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日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

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毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

CANNOT CONCLUDE...

2020-06-13 08:50:04 | C

 柴田元幸訳、ジョナサン・スウィフト『ガリバー旅行記』の朝日新聞連載が、昨日から始まった。
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14511532.html

 夏目漱石が『ガリバー旅行記』を愛読し、その作風が『吾輩は猫である』などに反映されていることは多くの学者が指摘するとおりだが、東京大学英文科卒の国民的作家の愛読書を、同じ東京大学英文科卒で東大名誉教授で国民的翻訳家といっていい柴田元幸が訳す、それも夏目漱石が連載小説を数多く発表した朝日新聞から連載翻訳で発表するというのは、不思議な歴史のめぐりあわせというか、翻訳文学と出版文化の運命のようなものを感じる。コロナ禍の不安な時期に、大変明るいニュースになった。
 今日のGetUpEnglishは『ガリバー旅行記』の有名な引用をひとつ紹介しよう。
 
 I cannot but conclude the Bulk of your Natives, to be the most pernicious Race of little odious Vermin that Nature ever suffered to crawl upon the Surface of the Earth.

 これは巨人国の王がガリバーに口にするセリフである。
 訳は柴田元幸の連載を楽しみにしていただき、I cannot but conclude...の使い方を学習しよう。これは古い言い方だ。
 次のように使われる。

Practical Example
 We cannot hastily conclude that Leia had never reconciled with Darth Vader
「レイアがダース・ベイダーと和解できなかったとにわかに断定できない」

 柴田元幸は、『English Journal』2020年7月号にこう書いている。

 スウィフトは小人国や巨人国を、時には当時のイギリスの実態を映し出す鏡に使い、時にはイギリスを外から見る鏡に使った。どっちにするかははっきり言って行き当たりばったりという感じで、いったい誰を批判しているのかよくわからないときもあり、要するににこの人は人間という種族全体を罵っているんじゃないかと思える。にもかかわらずその筆致は(少なくとも『ガリヴァー』最終章を除けば)それなりに温かい。「病的に人間を嫌忌したという名を博したにもかかわらず、親切な人である」(『文学評論』)と論じた夏目漱石はまことに正しかった。

 実に楽しみな連載だ。個人的なことを言えば、わたしも大学2年生のときにこの『ガリバー旅行記』に出会い、あまりの面白さに乏しい英語力でどうにか最後まで読み終えたのを覚えている。当時はインターネットはもちろん、電子辞書もなかったので、研究社の『新英和大辞典』を首っ引きで引いて意味を確かめようとしたが(これを言うと驚かれるが、『新英和大辞典』はいつも持ち歩いていた。財力は今も昔もないが、当時は腕力はあったのかもしれない)、それだけではもちろんうまくいかず、岩波文庫の平井正穂訳と新潮文庫の中野好夫訳にずいぶん助けてもらった。
 柴田元幸訳が本当に楽しみだし、第1回目の訳も興奮して読んだ。
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14511532.html

 

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『若い読者のための宗教史』オンライン書店の宗教史ランキングで、No.1! 

2020-06-13 00:31:00 | ありがとうございます!

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https://www.amazon.co.jp/dp/4799108042

ありがとうございます!
あらゆる神々に感謝いたします!
『若い読者のための宗教史』、「訳者あとがき」より
 生きている限り悩みはある。苦しい、悲しいこともたくさんある。世の中も不安定だ。だからこそというべきか、祈るしかないことも多く、神頼みの神がいなくては困る。だが、日々の生活に追われる人たちは、宗教が成し遂げたことの多くを称賛することもあるものの、その土台となる超自然的な信仰を受け入れることはもはやできない。
著者は宗教が現在多くの地域で凋落傾向にあることに憂いを抱いているが、このように感じている現代人が現在どのように宗教に取り組んでいるかを紹介しつつ、本書の幕を閉じる。
 世俗的ヒューマニズム。著者が最終章で紹介するこの宗教観は、すでに日本で実現している。たとえば親から教えられた宗教があったとしても、知識が増えるにつれてもはや子供の頃のように無心に教会には通えなくなり、それでも神社や仏壇の前では自然と手を合わせるという人たちも少なくないように思う。
 本書はさまざまな宗教を紹介する歴史物語として楽しめるだけでなく、このように現代の宗教のあり方についても一歩踏み込んで論じている。宗教を持つ人にも、持たない人にも、多くの方に興味を持っていただけたら、訳者としてとてもうれしい。
 
 2019年3月                     
 訳者代表 上杉隼人

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