(前の記事からの続き)
○東央大病院・ 透析室の外の廊下
美和子が入口から 淳一と多佳子を
見守っている。
美和子 「………」
廊下を 世良が走ってくる。
世良 「美和子 …… !」
世良、 中の淳一に気付き、 美和子を離れ
たところへ導く。
美和子 「(訝る) どうしたの?」
世良 「木下さんの肝機能が 急に落ちてきたら
しいんだ ……!」
美和子 「え …… !?」
世良 「脳死になってから、 川添先生は 臓器の
鮮度を保つ 治療もしなかったし」
美和子 「移植への影響は …… !?」
世良 「分からない、 楽観はできないそうだ…
…!」
美和子 「そんな …… !?」
○同・ ICU
人工呼吸器に繋がれた幸枝。
点滴や何本ものチューブが 差し込まれて
いる。
若林、 緒方らスタッフが 幸枝の治療に当
たっている。
緒方 「ラクツロースの5倍希釈液を 千ミリ注
腸」
ナース7 「はい」
若林 「カナマイシン、 腸内殺菌の用意をし
て」
ナース8 「腸管内投与ですね?」
美和子と世良が 慌てて飛び込んでくる。
美和子 「若林先生 ……… !! ドナーの容体は
…… !?」
若林 「……… (美和子の顔を見る)」
美和子、 幸枝を見る。
美和子 「肝 (かん) は 使えるんですか ……
!?」
若林 「……… 最悪の場合も、 あり得る ……
… (渋面)」
美和子 「!! ……… (表情が凍りつく)」
(続く)