「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

悪夢 …… 「生死命(いのち)の処方箋」 (7)

2010年08月06日 20時15分24秒 | 「生死命(いのち)の処方箋」
 
(前の記事からの続き)

○暗闇

  淳一が 全身激しい痙攣に 襲われている。

  意識傷害を起こし、 うわ言をわめいてい

  る。

  美和子が狂乱して 淳一を抱きしめる。

美和子 「ジュン……!!  しっかりして、

 ジュン………!!」

  震えつづける淳一。

美和子 「死んじゃイヤ…… 死なないでェ……

 …!!  ジュン!  ジュ~~~~ン……

 …!!」
 

○佐伯宅・ 美和子の寝室

  がばっと 夢から覚める美和子。

  べっとり 脂汗をかいている。

美和子 「………」

  額の汗をぬぐい、 ベッドから立つ。

  ガウンをはおり、 そっと部屋を出る。
 

○同・ 淳一の部屋の前

  美和子が来る。

  静かに ドアに顔を近づける。
 

○同・ 淳一の部屋の中

  淳一が光の中、 サングラスをかけて 眠っ

  ている。
 

○同・ 淳一の部屋の前

  美和子、 ドアの前で 膝を抱えて座る。

  頭を垂れ、 目を閉じる。
 

○東央大病院・ 第二内科

  美和子、 若林が 淳一に交換輸血をしてい

  る。

  世良もいる。

淳一 「やっと 来るべきものが来たって 感じで

 すね」

若林 「一過性かもしれないし、 心配しなくて

 も大丈夫だ」

世良 「ジュンくん、 頑張るんだよ」

若林 「当面は週一回 交換輸血をして、 それか

 ら 光線治療の光量も強くしよう」

淳一 「取り替えるならインバーターにして

 よ」

美和子 「……肝臓も 取り替える……」

淳一 「………(美和子を見る)」

美和子 「………」

淳一 「(目を背けて) ………きのうは悪かっ

 たな………」

美和子 「………(安堵)」

(次の記事に続く)