*コンパスなんて必要ない所にでも、都会の旅にでも持っていくのです。
旅に出るときに何を持っていくかを考えるのは大好きです。
一週間程度の登山(山行)でも、1ヶ月ほどの海外出張でも、コンビニがない、勝手がわからない、という状況下では、本気で考えます。いつも荷物を小さくし、自分で持つという条件もあります。
最後まで、決まらないのが、必ず1,2冊も持っていく本です。出発時刻になっても、まだ決まらない、なんてざらです。
コンパス(磁石=方位計=羅針盤)を持って行きます。30年も40年も前には、(あるいは今でも)、登山へ携行すべき物に、地図・コンパスと書いてあります。しかし日本の山で、コンパスなんて使ったことはありません。霧にまかれて方位を見失うこともありません。登山路はずさない限り、コンパスで調べることは、まずないでしょう。
ただし、私は、ちょっといい、携帯用では、最高級(!)のコンパスを持っています。持って行きます。
昔の、大探検時代の気分に浸っているのです。 大探検時代、道なき道、海には、コンパスは、必須のツールです。コンパスだけを頼りに進んだのです。
ちょっと前に、<咸臨丸の太平洋横断記>を読みました。もちろん航海記を楽しんだのですが、一番面白い、興味深かったのは、<携行品>つまり、咸臨丸<積み込み品>のリストです。
結果として、江戸からサンフランシスコまで、35日間かかっています。312名が乗り組みます。食料をどれだけ、つんでいたのでしょう。少しだけ書き出します。
米;75石。1人1日5合、150日分。
醤油;3石3斗。1人1日5勺あて。
酢;6斗、塩;3俵。
鶏;30羽、家鴨;20羽、豚;2匹
・・・石炭;8万6千斤、灯油;2斗1升。
その本に載っているのは、主に食料です。
もうひとつ。私が、高校生の頃、堀江謙一さん(当時23歳)が、ヨット(マーメイド号)で太平洋横断をしました。たったひとりです。むろん無許可出国です。許可される時代ではありません。世界初の単独航海です。そんなに、年齢も違わない冒険を羨ましく思いました。
94日間の航海です。昭和36年5月12日出航、8月12日サンフランシスコ着。大学ノートの日誌は、一日も抜けがないのです。
8年間の緻密な研究と用意周到な準備と航海日誌を基に、本が出版されました。すぐに買って読みました。
*<太平洋ひとりぼっち、堀江謙一著>、右;文芸春秋社、1962年発行、左;ぐるーぷ・ぱあめ、1989年発行。今、AMZONで買うことができるでしょう。
一番興味深かったのは、何を持っていこうかという、携行品リストなのです。その全てが克明に載っているのです。
ヨットそのもの、セール(帆)の他に、航海用具、衣料品、食糧、水、調味料、嗜好品、台所用品、衣料品、工具、日用品、文房具、書籍・雑誌、寝具類、その他(カメラ、釣具・・)
ここに、すべてを書き出すスペースがないので、ほんの少しだけにします。
米;3斗、1日に2合半として、120日分。
水;計68ℓ
ビール;5ダース、ウィスキー5本、コーラ飲料50本
マッチ;60箱
【おまけ】
*私も、明後日(1月20日)に、10日から2週間の<旅>に出ます。けっこう長い孤独な旅です。ふつうの旅と同じように、何を持って行こうかと楽しんでいます。もう本は決まっています。コンパスは、さすがに持って行きません。