「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「死刑裁判の現場」 (1)

2010年06月17日 23時58分30秒 | 死刑制度と癒し
 
 過日のNHKのETV特集で、

 「死刑裁判の現場」 という 番組をやっていました。

 元最高検察庁検事の 土本武司 (75才) が扱った、

 死刑裁判のことを取り上げたものです。

 プロの裁判官や 弁護士, 検察官でも、

 実際に 死刑の裁判に臨むのは 非常に珍しいことで、

 司法関係者でも 死刑の現場には 触れることがないそうです。

 土本氏も、 死刑判決に関わったのは 30年間で1度だけだったといいます。

 44年前の強盗殺人事件で 土本氏は、 被告に死刑を求刑し、 確定しました。

 その後、 その死刑囚から 土本氏の下に 手紙が来たのをきっかけに、

 氏は死刑について 真剣に、 現実的に 考えるようになったといいます。

 土本氏は、 死刑囚から怨みの手紙が 来たのかと思いましたが、

 手紙には 土本氏に対するお礼や、 被告が真摯な態度で、

 罪に真正面から向き合う、 苦悩と覚悟が したためられていました。

 全部で 9通の手紙が届きましたが、

 死と直面する 人間の言葉は、 土本氏にとって重いものでした。

 氏は、 別の事件の 死刑執行現場に立ち合います。

 その壮絶な実態を、 氏は今まで誰にも 語ることができなかったといいます。

 死刑を求刑し、 判定する人間たちが、

 死刑の実態を知らなくて、 死刑の裁定をしていいのか? 

 裁判員制度が始まり、 死刑制度に国民的議論が 必要とされるとき、

 氏はそれを 今こそ語るべきと決断したのです。

〔 NHK・ ETV特集より 〕

(次の記事に続く)