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一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

精密さと冗長性

2014-01-28 | よしなしごと

週末にゴルフに行って18ホール回り終えたところで、電動カートが動かなくなった。

ピピピという警報音と、カートの止まっているのぼり傾斜から考えると、この傾斜を登りきるバッテリーの残量がないようだ。

しかし、カートのバッテリー表示はまだ5分の3ほど残っている。

モーターのことは素人だが、バッテリー表示は電圧をモニタリングしているものの、モーターを動かす初期トルクの電力量が足りない(またはその逆)なのではなかろうか。


結局無線で連絡して助けを呼んだものの、係員の見立てもバッテリー不足なので、「後ろから押してください」ということで、最後のひと運動をすることになった。
このカート、それだけにとどまらず、クラブハウス直前の駅などにある車いす用のスロープ程度での傾斜でも止まり、もう一度押す羽目になった。


一方で、内燃機関は燃料の残量でおおよその走行可能距離はわかるし、燃料がある以上、普通の坂道で止まるというようなことはない。
特に最近の自動車は「走行可能距離」を表示してくれたりする

ゴルフ場のカートは電気自動車(EV)に比べれば雑な作りをしているかもしれないが、バッテリー残量表示と残り走行可能距離、またはバッテリーor電力不足の際のEVの挙動(上のカートのようにサドンデスになるのか)が実感としてつかめないうちは、まだまだEVは怖いな、と思った。

電力・電圧は正確にモニタリングできるからといってEVであまり正確な表示をしても、ドライバーがその意味を理解できないのであれば、ガソリン自動車の、「警告灯が付いたらまあ、あと50kmかな」くらいのいい加減さというか冗長性はまだまだ捨てがたいと思った次第。

 

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2020年の余波

2013-12-08 | よしなしごと

2020年の東京オリンピック・パラリンピックについて、最近「オリパラ」と略して言う人が増えているのはいまいちだと思うのは自分だけだろうかと思う今日この頃、ブログはさぼり気味ですがなんとか生き延びております。

そのオリンピック・パラリンピックですが、開催が決定する一方で建築工事の人手不足や資材不足が懸念されていますが、それより一足先にライブ会場や運動競技場の不足問題も生じているようです。

というのも、会場整備のために国立競技場は建て替えるし、東京体育館や武道館なども改修工事をするので、そのスケジュールが固まるまで先の予約は受け付けていないそうです。
なので大規模なライブの会場の手当てが難しいのだとか。

これからも意外なところでオリパラバブル(あ、言っちゃったw)が出てくるのでしょう。

 

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「イメージ」と「ブランド」の違い

2013-11-11 | よしなしごと

最近の食品偽装騒動では、はからずも バナメイエビクルマエビ の違いとか、イセエビと「科」は同じだが「属」が違うアフリカミナミイセエビ など魚介類の品種にやたら詳しくなってしまった。

こういう偽装や無知に基づく誤表示がまかり通るのは、 「クルマエビ」や「イセエビ」という品種そのものについては、 その良さをPRしたり偽物から守ったりと積極的に行動するメリットがなく、 「ただ乗り」をしてしまう、いわば「共有地の悲劇」の一形態のように思う。

たとえば「関サバ」「関アジ」であれば佐賀関漁協が積極的にPRし、商標登録をして他人のただ乗り を許さず、ブランドになっている。
そのため同じ豊後水道で獲れても愛媛県側で水揚げされたものよりも 高く売れている。
「大間のまぐろ」もそうで、これに対しては同じ海域で漁をする北海道の戸井では、 処理を迅速にして品質を保つことで「戸井のまぐろ」として対抗している。

ところが「クルマエビ」や「イセエビ」という名称は品種そのものであり、獲れる漁場が限定されているわけでもないのでどこかの漁港の特産というわけではない。
しかも品種の名前だけでは商標登録もできない なので、漁業関係者や食品業界にとっても、コストをかけて積極的に偽物を排除する動機づけが働かない。

これは「和牛」などについても同様。 (もっとも牛肉は狂牛病騒動以降トレーサビリティが徹底しているので、もっぱらレストラン側の問題 ではあるが)

しかし、今回のようにいい加減な表示が横行しているということが明らかになると、市場全体の信頼が損なわれる「レモン市場」問題が起きる。 

ブランドや登録商標になっていれば、ただ乗りを排除するために努力する当事者がいるのだが、「何となくいいイメージを持っているもの」のイメージにただ乗り-ただ乗りだけなら問題ないのだが、それをするためにウソを つくこと-を排除するには、供給者側の自主規制や相互監視くらいしか方法がない。

法律的にも景品表示法の優良誤認とか、ひどいものなら刑法の詐欺罪に訴えるしかない。


行政にどうにかしろ、といっても、そんなことに税金を投入するのは無駄であるし、 行政は食品の安全や衛生面を責任を持って見るのが本来の仕事で、 表示については 「銀ムツ(メロ)」 のように広く誤解が生じるようなものを是正すればいいだと思う。


なのでわれわれ消費者としても、「そういうものだ」という前提で、自分が食べるうえで 味と値段が納得するものであればいい、 というくらいのスタンスで臨めばいいと思う。

「素人のキャバクラ嬢」という触れ込みに対するスタンスみたいなもので、 承知で騙されることを楽しむのならいいのだけど、そもそも形容矛盾のイメージに一方的に期待して、 挙句の果てにむかっ腹を立てるのは、みっともないだけでなく、精神衛生上もよろしくない。

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終戦

2013-10-14 | よしなしごと
レギュラーシーズン通りの試合をして、レギュラーシーズン通りの負け方をした。


得点力不足とリリーフ陣の弱体は明らかだったにもかかわらず、若手の登用もせずに、不振のベテラン高給取りを使い続けた監督・コーチ陣と、有効な補強をしなかったGMという見事な連携の結果。


会長と社長の役割分担がうまくいっておらず、仕事はできないがベテランの高給取りが管理職を占めている会社のようだった。


文句も含めて今季は終了。
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大丈夫か、東急リバブル?

2013-09-14 | よしなしごと
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2020年

2013-09-08 | よしなしごと
またまたご無沙汰してます。
(ネタはあるものの、言い訳は無用ですな)


2020年オリンピック開催、7年後はずいぶん先のことのように思えるけどけっこうすぐ来てしまいそうである。


東京都知事の任期は4年で猪瀬知事は2012年12月に知事になったので、このままいけば「オリンピック知事」は次の知事選で決まることになる。
(現在66歳の猪瀬知事はさすがにあと7年はやらないだろうから、「オリンピックを招致した男」として任期半ばで辞任して2018年あたりに知事選を持ってくるという可能性はないだろうか)

一方でインフラ系などはあまり時間がない。
そもそも現在工事中の外環道の東名-関越間の開通予定自体が2020年なので、ここから新しい道路を作るとか老朽化した首都高を作り替えるとなると時間がない。
1964年よりも東京の開発は進んでおり、当時のように突貫工事は難しいだろう。
それに、建設業自体人手不足は深刻で、それは東日本大震災の影響だけでなく、若年の新規就業者が減少している中で(参照)今後7年間にできることは限られそうだ。


7年で変えようと思えば変えられそうだけど、というのが役所の縦割り。
オリンピックは文部科学省、パラリンピックは厚生労働省の所管なので、パラリンピックの日本代表でも文科省所管の国立トレセンは簡単には使えないらしい。
これくらいはどうにかならないものだろうか。



ちなみにこのブログ、細々とだが9年も続いてきたが、最近低迷気味だしあと7年続くか?
(ブログ自体が別のメディアにとってかわられてるかもしれないし)


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逆プラセボ

2013-07-15 | よしなしごと

ヘルスメーター(体重・体組成計)の液晶表示が出なくなったので修理に出した。

保証期間外だったが基盤交換を無料でしてくれた。

さすが○ムロン。

さっそく乗ってみたのだが、以前と体重、体脂肪率、骨格筋率、内臓脂肪レベルが同じにもかかわらず、体年齢が1歳ほど高く表示されるようになった。

1歳とはいえ、ちょっとへこむ

身長などの設定データは同じはずなのだが、この数年で基準が変わったのか?
それとも、前の基盤が不良品だったのか?


おだてられて伸びるタイプとしては、前の方がよかったのだが。


(交換がなければ、比較することもなかったわけだけど)

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統一球考

2013-06-22 | よしなしごと

統一球の騒動では、「品質管理のできないミズノから買わずに、メジャーリーグに供給しているメーカーから同じものを買えばいいのではないか」という議論はなぜか出てきていないようだ。

それこそ本当に「統一球」になるし、WBCにしろオリンピックにしろ、違和感なくとけこめるのではないか。

1980年代に日米貿易摩擦で米国製金属バットへの関税などが問題になったことがある。
TPP加盟を目指す中でもいい話題作りになるのではないか。

こういう話をすると、日本の野球用品メーカーを守れ、とか日本の野球文化を守れ、とかいう議論が出そうである。

なんだかTPPと農業をめぐる議論に似ている。

食糧安全保障や食の安全を守ることイコール農協や農家を無条件で守ることではないのと同様、統一球の問題において守るべきはプロ野球のルールの透明性と公正な運用の担保であって、用具メーカーではない。
国産用具メーカーが公正さを確保できないのであれば、国産メーカーであるということは、保護される理由はない。

日本の産業が国際競争力を取り戻し、企業が世界で戦えるようになるための象徴として、統一球の調達も世界に開くべきではないか。

そんなことを、読売新聞あたりが書かないだろうか。

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統一球

2013-06-21 | よしなしごと

ごぶさたしてますが、生きてます。


プロ野球の統一球について、協会がボールの反発力を選手・球団に伝えないで変えていたことが問題になっている。
協会というのが何の目的のためにあるのか、歴代有識者が就任しているコミッショナーという存在については改めて議論したほうがいいと思う。

ただ、そもそも一番の問題は、「統一球」といいながら規定の反発係数を下回るボールを提供していたミズノなのではないか。
それではそもそも「統一球」になっていない。

野球用品の老舗としていかがなものか。

統一球 言い訳せず世間の反発を抑えたミズノの謝罪力は高い
統一球で「中国産」リスクにはまったミズノ 反発力数値が下ブレ

という意見もあるが、協会との力関係云々の前にメーカーとしての能力が問われてしかるべきだし、中国で作ろうがどこで作ろうが、自社製品として出荷するのに検品が適正に行われていなかったことには変わりがない。


得意と言われている「日本のモノづくり」は大丈夫なのだろうか?



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保育所認可制度の「改革」(?)

2013-05-06 | よしなしごと

首相の号令で「右向け右」で改革が進んでいますという進軍ラッパもいいが、実際に機能するかをきちんとモニタリングしたほうがいいと思う。

(以下引用部下線は筆者)

子育て支援拡充へ新制度、政府の会議が今夏に指針
(2013/4/26 日本経済新聞)  

政府は26日、2015年度に施行する新たな子育て支援制度の細部を詰める「子ども・子育て会議」の初会合を開いた。(中略)  

新制度の実施主体となるのは市町村だ。都市部や過疎地などでそれぞれ異なるニーズに合わせ、どのような子育て支援を提供するかを5カ年の事業計画にまとめる。この計画作りを手助けするのが、政府の子ども・子育て支援会議の最初の役割だ。計画の各項目の作り方や手続きなどを夏までに指針として示し、市町村に参考にしてもらう。(以下略)

認可保育所:月内にも株式会社の参入全面解禁へ 厚労省
(2013年5月2日 毎日新聞)

厚生労働省は、約2万5000人の保育所待機児童の解消に向け、認可保育所への株式会社の参入を月内にも全面解禁する方針を固めた。当初は2015年4月から解禁する予定だったが、安倍晋三首相が女性の就労支援を成長戦略の中核に据えたことを踏まえ、大幅に前倒しする。  

厚労省が2日の規制改革会議で表明し、認可権限を持つ都道府県や政令指定都市、中核市に通知する。  

株式会社は児童福祉法上は今でも認可保育所に参入できる。しかし、企業の経営状況に保育所の存廃が左右されかねないことや、既存の社会福祉法人への配慮などから、株式会社の参入を認可しない自治体も多く、株式会社が運営する認可保育所は12年4月現在、376カ所と全体の2%にも満たない。

15年4月の子ども・子育て関連3法施行後は、自治体は株式会社であることを理由に認可を拒めなくなるが、これを前倒しする。

それはそれで早く進めてもらえばいいのだが、厚生労働省が規制改革会議に提出した資料

待機児童の速やかな解消に向けて
(平成25年3月21日 厚生労働省雇用均等・児童家庭局)

の参考資料p3(全体の14枚目)をみるとこのようにある。

 認可制度の改善等により保育需要の増大に対応
◇ 認可制度の見直しにより、大都市部の保育の需要増大に対応
・欠格事由に該当したり、需給調整が必要な場合を除き、質を満たしたものを「認可するものとする」(認可の恣意性の排除)ことで、大都市部の保育需要に機動的な対応が可能。

株式会社であることを理由に認可を拒むことはできないが、需給調整を理由に認可を拒むことはできることになる。

そうすると、市町村・東京都の特別区においては、新規参入による競争激化を懸念する既存の社会福祉法人が市議・区議経由で圧力をかける可能性は否定できない。

またそれ以上に問題だと思うのは、認可・需給調整含めて市町村・区単位になっていること。
特に東京都では、区境いに住んでいると居住地の住所と最寄駅が違う区にあることは往々にしてある。(たとえばマンション名では「吉祥寺」とつけられているのが多い練馬区立野町とか、東横線の駅が近い世田谷区下馬など。)
それに、通勤の問題がクリアされれば母親の勤め先に近い場所での保育所ニーズもあると思う。

保育所への補助が基礎自治体単位だから需給調整も基礎自治体単位でやりましょう、というのでは、潜在的なニーズを掘り起こすことができないのではないか。
「家の近く、しかも同じ市区町村内で働く」という人が少数である以上は、保育所も越境通所を前提に考えるべきで、越境児童については居住地の自治体が補助金予算を融通するなどの方策をとるべきではないか。

そこに至る前でも、自費負担をすれば認可保育所に入ることができる、という仕組みをつくれば、需要はより顕在化し「需給調整」もより現実的なものになるのではないか?
「金持ち優遇」という批判があるかもしれないが、そういうニーズがあるのはいわゆる富裕層ではなく、育児しながら就業を続けたいというワーキングマザーだと思うので、彼女たちが自腹を切ってまで通所したいというのであれば、それを否定する理由はないように思う(本来は自腹を切らずに通所できるのが一番なのだが)。

規制「改革」というなら、制度の枠組みから見直してみるべきではないだろうか。

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酒蔵の社長の話

2013-03-18 | よしなしごと
先日福島の酒蔵の社長の話を聞く機会があったので備忘。


TPPについて

米国にも輸出しているが、向こうでは「SAKE」は日本の米で日本の酒蔵で作ったものとして受け入れられており、アメリカで作られている酒は「Rice Wine」として料理用に使われている。
なので、日本酒は米国産がいくら安くなっても国産の米を使うことになるだろう。

米国では日本酒は高級品として受け入れられているので、輸送も定温コンテナで品質管理がされている一方で、アジアへの輸出はコストの問題もあり、通常のコンテナ船で運んでいるため、輸送途中で品質が劣化しやすい。
たとえばタイでは104%の関税がかかっているが、TPPでこれが撤廃またはかなり引き下げられれば、輸出価格は下げずにその分を定温コンテナなどの品質管理にあてれば、もっと輸出は増えると思う。
(地元ではTPP賛成などとは言えないが)



放射能問題、農政について

食品の放射性物質安全基準は100ベクレル/kg以下。
しかし酒米は10ベクレル/kg以下のものしか使わない。なぜなら酒造りには精米をして芯の部分しか使わないため、精米後の酒米は10ベクレル/kgだったとしても、米ぬかの部分は(外側なので?)80ベクレル/kgくらいになってしまうので、それ以上だと精米所が引きうけてくれない。

低価格帯向けの商品に使う米は福島県沿岸部から仕入れていたが、ここが立ち入り規制区域になり供給がストップしてしまった。
県中部の農家から買おうと思ったが、戸別所得補償制度ではコシヒカリのような高価格で売れるブランド米がとれないところは、安い米を作って米の直接支払交付金(15,000円/10a)を受けるより、米粉用米や飼料用米を作って水田活用直接支払交付金(80,000円/10a)の交付を受けたほうが手取りが多くなるので(参照)、食用米を作ってくれない。
そのため、家畜は新米を食べ、酒は古米を使うということになっている。
また、備蓄した古米を供給してくれるよう行政にかけあったが、「備蓄米は非常時にしか出せない」と言われた。今以上の非常時があるのだろうか?

一方で行政からは「基準値以下なので20ベクレル/kgの米を使ってくれないか」と言われたりするので、馬鹿も休み休み言ってほしい。



「国酒」の色紙

歴代内閣総理大臣は「国酒」と書いた色紙を揮毫して、酒蔵などはそのレプリカを飾るところが多いが((参照)、菅直人の色紙は東北地方では皆断ったので、今持っていればプレミアムがつくかもしれない。

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文化庁長官

2013-02-17 | よしなしごと

 


昨日の『股間若衆』に昭和20年9月15日に文部省が発表した「新日本建設の教育方針」が引用されている。

文部省デハ、戦争終結ニ関スル大詔ノ御趣旨ヲ奉体シテ、世界平和ト人類ノ福祉ニ貢献スベキ新日本ノ建設ニ資スルガ為メ、従来ノ戦争遂行ノ要請ニ基ク教育施策ヲ一掃シテ、文化国家、道義国家建設ノ根基ニ培フ文教諸施策ノ実行ニ努メテヰル

しかしこれは

・・・斯ル決戦下ト雖モ、皇国芸術文化ヲ通ジ、特ニ美術ニ依ル一般国民ノ士気昂揚ヲ図リ、国民ノ戦時生活を明朗闊達ナラシムル・・・
(文部省戦時特別美術展覧会ニ就テ)

という「文化皇国」の上から張った「文化国家」のレッテルに過ぎない、と同書でも切って捨てられている。


それから70年近く経っても、官僚の頭の構造は変わらないようだ。
むしろ、上のプレゼンテーションは「文化皇国」に近い。

「クールジャパン」などと言っているが、日本が予算に縛られた公立の美術館中心の「文化行政」をやっているうちに、現代アートにおいては米国だけでなく、シンガポールや香港に情報発信やマーケットとしてアジアの中心の地位を固められつつあると聞く。

文化庁は文化は高尚だから「クールジャパン」などの商業主義は経産省に任せればいい、と言いそうだが、美術館がファンドレイジングして企画や収集品をするしくみが定着しない中で、乏しい予算の枠内でやりくりするために学芸員を契約社員にしてしまうというようなことも起きているとも聞く。
文化庁が握っている文化振興予算も元は税金であり、プレゼンのタイトルにある「一般の人」のお金が元で芸術家や芸術関係者の生活が成り立っているということを理解していないのではないか。


「叶わなくても一途に努力することの素晴らしさ」を説くのでなく、芸術家や関係者や一般の人の夢が叶うようなインフラを整備するのが役所の仕事だと思うのだが。

 

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制度の慣性

2013-01-03 | よしなしごと

元旦のNHK・ETVで「ニッポンのジレンマ」を途中から見ました。

番組の最後のほうで、猪子寿之氏の日本は規制が多すぎるしほとんどの規制は不要だという発言がありました。(もっとも他の人があまりついてこなくてかみ合った議論にならず、すぐ次の話題に移ってしまったのですが...)

こういう意見を聞くと、既存の制度の中で泳いできた時間が長いオジサンとしては、それぞれの規制には成立してきた理由があり、恩恵を受けている人々もいるし、なにより既存の制度を廃止するには役所の抵抗が大きいという現実を無視するわけにはいかない、という現実が頭をよぎってしまいます。

つまり制度のほうは現状を維持しようという慣性が働くわけです。

これに対して「規制はいけない」と勢いだけでガラポンしようとしても、(先の民主党政権のように)出来るところをちょっと変える中途半端なものだったり、制度は変えずに結果新たなバラマキに終わってしまうことにもなりりかねません。

一方で、今ある多くの制度は、実は制度を作ったときと前提条件が大きく変わっているものがけっこうあります。
そこを指摘することは、制度から恩恵を受けている人々の存在を否定することにもなりうるので、政治的な抵抗はあるので力がいると思いますが、現象面を指摘するよりも前提が変わっていると指摘するほうが、根こそぎ変えるには結局は近道のように思います。


年末に高齢者雇用安定法による65歳までの雇用義務付けはよくない、という議論をしてました。
そもそもの問題は長期間の勤務のインセンティブをもたせるような年功的+退職金に依存した賃金制度で、これ自体が高度経済成長期に企業の成長を前提に若年者の大量採用を可能にするための「後払い」システムであり、高度成長はもとより企業の永続自体が所与の前提にならない現在においては、そこから見直すべきではないか、高齢者雇用のために(50代はともかく)40代の給与を下げるというNTTは本末転倒もはなはだしい。逆に、65歳まで働くのを前提とするなら、45~50歳くらいを定年にして、第二の人生の期間を失敗をしても出なおせるくらいとったほうがいいのではないか、というのが私の考えです。

家に帰って年末年始に『日本の雇用と労働法』を読み直しました。
現在の年功型の賃金体系の形成過程については

  • 1946年に日本電気産業労働組合協議会が勝ち取った生計費実態調査に基づいて本人の年齢・扶養家族数に応じて生活保証給を定め、それに能力給や勤続給を加味した「電産型賃金体系」が戦後賃金体系の原型になった。
  • 一方1950年代から60年代にかけて使用者側は同一労働同一賃金原則に基づく職務給の賃金体系を主張してきた。
  • ところが1960年代後半になると、急速な技術革新に対応するための大規模な配置転換が必要になり、労働側は失業を回避するために配置転換を受け入れるとともに労働条件の維持を要求し、経営の現場もこれを受け入れるとともに、仕事に着目するする職務給ではこれに対応出来ないためヒトに着目する職務給へと転換することとなった。日経連も1969年の報告書『能力主義管理-その理論と実践』で方針転換を明確にした。
  • その結果これ以後の日本の典型的な賃金制度は、個々の労働者の職務遂行能力を評価した資格(職能資格)に基づいて賃金を決定する職能給となり、同時に職務の限定なき雇用契約、という在り方が確立した。

退職金と定年制については

  • 終戦直後の労働協約では「従業員の採用・解雇は組合の承諾なく行なわないこと」という規定が多く盛り込まれていた。一方戦時生産体制で膨れ上がった過剰雇用の解消のため使用者側は人員整理のための定年制度の導入を求め、同時に雇用保障という意味で定年制は労働側からの要求にも合致した。
  • 同時にこの時期はインフレ下で厚生年金制度が機能を停止する中で、労働者が企業に退職後の生活保証を要求し、その結果退職金制度が急速に広まった。
  • 定年制と退職金制度は、解雇をめぐる争議が頻発する中で過剰人員を整理解雇という形をとらずに退職させるという意味で使用者側にもプラスであり、退職金は長期勤続へのインセンティブであるとともに余剰人員の排出の手段でもある(これは早期退職制度における割り増しなどに表れている)という二重性格を持つことになった。
  • 1954年にインフレで機能停止した厚生年金制度を再建するために厚生年金法が改正され、男子の支給開始年齢が55歳から60歳に1974年までに段階的に引き上げられた。
  • これにより労働側から定年延長要求が表れ、大企業から延長されていくなかで1986年に高齢者雇用安定法が成立し、60歳以上定年の努力義務が規定され、1994年改正により60歳未満定年が禁止された。

というのが実際の経緯のようです。

「後払い」というのは誤解だったようですが、現在の雇用慣行がインフレと経済成長を前提として辻褄の合うように形成されてきたことは間違いがないようです。

また、『がん保険のカラクリ』(レビューはこれから)によると、国民健康保険に国庫の補助を制度化(1955年)するなどで1961年にようやく国民皆保険・国民皆年金が実現したのち、高度経済成長を受けて1973年に医療保険・年金制度の大幅な給付改善が行なわれました。
70歳以上の医療負担無料化、健康保険の家族給付率7割、3万円超の高額医療費制度(いずれも当時)が導入されたのがこのときです。
さらに1973年秋にオイルショックを契機としたインフレが起き、診療報酬・年金給付額の大幅引き上げが行なわれました。

このブログでは何回か触れましたが、実は日本の合計特殊出生率は戦後一貫して下降し、既に1950年代後半には2.0を割り込んでいます。
しかし1970年代の第二次ベビーブームなどがあり出生数は上昇傾向にあり、また70年代のインフレ対応が優先課題であったため、高度成長の終焉と少子・高齢化とによる長期的な成長率の低下や財政の逼迫というのは念頭に置かれていなかったのかもしれません(または知っていて目をつぶっていたか?)。




一方、今回の年金支給開始の65歳までの延長は、少子高齢化による財政問題に起因します。
本来それへの対策としてはインフレ・高度経済成長期モデルの制度自体を見直すことであって、デフレ・不況下の企業に余剰人員の雇用を義務付けることではないと思います。
そして、もともと経営規模が小さく業績の変動も大きい(そしてだからこそ)人材の流動性も高い中小企業にまで雇用を義務付けるのは、経済の活力を損なう以外の何物でもないと思います。

逆に若年層の雇用を活性化させるとともに、中高年層の雇用の流動化をはかって経済を活性化させるためにも、定年年齢を引き下げる一方で、経過措置としては上に指摘されているように、退職金の余剰人員排出機能を働かせて割増退職制度を充実させるなどの対策をとったほうがいいのではないでしょうか。


などということを年明け早々考えてました。


そうなったら、またそうはならなくても65歳までの自分自身はどうあるべきか、制度や自分の周りの慣性をいかに客観視できるかというのが、新年のテーマとなりそうです。



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あけましておめでとうございます

2013-01-01 | よしなしごと

巳年といえばこれでしょうw


(2まわり前の巳年の番組のようです)



今年も地味に更新していきますので、気が向いたらお寄りくださいませ。

 

 

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今年もお世話になりました

2012-12-30 | よしなしごと

今年も拙ブログにお越しいただきありがとうございました。


今年は仕事が変わったことに伴い生活ペースも変わったため、更新も滞りがちになってしまいました。(言い訳)

エントリも本のレビューの割合が多かったのは、日常で拾った面白いが生だとちょっと、という話をブログネタに加工する知恵と時間と集中力が足りなかったのも一つの原因かと思います。(またまた言い訳+反省)
まとまった文章を書くのが億劫になったのはTwitterの影響もあるのかもしれません(または単に飲みすぎw)

来年はもう少し立ち止まって考える機会を作ったほうがいいかなと思ってます。


一方でgoo事務局にブログを止められるという稀有な経験もさせていただきました。
気がつくのが遅れたのは間抜けでしたけどが、復旧して無事に年末を迎えることができました。
(機会があればいつか御礼をしようと心の片隅で考えていますw)



来年が皆様にとってよりよい年でありますように!

 

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