面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

2015年07月30日 | 映画
石油も水も尽きかけた近未来。
元警官のマックス(トム・ハーディ)は、愛する者を殺されて夢や希望もなく、ただ“生存”していた。
ある日、水を独占して暴力と恐怖で民衆を支配しているイモータン・ジョー率いる軍団に捕まった彼は、生きたままその血を提供させられる“輸血袋”とされるが、ジョーの子供を産むことだけの目的で囚われていた「ワイブズ」を連れて軍団からの脱出を図るフュリオサ(シャーリーズ・セロン)と、戦闘要員として育てられてきたニュークス(ニコラス・ホルト)と共に、自由を求めて逃走を開始する…


頭のおかしい凶悪なボスに立ち向かうというコンセプトは、メル・ギブソン主演の「マッドマックス」シリーズの面影そのままに、ハデハデしいマシンをブッ飛ばしての壮絶なカーアクションによる迫力満点の追跡劇で、かつてのシリーズとは似て非なるものとなっているが、相変わらず“悪玉”が倒されていく度に心はスッとする。
ある種のカタルシスは得られるものの、スキッと爽快♪とはいかないところも前シリーズと同じか。

砂埃が舞い上がる乾ききった大地の描写が息苦しさを感じさせる、“ほぼ勧善懲悪型”のバイオレンスアクション!
監督だけでなく、「あ!あいつが!?」という人物も再登場しているところがミソ♪


マッドマックス 怒りのデス・ロード
2015年/アメリカ  監督 ジョージ・ミラー
出演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン、ニコラス・ホルト、ロージー・ハンティントン=ホワイトリ、ゾーイ・クラヴィッツ、ライリー・キーオ、ネイサン・ジョーンズ、メーガン・ゲイル、ヒュー・キース・バーン、ジョシュ・ヘルマン

「海街diary」

2015年07月27日 | 映画
鎌倉で暮らす長女・幸(綾瀬はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)の三姉妹のもとに、15年前に家を出て以来疎遠になっていた父親の訃報が届いた。
父の最後の地となった山形で葬儀に参列した三人は、母親の違う妹・すず(広瀬すず)に出会う。
三度目の結婚をした父の連れ子だったすずは、頼りない継母に代わって、気丈に父親の最後の面倒を見てきたのだった。
三人から父親の介護に対する礼を言われたとき、張りつめていた心がほぐれたように涙を流すすず。
そんな彼女に幸は、自分たちと一緒に暮らすことを提案する。
秋の訪れとともにやって来たすずを迎えて、四姉妹の新しい生活が始まった…


離婚した両親が出ていった後の一軒家で、寄り添うように生きている、生真面目で責任感の強い長女・幸、自由奔放な次女・佳乃、マイペースな三女・千佳の三姉妹。
そこへ、腹違いの四女で、素直でマジメでしっかり者のすずが加わることによって変化が起きる。
幸の心はほぐれ、次女・三女は人間的に成長し、すず自身も心の奥に封印していた悲しみを解き放つことができ、自分自身の存在を認められるようになる。
鎌倉の美しい四季の中で、四姉妹の何気ない日常も、さりげなく変わっていく。


季節と台詞の移ろいが、四姉妹の絆が深まっていく様子を描く佳作。


海街diary
2015年/日本  監督:是枝裕和
出演:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、加瀬亮、鈴木亮平、池田貴志、坂口健太郎、前田旺志郎、キムラ緑子、樹木希林、風吹ジュン、リリー・フランキー、堤真一、大竹しのぶ

来季の大谷

2015年07月25日 | 野球
日本ハム・大谷、プロ初の満塁被弾も両リーグトップ11勝目…昨季に並ぶ


ファイターズの大谷が両リーグダントツトップとなる11勝目をあげた。
この試合はあまり調子がよくなかったようで、ライオンズの主砲・中村にホームランを二発もくらうなど、6回投げただけで102球も投げ、7安打打たれての5失点。
ただこの5失点が、全ておかわり中村のホームランだけだったというところに、悪い中でも最低限の投球はできた大谷の強さがある。
中村に打たれても気持ちを切ることなく、後続を断ち、それ以上の失点を防いだと言えよう。
そして普段からチームへの貢献度が高いことは、野手にはもちろん浸透済みであるので、悪いなりにも必死で失点を食い止めようとしている姿に打者も応えたのではないだろうか。
おかわりに対抗するように、助っ人のレアードが2発ぶっ放して援護したのはその最たるもの。
大谷自身の力もあるが、やはり野手陣の援護もあってこその11勝であり、敗戦もたった1つで済んでいるということだろう。

投手として、もはやエースの風格を備えてきた今季であるが、打者としての成績はイマイチ。
このままだと、来季からいよいよ投手として“一本化”することになるのではないだろうか…

「ゾンビーバー」

2015年07月23日 | 映画
ズボラな運転手が携帯片手に運転するトラックが、田舎道で鹿に激突。
その衝撃で、荷台に積んであった汚染廃棄物の入ったドラム缶の一つが、そばを流れる川へと転げ落ちた。
下流へと流れていったドラム缶は、とある湖に作られたビーバーの巣に引っかかって止まったが、はずみで中身が吹き出し、辺りを汚染してしまう。

ある日、湖のほとりにあるコテージに、メアリー(レイチェル・メルヴィン)、ゾーイ(コートニー・パーム)、ジェン(レクシー・アトキンス)の仲良し3人組がやってきた。
彼氏の浮気に傷ついたジェンを慰めようとメアリーが、週末に無人になる親戚の所有するコテージを借りて、“女子会キャンプ”を企画したもの。
昼間は近くの湖で遊び、夜は過激なガールズトークを楽しんでいた3人だったが、彼女たちの彼氏であるサム(ハッチ・ダーノ)、トミー(ジェイク・ウィアリー)、バック(ピーター・ギルロイ)が突然乱入してきて乱痴気騒ぎになる。
そんな中、シャワーを浴びようとしたジェンが、バスタブで共謀なビーバーに襲われ、慌ててバスルームから飛び出してきた。
おとなしいはずのビーバーが、まるで違う生き物のように牙をむく恐ろしい姿に、トミーがボコボコに木で殴って撲殺し、ゴミ袋に放り込んでコテージの玄関から放り出した。

翌朝、ゴミ袋が破れて、中に入っているはずのビーバーの死体が無くなっていた。
森の中のコテージゆえ、野生動物が食ってしまったんだろうとタカをくくる3人だが、それがその後に起こる凄惨な事件の幕開けとなることを知る由も無い…


週末のバカンスに、森の奥にたたずむコテージへとやって来る下品でユルい大学生たち。
そこで繰り広げられる乱痴気騒ぎと、その喧噪をよそに迫りくるモンスター、やがて繰り広げられる血しぶきにまみれる惨劇…
キャンプ、バカな学生、お色気、スプラッターと、伝統的B級ホラーの基本を忠実に踏襲して物語が進む。

映画が始まってしばらく続く、トラックに乗る二人組の男たちの下品極まりないユルい会話。
この下衆さは、B級テイストにおける基本的なスパイス。
いきなりのご機嫌な味付けに、思わず吹き出して笑ってしまった♪

汚染物質にまみれて遺伝子に異常をきたし、ゾンビとなって狂暴化するビーバー。
鋭い前歯を牙のようにむき出すものの、マペット感たっぷりの“ちゃちな”作りで動きも雑(笑)
CGによるVFXなどクソくらえなその姿に、恐怖感よりも“失笑感”が湧き起こる♪


B級スプラッターホラーの王道をゆくのだが、うまくスカされるところが楽しい!

登場して早々に見事なバストを惜しげもなく開示する、セクシーで少々下品な美女ゾーイ。
彼氏に裏切られて落ち込む、マジメで少し引っ込み思案なジェン。
そんな彼女たちの中に立つリーダー格のメアリー。
この組み合わせならば、だいたいはゾーイは早々に殺されてしまい、次にメアリーが死に、最後はジェンが生き残るだろう。
無意識のうちにそんな予測をしながら観ていたが、それを見事に外される意外な展開にワクワクする♪

また、「ゾンビモノ」にはかかせない、ゾンビに噛まれてゾンビになるという現象は、ビーバーのゾンビだけに、ただ人間がゾンビ化するなどという単純な話ではない。
ビーバーに噛まれてもしばらくは何も起きないのだが、やがて奇想天外な変貌を遂げていくことになってビックリ♪

そして惨劇が収束して平和が訪れる終盤。
そこでもう一度ハラハラな展開があるのはお約束だが、あ!と思わせた瞬間にやって来る、実にあっけない幕切れに爆笑した♪

さすがは「ハングオーバー」シリーズの製作者クリス・ベンダーとJ・C・スピンクが手掛けただけのことはある。


映画「アイアンマン」におけるサミュエル・L・ジャクソンを彷彿とさせる、次作への伏線となるシーンが登場するので要注意。
そこから類推するに、きっと次回作のタイトルは「ゾン○○」に違いない!
というのが、映画情報バラエティ番組「Theがってんシネマ」における結論である。
(「○○」は当局の指導により伏字としています)

最後の最後まで、ワクワク・ゲラゲラし通しの、オーソドックスなB級スプラッターホラー&モンスター系パニックムービー♪


ゾンビーバー
2014年/アメリカ  監督:ジョーダン・ルービン
出演:レイチェル・メルビン、コートニー・パーム、レクシー・アトキンズ、ハッチ・ダーノ、ジェイク・ウィアリー、ピーター・ギルロイ、レックス・リン

「ターミネーター:新起動/ジェニシス」

2015年07月21日 | 映画
2029年のロサンゼルス。
1997年の「審判の日」に、人類を守るためのシステムのはずだったスカイネットが核兵器で30億人もの人類の命を奪って以来、機械軍によって支配され続けてきた人類が、その闘いにようやく終止符を打とうとしていた。
機械軍中枢への攻撃態勢を整え、とどめを刺すべく全軍を鼓舞する抵抗軍のリーダーはジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)。
機械軍との戦い方を指導し、敵の動きを常に先取りして人類を指揮してきた彼は“預言者”と呼ばれていた。
そんなジョンに付き従っていたカイル・リース(ジェイ・コートニー)は、彼と共に機械軍の“最終兵器”を破壊するべく最終決戦に臨む。

戦闘が始まり、激戦が展開されたが、ついに別働隊が機械軍中枢の破壊に成功。
人類は勝利を収めたかに見えたものの、ジョンとカイルの部隊が突撃したときには、自らの敗北を悟ったスカイネットは既に“最終兵器”を作動しいていた。
ジョンの母親であるサラ・コナー(エミリア・クラーク)を抹殺し、ジョンが産まれなかったことにしようと、タイムマシンを使ってターミネーターを過去に送り込んでいたのである。
ターミネーターは1984年に送り込まれていることが判明。
サラ抹殺を阻止するため、カイルはタイムマシンで過去に向かうことを志願、タイムマシンが起動してカイルが時を超えようとしたその瞬間、ジョンが何者かに襲われる姿が彼の目に映る…


1985年、日本で公開された「ターミネーター」を観たときの衝撃は凄かった。
サラ・コナーを抹殺することだけをプログラミングされ、現代の攻撃では容易に破壊することのできな超合金で作られたボディを持つ、未来から送り込まれてきた殺人マシーンが、どこまでもサラを追いかけてくるスリルに、手に汗握りながら瞬きも忘れてスクリーンを凝視し続けたもの。
世界的なヒットとなった「ターミネーター」は続編が作られて人気シリーズとなり、無機質な殺人マシンを演じたアーノルド・シュワルツェネッガーが一躍スターダムにのし上がるとともにターミネーターも“善玉”となった。

第一作の「ターミネーター」から30年。
アンドロイドという機械であるはずのターミネーターが歳をとるという設定が作られ、12年ぶりにアーノルド・シュワルツェネッガーが戻ってくることになった「ターミネーター:新起動/ジェニシス」。
スカイネットが“切り札”として送り込んだターミネーターT800は、昨今のVFX技術を駆使して往年の姿(若かりし頃のアーノルド・シュワルツェネッガー)が復元されて現れるが、その日を待っていたという“現在の”アーノルド・シュワルツェネッガー演じるT800に倒される。
その瞬間、30年前に受けた衝撃の思い出と恐怖の殺人マシンに対するノスタルジーは雲散霧消。

エミリア・クラーク演じるサラ・コナーも、リンダ・ハミルトン演じる“初代”より肉感的でセクシーで魅力はアップした(感想には個人差があります)。
しかも登場シーンでいきなり、ピンチに陥ったカイルを助ける戦闘能力を備えた強い女性となっていて、“初代”の初登場時のか弱さは微塵もない。
なんとなればまだ彼女が幼い頃、何の前触れもなく家族ともども未知の相手から襲撃を受けたところを突如現れたT800によって救出され、彼によって育てられたのだから強いのも当然。

更には、人類の救世主たるジョンまでもが予想だにしないシチュエーションでカイルとサラの前に現れるに至っては、これはもう全く新しい物語。
過去の作品に対する思いはすっかり消え去って、物語が正に「新起動」するのである。


人間が作り出し、人類を守るべくプログラミングされているはずのスカイネットが、自我を持ち、人類を駆逐し始める展開は、これだけインターネットが普及し、スマートフォンによって常にネットワークとつながっている状況が生まれ、しかも人工知能がどんどん発達していく今、第一作の「ターミネーター」が公開された頃よりもはるかに信憑性が高くてゾッとする…

往年の人気SFアクションシリーズが新たな命を吹き込まれ、より娯楽度を高めたアトラクションムービーとして「新起動」♪


ターミネーター:新起動/ジェニシス
2015年/アメリカ  監督:アラン・テイラー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、エミリア・クラーク、ジェイソン・クラーク、ジェイ・コートニー、イ・ビョンホン、J・K・シモンズ、マット・スミス、コートニー・B・ヴァンス、マイケル・グラディス、サンドリーヌ・ホルト、オットー・サンチェス