美しい国 からの転載です。今日10月20日は皇后陛下のお誕生日です。むかしは天皇陛下のお誕生日を、天長節と言い、皇后陛下のお誕生日を地久節と言ったのです。これは天長地久という老子のことばから来ていて、天地の悠久に続いていくように御皇室、ひいては日本の国が長く変わらず続いてゆくようにという願いが込められているのだそうです。戦前はこの地久節が、日本では母の日とされてお祝いされていたそうです。これが戦後には廃止されて、アメリカの母の日が輸入されて、現在の5月の第二日曜が母の日となりました。
母の日一つにしても、日本由来のお祝いの日がアメリカ式に取って代わられたのですから、戦後日本は日本由来の文化を多く失い、その失った部分にアメリカ的な文化がすぐにうめてきて、日本はアメリカ化して行きました。文化を失うということは、こんな風にその民族独特のものが別の民族の文化に取って代わられることなんですね。言語も一旦失ったら、ほんとに取り返すのは無理な場合が多いですね。そしてたいていは、民族的にも消滅していきます。血はたしかにどこかに残っているのでしょうが、文化的な民族としての痕跡は少しづつ消えていきます。歴史が続くということは、ほんとに素晴らしいことです。そして日本の国の歴史とは、皇室天皇を中心とした歴史が続くということにほかなりません。
--この1年を振り返ってのご感想は。特に東日本大震災をどう受け止め、被災地でどんなことをお感じになりましたか
「犠牲者の遺族、被災者の一人一人が、どんなに深い悲しみを負い、多くを忍んで日々を過ごしているかを思い、犠牲者の冥福を祈り、又、厳 しい日々を生き抜いている人々、別(わ)けても生活の激変に耐え、一生懸命に生きている子どもたちが、一日も早く日常を取り戻せるよう、平穏な日々の再来 を祈っています。
こうした不条理は決してたやすく受け止められるものではなく、当初は、ともすれば希望を失い、無力感にとらわれがちになる自分と戦うところから始めねば なりませんでした。東北三県のお見舞いに陛下とご一緒にまいりました時にも、このような自分に、果たして人々を見舞うことが出来るのか、不安でなりません でした。しかし陛下があの場合、苦しむ人々の傍に行き、その人々と共にあることを御自身の役割とお考えでいらっしゃることが分かっておりましたので、お伴 をすることに躊躇はありませんでした。
一時味わった深い絶望感から、少しずつでも私を立ち直らせたものがあったとすれば、次第に誰の目にも見えて来た、人々の健気で沈着な振る舞いでした。非 常時にあたり、あのように多くの日本人が、皆静かに現実を受けとめ、助け合い、譲り合いつつ、事態に対処したと知ったことは、私にとり何にも勝る慰めとな り、気持ちの支えとなりました。被災地の人々の気丈な姿も、私を勇気づけてくれました。
この時期、自分の持ち場で精一杯自分を役立てようとしている人、仮に被災現場と離れた所にいても、その場その場で自分の務めを心をこめて果たすことで、 被災者との連帯を感じていたと思われる人々が実に多くあり、こうした目に見えぬ絆が人々を結び、社会を支えている私たちの国の実相を、誇らしく感じまし た。厳しい環境下、原発の現場で働かれる作業員を始めとし、今も様々な形で被災地の復旧、復興に力を尽くしておられる人々に深く感謝いたします。
この度の災害は、東北という地方につき、私どもに様々なことを教え、また、考えさせました。東北の抱える困難と共に、この地域がこれまで果たしてきた役割 の大きさにも目を向けさせられました。この地で長く子どもたちに防災教育をほどこして来られた教育者、指導者のあったことも、しっかりと記憶にとどめたい と思います。今後この地域が真によい復興をとげる日まで、陛下のお言葉のように、この地に長く心を寄せ、その道のりを見守っていきたいと願っています」
--両陛下の現在のご体調は。健康管理、公務のあり方についてはどのようにお考えですか
「この頃は加齢のためか、体に愉快でない症状が時折現れるようになり、その多くは耐えられないといったものではないのですが、日程変更の可能性を伴う時は症状を発表せねばならず、その都度人々に心配をかけることを心苦しく思っています。
八年前、前立腺の手術をお受けになった陛下は、今もホルモン療法をお受けになっており、そのことが骨や筋肉に及ぼす悪い影響は避けられません。薬をお摂 りになる他、医師からは適度の運動も奨められており、私も毎朝の散策に加え、体調が許すようになりましたら、また以前のようにテニスコートにもお伴をした いと願っています。この二月に冠動脈の狭窄(きょうさく)が見付かった結果、これに対応するための投薬も受けていらっしゃり、運動もあまり長時間はなさい ません。陛下も私も、時に体におこる不具合に対処する一方で、今持っている体力があまり急速に衰えぬよう体に負荷をかけることも必要な、少ししんどい年令 に来ているかと感じています。
陛下のお務めの御多忙がお体に障らぬよう、深くお案じ申し上げておりますが、他方、病気をお持ちの陛下が、少しも健康感を失うことなく、日々の務めに励んでいらっしゃるご様子を見上げますと、陛下の御日常が、ごく自然に公務と共にあるとの感も深くいたします。
人々のために尽くすという陛下のお気持ちを大切にすると共に、過度のお疲れのないよう、医師や周囲の人たちの意見も聞きつつ、常に注意深くお側にありたいと願っています」
【皇室】天皇皇后両陛下【ありがとう】
転載元: 美しい国