「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

死刑回避の事情 (2) -- 光市母子殺害事件、 最高裁判決 (4)

2012年02月22日 20時07分20秒 | 光市母子殺害事件
 
(前の記事からの続き)

 事件直後の家庭裁判所で、 絵画を見てストーリーを作る 検査を行なった結果、

 被告の発達レベルは 4~5歳と評価されたといいます。

 大月被告に面会した ジャーナリストや記者たちは 異口同音に、

 被告の幼い印象を語り、 凶悪事件と全く結びつかない ギャップを感じています。

 被告が少年時代、 父親から 激しい暴力を受けていたことや、

 母親の自殺を目の当たりにし、 さらに父親が 若い外国人女性と再婚し、

 異母弟が生まれたことで、 より孤立感を 深めて言ったといいます。

 そのような生育歴によって 精神的発達に障害があったとすると、

 パーソナリティ障害や 発達障害に通じる面があります。

 心子は 犯罪は犯しませんでしたが、

 パーソナリティ障害のなかには 犯罪的な行為をしてしまう人もいます。

 パーソナリティ障害は 責任能力があるとされていますが、

 自分自身が苦しめられている 障害のために、

 死刑にまでならなければいけないのか?  という場合を考えると、

 居たたまれないものがあります。

 環境その他によって 精神的な発達に 相当程度の障害があったとすれば、

 極刑を回避する 事由になるのではないかと、 僕には思われます。

 死刑判決は、 どの裁判官が判断しても それ以外にないという場合にだけ、

 選択されるべきとされていますが、

 その意味でも 反対意見が述べられたのは異例であり、

 今回の判決が 必ずしも適切とは言えないことを 物語っています。

 無論、 加害者の確固とした甦生プログラムと、 被害者遺族への十二分なサポートが、

 喫緊の課題であるのは 言うまでもありません。

(次の記事に続く)

〔参考: 朝日新聞〕