台北行き日航機座席で出火 焦げた簡易ライター見つかる
(2009年6月8日(月)10:13 共同通信)
関西空港を6日午後に離陸し運航中の台北行き日航653便ボーイング767(乗客乗員44人)で客室の座席の一部が燃え、台北空港に緊急着陸していたことが8日、分かった。着陸後に座席を取り外したところ、背もたれとひじ掛けのすき間から焦げた簡易ライターが見つかった。機内は全面禁煙で、出火は異例。日航は「国土交通省には届けたが、けが人もなく大したことではない」として公表しなかった。
新聞などでは「大したことではない」として公表しなかったことが問題にされているようですが、本件は違法行為の隠蔽でもなく、また注意喚起をしないと同じ原因で重篤な問題を生じる危険があるとも思えないので「公表しない」という判断自体はさほどおかしくはないと思います。
- メールやブログが普及したためかマスコミにも情報が入りやすい世の中になっている
- 「重要な事実を公表しない」という企業批判の切り口が流行っている
- 「重要性」は報道する側の主観で決まる
- マスコミの「特ダネ」指向
ということが合わさって、「入手した情報が未公表であれば、それだけで手っ取り早くニュースになる」というような状況が出てきているように思います。
確かに内部通報制度やマスコミ等への外部通報は企業の不正に対して一定の抑止効果はあると思いますが、マスコミが安直なニュース作りに飛びつくことで企業を神経過敏にさせてもあまりいいことはないと思います。
最近適時開示の中に「なんでこんなしょうもないことを」というのが散見されるのも神経過敏の副作用なのではないかと。
上の事故も、そもそも機内持ち込みができないはずのライターがどうやって持ち込まれたかの方が問題で、事故を中途半端な状態で公表するより、空港の手荷物検査体制や機内清掃の時の確認などに不備がないかをまず確認すべきではないでしょうか。
その意味では日航のコメントも脇が甘いというか周到さに欠けるのは確かです。
一方、記事も「公表しなかったことを暴いたぞ」で終わってしまい突っ込みが足りないので、まあ、どっちもどっちとは言えます。