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海洋研究開発機構は27日、東日本大震災の発生メカニズムを解明するため宮城県沖の海底を掘削していた地球探査船「ちきゅう」のドリルが、海面からの深さで7740メートルまで達し、海底の調査掘削の世界記録を更新したと発表した。
ちきゅうは、4月から宮城県の牡鹿半島沖合で調査を開始。水深6883・5メートルの海底までドリルを下ろし、その下856・5メートルまで掘削。海面からの深さは7740メートルとなった。
これまでは、1978年に米国の探査船による、マリアナ海溝チャレンジャー海淵での7049・5メートルが最高だった。
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くどいようですが、海底までの水深6883.5m+海底からの掘削856.5m=海面から7740mです。
まだまだ余力を持っています。
水深2,500mの深海域で、地底下7,500mまで掘削する能力があります。
まあ、記録を伸ばすためにやっている訳ではないし、先を越すようなライバルも今のところいないので、優先順位の高い場所から順次やってゆくでしょう。
なぜ掘っているのか
【理由1】
地球は大雑把に言って、表面に皮に相当する「地殻」、内部に「核」、その中間に「マントル」から成っています。
地殻の下にあるマントルは、組成などは推測されていますが、人類はいまだかって実際に目にしたことがありません。
地殻は陸で厚く、海では薄いです。
だから深海を深く掘削して、直接にマントル掘り出してみるのです。
これができた時には、人類の歴史に刻まれるでしょう。
【理由2】
地球に最初の生命がどうやって出来たかはとても大きい謎です。
遠い宇宙から隕石に内包されてやってきたという説もあります。
しかしこれだけでは説明しきれないことが多いのです。
深海の海底で生命が誕生したという説が最近有力になってきました。
この説を補強する証拠が「ちきゅう」によってサンプリングされています。
【理由3】
この使命がとても脚光を浴びてきました。
次の巨大地震に備えるために、海底の移動の様子を詳しく知ることです。
【理由4】
メタンハイドレートなどの資源が含まれる場所を詳しく調査することです。
沖縄海域では既に「ちきゅう」はレアメタルを含む金属が海底から噴出する場所を発見しています。
折から日本の大陸棚が31万平方キロメートル拡大したことも併せて、喜ばしいことです。
「ちきゅう」とは
日本海事協会が所有する59,500トンの深海掘削船です。
外観としては、掘削のためのやぐらがくそびえていて目立ちます。
安全に掘削する機能のほかに、ぴたりと同じ位置に長期間留めておくための最新の設備、また長期に留まるので研究者や乗員を移送するためにヘリポートも備えています。
日本が中心になっているのはもちろん、アメリカや他の多くの国から研究者が同乗して調査・研究をしています。
この分野でも日本は世界をリードしています。大いに誇ることです。
私に言わせると、資源探査用と海底の移動の調査用にもう1隻あってもいいのではないかと言いたいです。
ちなみにこの「ちきゅう」にも例の「仕分け」がいちゃもん言ってきたお蔭で、研究が一時滞りました。
彼ら仕分人達の発想は普通の日本人の対極でしたね。