「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

胃ろう/PEGの メリット・デメリット

2011年02月20日 19時29分03秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 PEGは 一度造設すると 死ぬまで着けたまま、 というものではありません。

 栄養補給によって 全身状態が良くなり、

 体力が回復して 再び口から食べられるようにもなるのです。

 そして PEGが必要なくなったら、 チューブを抜くことも可能です。

 抜くのは数分ででき、 あとの穴は 翌日にはふさがります。

 PEGは また口から食べられるようにするための、

 嚥下 (えんげ=飲み込むこと) のリハビリの手段と 考えることもできます。

 体の状態が良くなることで、 リハビリが円滑に進み、 患者のQOLは上がるのです。

 鼻に管を通していると、 嚥下のリハビリをしても、

 食べ物が管に当たって 飲み込みにくく、

 誤嚥 (ごえん=食べ物が気管に入ってしまうこと) も起こります。

 栄養状態が良くなれば、 褥瘡や免疫機能の低下も 防げます。

 PEGで 必要な栄養を確保しながら、

 食べられるものは 口から味わうという方法もあります。

 また 経鼻胃管は管理が困難で、 そのためだけに 入院している人もいますが、

 PEGなら在宅で管理でき、 家族と過ごすこともできます。

 もちろん PEGはメリットばかりではなく、 デメリットもあります。

 造設が簡単だといっても、 お腹に穴を開けるわけですから、

 手術の際の 感染症の可能性はあり、 造設後1ヶ月で 死亡した例もあるそうです。

 術後の管理をしっかりしなければ、 皮膚のトラブルや、 感染, ただれができたり、

 栄養剤の漏れや、 嘔吐, 下痢が起こることもあり得ます。

 また、 PEGに栄養剤を 入れることができるのは、

 医療者と家族だけなので、 受け入れてくれる施設が少ない という現実もあります。

(栄養剤の注入は、 寝た状態で1~2時間)

 在宅で家族が介護できる 環境があればいいのですが、

 それでも家族の負担は 増すでしょう。

(次の記事に続く)

〔参考資料 : PEGドクターズネットワーク 他〕