昨日、マイケル・ジャクソンの映画を見に行った。終了一日前だったためか、満員だった。
まさにエンターテイメントの塊だった。
あれがリハーサルなら、本番は目映いばかりの舞台になったに違いない。
プロの中のプロ。
実際の舞台を、いままで一度も見なかったことを後悔するほどだった。
昔、30年も前だが、ディズニーワールドに家族で行ったとき、
一人の黒人が近づいてきて、娘の頭を撫でた。びっくりしたが、ちょっと離れたところに2~3人のおおがらな黒人もいた。
辺りはお客も少なく、僕ら家族だけが、だだっ広いところを歩いていたような記憶がある。
娘はまだ3~4歳くらいだったか。
日本人のまっすぐ伸びた黒髪は、外国人には、特に黒人には、おそらく非常に美しく見えるのだろう、そう解釈した。
それが見覚えのあるマイケルらしいとはすぐに分かったが、、そのときは、サインを貰おう、写真を撮ろうなどとはまったく思わなかった。
悔やまれる。
奇行ばかりが、ニュースになるが、マイケルはごく普通の常識的な人間だったようだ。それは、リハーサルの仲間たちにマイケルが話をするシーンが、映画に出てくるが、
観客は現実を忘れるために劇場に足を運ぶ。それを提供するために我々の才能を出し切ろうと、鼓舞している、ことからも想像がつく。
おそらく、これがマイケルの全てのような気がする。
だから、奇行や、アイ・ラブ・ユーの多発、自然を守ろうなどの主張は、特別な思想があるわけではなく、おそらくは、サービス精神の表れだろうと思う。
僕の左隣の席に、同じような年代(50代)の男性が座った。
言い方は悪いが、ちょっとくたびれた格好だった。その男性の左に、これまた同じような女性が座った。
「あなたは、何回目ですか?僕はこれで3回目です。ものすごい迫力ですよ。バンバン響いて、凄いです」
といきなり隣の女性に話しかけた。女性は迷惑そうな顔をしたが、
「初めてです」
と応えた。男性は、
「僕は、今夜の分も、もう予約して買いました」
と話を続けた。女性は、鬱陶しく感じたのだろうか、
「すいません、席をはずしますので荷物をみてくれませんか」
と言い残して、席をたってしまった。すると、今度は、
「おとうさん、マイケルのファンですか?」
と僕に話しかけてきた。お父さんとは、言われたくはなかったが、
「いいえ」
と、応じると、
「あ~~、そうですか。じゃあ、なんとなくですか?」
と言って黙ってしまった。
隣の女性はまだ席には戻らない。
映画が始まると、場内はし~~んと静まりかえる。
ところが、今夜の分まで予約したとなりの男性は、いびきをかいて、寝てしまった。
映画が終わって、皆席を立つ。
寝ていた男性も席を立つが、そのまま座っている若い女性二人がいた。
左側に出たので、男性は僕より一つ前を歩く。ところが、いきなり戻ろうとする。
僕はそのままやりすごして前に進むと、男性は若い女性たちに、
近づいて話しかけていた。
なんと、話しかけていたのか、知らないが、多分、
「ねえ~~、凄かったよね、マイケル」
「今夜の分まで、予約したんだよ」