(;)セミコロンの使い方は一筋縄にはいかない。
まずはコロンとの違いを考えないといけない。
コロンとセミコロンの違いについて、柴田元幸は『翻訳教室』(2006)にこう書いている。
「で、超基本的なことを言っておきますけど、当然みなさんはご存知だと思いますが、コロン(:)とセミコロン(;)はまったく別物だということをここで確認しておきましょう。コロンははっきり意味があります。「すなわち」ということです。セミコロンはピリオド(.)とカンマ(,)のあいだくらいのものです。というふうに覚えておけばいいと思います」
英語を書く上ではセミコロンとカンマとの違いも意識しなければならない。
たとえば、先日GetUpEnglishで学習したbe out of …’s leagueの例を使えば、
That job offer is out of his league, as he doesn’t have the necessary experience.(彼は経験不足でこの仕事はとても務まらない)
ということはできるが、「経験不足」の部分を特に強調したいのであれば、状況に応じて、
That job offer is out of his league; he doesn’t have the necessary experience.
としてもよいだろう。
同じように、
He was late to the meeting, because he missed the bus.(バスに乗り損ねてミーティングに遅れた)
は、
He was late to the meeting; he missed the bus.
ということもできる。
英日翻訳、日英翻訳、英文ライティングにおいて、セミコロンとコロンの違い、セミコロンとカンマの違いなどの文法的な知識なもちろん必要だが、文法学者のように網羅的な知識をつけることはむずかしいので、その場に応じて理解を深めるという形で対応するのでよいと思う。
たとえば、信頼厚き『コンパスローズ英和辞典』(研究社)の巻末の「文法解説」は大変な充実ぶりで、この19.3にはコロン、セミコロン、カンマの使い方について、実に詳細に、実にわかりやすく記されている。
なお、セミコロンについては、左右社から実に刺激的な本が昨年刊行された。
セシリア・ワトソン著,
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(萩澤大輝、倉林秀男訳)
そして現在発売中のAsahi Weekly, 6月2日号には、国際ジャーナリストの大野和基さんのセシリア・ワトソンへのロング・インタビューが掲載さ入れている。
◇SPECIAL:セミコロンの世界
英語話者でも使いこなすのが難しいとされるセミコロンを取りあげた著者に、やっかいながらも素晴らしいという句読点の魅力を聞きました。インタビュアーは、国際ジャーナリストの大野和基さん。
大野さんのインタビューは大変読み応えがある。ぜひご覧いただきたい。