ある日突然、世界中で死者が甦り、生きた人間を襲い始める。
ロンドンでも街は大混乱に陥り、社会生活は崩壊した。
コリン(アラステア・カートン)は、何かから逃げるようにして自宅へと戻ってくる。
腕には大きな傷が口を開いており、痛みに苦しんでいるところへゾンビとなった友人が襲いかかってきた。
必死で撃退したコリンだったが、激しい倦怠感に襲われ、脱力しながら意識を失うと、そのままコリンは死んだ。
…そして甦った。
コリンの傷は、ゾンビに噛まれたものだったのだ。
朦朧としながら、思うように動かない体を引きずって街へと出る。
猛烈に空腹を感じた彼は、気がつくと他のゾンビと一緒になって、生きた人間をかじっていた。
しかしコリンは必死でむさぼり食うことはせず、ある場所へ行きたいという衝動に駆られて歩き出す…
初めてゾンビに出会ったのは、いまやゾンビ映画の古典とも言えるジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」だった。
以来、数多くの作品が作られ、そのうちのいくつかを観てきたが、襲いかかるゾンビから主人公はいかにして逃げ切るかがゾンビ映画の基本だった。
テーマはゾンビでも主人公は人間であり、人間の目線で描かれるのが当たり前であった。
ところが!
そんなゾンビ映画作品群の中にあって、「コリン」は完全にゾンビ目線で描かれている画期的な作品だ。
ゾンビが主人公の作品としては「ゾンビ・ストリッパーズ」も挙げられるが、それでもカメラの目線はゾンビのストリッパーを取り囲む生きた人間のものだった。
本作は、主人公のコリンがゾンビとなり、街中をひたすらさまよい歩く姿を追う。
それはまるで、「ゾンビになった人間を追ったドキュメンタリー」を見ているようでもある。
だからコリンのセリフはほとんど無く、声と言えば叫び声や唸り声ばかりで、外界の音が常に聞こえている。
それが返って映画に“静寂”な雰囲気を漂わせ、人間ではなくなったコリンの目で見た世界が際立たせる。
だんだんと自分がゾンビになったような気がしてくるのである。
そしてコリンが目的を果たしたとき、その姿に切なさが込み上げて胸を打つ。
と同時に、ゾンビ映画でそんな気持ちになることに驚かされる。
驚くのはそのストーリー展開だけではない。
これで製作費がたったの5ポンド(約6,000円)だというのだからビックリだ!
そんな低予算であっても、ゾンビ映画の基本をきちんと踏まえ、「死霊のはらわた」や「死霊のえじき」を彷彿とさせる残酷シーンもしっかり描ききるマーク・プライス監督は天才だ。
既にハリウッドからオファーが殺到しているというのもうなずける。
自分がゾンビになったときの予習ができる(そんな予習が必要かどうかはともかくとして)「体験型ゾンビ映画」。
画期的な新機軸作品!
「コリン」
2008年/イギリス 監督:マーク・プライス
出演:アラステア・カートン、デイジー・エイトケンス、リアンヌ・ペイメン
ロンドンでも街は大混乱に陥り、社会生活は崩壊した。
コリン(アラステア・カートン)は、何かから逃げるようにして自宅へと戻ってくる。
腕には大きな傷が口を開いており、痛みに苦しんでいるところへゾンビとなった友人が襲いかかってきた。
必死で撃退したコリンだったが、激しい倦怠感に襲われ、脱力しながら意識を失うと、そのままコリンは死んだ。
…そして甦った。
コリンの傷は、ゾンビに噛まれたものだったのだ。
朦朧としながら、思うように動かない体を引きずって街へと出る。
猛烈に空腹を感じた彼は、気がつくと他のゾンビと一緒になって、生きた人間をかじっていた。
しかしコリンは必死でむさぼり食うことはせず、ある場所へ行きたいという衝動に駆られて歩き出す…
初めてゾンビに出会ったのは、いまやゾンビ映画の古典とも言えるジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」だった。
以来、数多くの作品が作られ、そのうちのいくつかを観てきたが、襲いかかるゾンビから主人公はいかにして逃げ切るかがゾンビ映画の基本だった。
テーマはゾンビでも主人公は人間であり、人間の目線で描かれるのが当たり前であった。
ところが!
そんなゾンビ映画作品群の中にあって、「コリン」は完全にゾンビ目線で描かれている画期的な作品だ。
ゾンビが主人公の作品としては「ゾンビ・ストリッパーズ」も挙げられるが、それでもカメラの目線はゾンビのストリッパーを取り囲む生きた人間のものだった。
本作は、主人公のコリンがゾンビとなり、街中をひたすらさまよい歩く姿を追う。
それはまるで、「ゾンビになった人間を追ったドキュメンタリー」を見ているようでもある。
だからコリンのセリフはほとんど無く、声と言えば叫び声や唸り声ばかりで、外界の音が常に聞こえている。
それが返って映画に“静寂”な雰囲気を漂わせ、人間ではなくなったコリンの目で見た世界が際立たせる。
だんだんと自分がゾンビになったような気がしてくるのである。
そしてコリンが目的を果たしたとき、その姿に切なさが込み上げて胸を打つ。
と同時に、ゾンビ映画でそんな気持ちになることに驚かされる。
驚くのはそのストーリー展開だけではない。
これで製作費がたったの5ポンド(約6,000円)だというのだからビックリだ!
そんな低予算であっても、ゾンビ映画の基本をきちんと踏まえ、「死霊のはらわた」や「死霊のえじき」を彷彿とさせる残酷シーンもしっかり描ききるマーク・プライス監督は天才だ。
既にハリウッドからオファーが殺到しているというのもうなずける。
自分がゾンビになったときの予習ができる(そんな予習が必要かどうかはともかくとして)「体験型ゾンビ映画」。
画期的な新機軸作品!
「コリン」
2008年/イギリス 監督:マーク・プライス
出演:アラステア・カートン、デイジー・エイトケンス、リアンヌ・ペイメン