「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

男性に対する虐待(2)

2012年02月11日 11時45分29秒 | 「愛した人がBPDだった場合のアドバイス
 
(前の記事からの続き)

 助けを求める屈辱感から、 男性は家庭内暴力にどう反応するか、

 以下に例を示します。

「自力で何とかできる」  男気の装い :

 親しい人からの攻撃は、 身体だけでなく 心までも傷つけます。

 うつ状態や物質乱用を招き、 自信を失い、 自殺に至る可能性もあります。

「男は無言」 :

 家庭内暴力を 周りの人や専門家に 口外しないというのは、 男女に共通しています。

 しかも男性は女性よりも、 強い疑いや あざけりの目で見られるため、

 ますます口を閉ざしてしまうのです。

現実逃避 :

 男性は 悲惨な家庭生活に目を背け、 そこから逃れようと 会社で残業をしたり、

 自宅でも 書斎やガレージなどにこもったり、

 車中や友人宅で 寝泊まりすることもあります。
 

 なぜ男性は 女性のもとに留まるのでしょう? 

 法的に男性のほうが、 わが子との連絡が 絶たれることを恐れています。

 また、 自分がパートナーを助けられると 思い込んでいることもあります。

 加えて、 離れることで 感情的に不安定になりたくないという 思いがあります。

 関係を失う恐怖と、 その後の未知の恐怖から、

 不健全なパターンを繰り返すのでしょう。

失敗に対する恐怖 :

 男たるもの 妻子を養えなければ 本物の男ではない、 と従来言われてきました。

 「できて当然」 のことが できないという気持ちに 駆られるのかもしれません。

子供に対する懸念 :

 男性は 自分が盾になることで、 わが子を虐待から守る という思いがあります。

 わが子が 支配的な妻の掌中にあっては、 会うこともままならないと 思っています。

男性のための拠り所が少ない :

 女性のためには 緊急電話相談や保護施設がありますが、

 男性を対象にしたものは ほとんどありません。

 それどころか 施設を運営する人々が、 「男性被害者」 は存在しない,

 いたとしても問題にするまでもない、 と考えていることもあります。

(次の記事に続く)


〔 「愛した人が BPDだった場合のアドバイス」
   星和書店 (ランディ・クリーガー) より 〕