「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「痛み こころ」 (2)

2010年06月02日 20時17分00秒 | 心理
 
(前の記事からの続き)

 B子さんは 過去に医師から、 ウソつきなどと言われ続け、

 強い医療不信にも 陥っていました。

 不信感があると、 痛みを感じる 脳の動きを強め、 薬も効きにくくなるそうです。

 これは 他の色々なケースにも 当てはまりそうです。

 治療では 鎮痛剤に頼るのではなく、 自然なコミュニケーションによって、

 痛みがなくても いい人間関係を築けるようにすることです。

 毎日30分、 医師や看護師と 散歩することから始めました。

 決まりはひとつだけ、 痛みの話をしないことです。

 最初は 緊張で一杯でしたが、 次第に放せるようになり、

 気が付くと 痛みが減り、 歩けるようになっていたそうです。

 痛みには 複雑な原因が 絡み合っているといいます。

 本人の訴えを じっくり聞いて、 それをひとつひとつ 解決していくことが大切です。
 

 原因不明とされる 体の痛みは、

 自分でも気付かない 心の痛みから 来ていることがあります。

 ストレスで 脳の回路に異常が起き、 ささいな刺激を 絶えがたい痛みに感じたり、

 異常がないのに 勝手に痛みを作り出すためだと 考えられています。

 うつ病でも、 不眠と並んで 多い症状は、 実は痛みだといいます。

 うつ病患者の6割が、 頭や背中、 お腹の痛みを訴えているそうです。

 (うつ病では 神経伝達物質が減少しますが、

 それによって 痛みも感じやすくなるとされています。)

 心子も 心因性の腰痛や、 ひどい生理痛に 悩まされていました。

 心による 体の痛みは、 思った以上に 強烈な現れ方をするものです。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕