきっかけは小学生の時。
タイガースの帽子を買いに祖母と一緒にデパートへ行ったが、巨大な自分の頭に合う帽子がない(どんだけデカイ頭の小学生やねん)。
仕方なく、頭のサイズに合う帽子を探したが、その時にピッタリフィットしたのが近鉄の帽子。
当時自分の周りには、南海や阪急の帽子はよく見かけたが、近鉄の帽子を見ることはほとんどなかったことから、自分のなかの天邪鬼が目を覚ました。
帽子を買ってからチームのことを調べ、佐々木恭介外野手を応援することにした。
しかし、先に記事に書いた太平洋同様、テレビ中継はめったに無く、タイガースに比べて圧倒的に情報収集は難しかった。
しかしながら、毎週土曜日の午後、ラジオの朝日放送で「近鉄バファローズアワー」が放送されており、シーズン中はデーゲーム中継があり、オフには近鉄情報や選手が出演したりしたので、だんだんと詳しくなると同時に愛着も深まっていった。
そんなバファローズがよもや消滅しようとは…



同点で迎えた9回は、超満員の一塁側へ移動。
コアな近鉄ファン達の真っ只中で、立ったまま試合を見守ることにした。
勝とうが負けようが引き分けようが、試合の最後はやっぱり近鉄ファンの中にいたかったのである。
そして劇的なサヨナラ勝ちでのフィナーレ!



試合終了後、オーロラビジョンには「ご声援、ありがとうございました 大阪近鉄バファローズ」の表示。
いよいよ最後…



近鉄ナイン全員で、サインボールをスタンドに投げ入れながらの場内一周。
近鉄球団歌のイントロが場内に流れる。
みんなと一緒に歌おうとしたのだが、涙が込み上げて歌えない…。
これまで我慢してきた涙が、堰を切ったように溢れ出した。

隣の金髪の兄ちゃんは涙を流しながら歌っていた。
前のおっちゃんは鳴き声になってまともに歌えていない。
後ろのおばちゃんはタオルで顔を覆って号泣している。
スタンドのあちこちで、老若男女関係なく涙、涙、涙。
「合併せんといてくれー!」「近鉄無くなるのいややー!」
という叫び声と、
「今までありがとうー!」
という声援が交錯するスタンドで、とめどなく涙が頬を伝った。



マスコミ向けの選手集合写真撮影。
この写真は後に、近鉄バファローズの携帯公式サイトにUPされた。
携帯に取り込んだのは言うまでもないが、選手の顔は全くわからなくてイマイチだった。



いよいよバファローズが大阪ドームを去る時がきた。
写真を撮ると、前の兄ちゃんのレプリカユニフォームの袖口が入った。
故岡本太郎画伯デザインの球団マーク。
この“爆発系”芸術作品をグラウンドで見ることができなくなってしまった…。

球場であんなに悲しい思いをしたのは初めてだった。
そして、応援しているチームが消滅することがどれほど悲しいことであるかを肌で感じた。
寂しさが満ち溢れたスタンドの風景は一生忘れられない。

とはいえ、近鉄バファローズが消滅しても、自分はタイガースを応援し続けることができる(そっちがメインでもある)。
しかし近鉄ファン達は、応援するチームが無くなってしまったのだ。
あの「なにわのモーツアルト」キダタロー作曲の球団歌も二度と歌えない。
我々タイガースファンにとってみれば、「六甲颪」が歌えなくなるということ。
こんな悲しい、寂しいことはない。
涙にむせぶ近鉄ファンの姿を見て胸がつぶれた。

大好きな野球場で、こんな寂しい、悲しい思いは二度としたくない。
大勢のファンを悲しみに陥れたプロ野球機構の面々を許すことはできない。
そして、タイガースがタイガースであり続けるためには、やはり何よりもファンの応援が必要なのだ、ということも痛感した。
大阪ドームが常に、最終戦の半分の入りでもあれば、近鉄がこれ程の赤字経営に苦しむことはなかったかもしれない。
少なくとも、近年のタイガースの入場者数があれば、チームは成り立つはず。
近鉄バファローズ大阪ドーム最終戦を観て、これからもどんなことがあってもタイガースを応援し続けていこうと、決意を新たにしたのだった。

近鉄バファローズ、長い間楽しませてくれてありがとう。
さらば、近鉄バファローズ。


飛ぶ雲 飛ぶ声 飛ぶボール
飛ばせ雲まで ボールよ届け
バファローズ バファローズ
角を一振り つむじ風バファローズ