一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

文化庁長官

2013-02-17 | よしなしごと

 


昨日の『股間若衆』に昭和20年9月15日に文部省が発表した「新日本建設の教育方針」が引用されている。

文部省デハ、戦争終結ニ関スル大詔ノ御趣旨ヲ奉体シテ、世界平和ト人類ノ福祉ニ貢献スベキ新日本ノ建設ニ資スルガ為メ、従来ノ戦争遂行ノ要請ニ基ク教育施策ヲ一掃シテ、文化国家、道義国家建設ノ根基ニ培フ文教諸施策ノ実行ニ努メテヰル

しかしこれは

・・・斯ル決戦下ト雖モ、皇国芸術文化ヲ通ジ、特ニ美術ニ依ル一般国民ノ士気昂揚ヲ図リ、国民ノ戦時生活を明朗闊達ナラシムル・・・
(文部省戦時特別美術展覧会ニ就テ)

という「文化皇国」の上から張った「文化国家」のレッテルに過ぎない、と同書でも切って捨てられている。


それから70年近く経っても、官僚の頭の構造は変わらないようだ。
むしろ、上のプレゼンテーションは「文化皇国」に近い。

「クールジャパン」などと言っているが、日本が予算に縛られた公立の美術館中心の「文化行政」をやっているうちに、現代アートにおいては米国だけでなく、シンガポールや香港に情報発信やマーケットとしてアジアの中心の地位を固められつつあると聞く。

文化庁は文化は高尚だから「クールジャパン」などの商業主義は経産省に任せればいい、と言いそうだが、美術館がファンドレイジングして企画や収集品をするしくみが定着しない中で、乏しい予算の枠内でやりくりするために学芸員を契約社員にしてしまうというようなことも起きているとも聞く。
文化庁が握っている文化振興予算も元は税金であり、プレゼンのタイトルにある「一般の人」のお金が元で芸術家や芸術関係者の生活が成り立っているということを理解していないのではないか。


「叶わなくても一途に努力することの素晴らしさ」を説くのでなく、芸術家や関係者や一般の人の夢が叶うようなインフラを整備するのが役所の仕事だと思うのだが。

 

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