「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

孤立することの悪影響 (2)

2012年02月02日 23時00分37秒 | 「愛した人がBPDだった場合のアドバイス
 
(前の記事からの続き)

○ ベトナム捕虜

 ベトナム戦争で捕虜となり、 帰還した人々の報告によると、

 他の捕虜と暗号で コミュニケーションを図ったことが、

 孤立と拷問に耐えられた 大きな要因だということです。

 見つかれば 拷問される恐れも省みず、 連絡を取り合ったのです。

 生き長らえることができたのは、

 他の捕虜を支えるために 自分が必要だと 知ることができたからでした。

○ 学習された無力感

 魚の実験を紹介します。

 水槽の中央に ガラスの仕切りを入れ、

 一方にバラクーダ、 一方に餌の魚を入れました。

 バラクーダは 餌を捕らえようとするたびに ガラスにぶつかります。

 そしてとうとう 餌を諦めたのです。

 その後、 仕切りガラスを外しましたが、

 バラクーダは その向こうに行こうとせず、 餓死してしまいました。

 バラクーダは、

 「学習された無力感」 と 呼ばれる状態に 陥ったと考えられます。

 学習された無力感は、 人間 (特に子供) にも 当てはまります。

 自分の感情を傷つける 人や状況から、 我が身を守ろうと 何度も試みながら、

 うまくいかなかったときなどに 起こります。

 多くのノン・ボーダーラインの人が 我が身を救えない無力感も、 その一例でしょう。

 部屋から出ていくことさえ 考えつかなくなってしまうのです。

 極限まで 打ちひしがれてしまったことが原因です。

 例え 健全な自己評価を持ち、 幸せな子供時代を 送ってきた人であっても、

 例外ではありません。

 まして、 幼少期に恵まれなかった人 (傷つきやすい人) なら、

 数ヶ月で 牢獄に捕らわれたようになってしまうでしょう。

〔 「愛した人が BPDだった場合のアドバイス」
   星和書店 (ランディ・クリーガー) より 〕