「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

裁判員制度、 施行1年 (2)

2010年06月05日 20時57分19秒 | 罪,裁き,償い
 
(前の記事からの続き)

 裁判員制度によって、 職業裁判官たちも とても勉強になり、

 大きな成長ができると 言っています。

 裁判員との議論で、 従来の裁判で 身に付いた垢が 落ちる感じがしたと、

 絶賛する裁判官がいました。

 従来の裁判より 手間がかかるが、 これまで当然と 思っていたことについて、

 原点に立ち返ることが多い という裁判官もいます。

 例えば、 性犯罪の量刑について、 裁判員は 自分や家族などが 被害者ならと考え、

 以前より 量刑が重くなる傾向が はっきりしています。

 今まで 法律家は、

 過去の事例と 不釣り合いになるのを恐れて、 妥当な刑を 決めてきたのでしょう。

 ある裁判官は、 性犯罪を考えるとき、

 裁判官としての立場と、 一個人としての感情とでは、 意見が異なると明言しました。

 その差を埋められるなら、 裁判員は意味があると言います。


 また、 多くの裁判員が、

 自分が担当した 被告の人生に 関心を持ち続けているそうです。

 特に 裁判員たちは、 被告の更生を 強く望んでいます。

 ある裁判員は、 被告人尋問の際、

 被告人に 「立ち直ってください」 と 励ましました。

 被告人尋問は、 被告に 事実や主張を聞くもので、 励ましの場ではありません。

 しかし裁判官は 制止しなかったそうです。

 被告人は 拝むように頭を下げて、 お礼を述べたといいます。

 別の裁判員は こう語りました。

 「今は 犯罪者におびえ、 排除するだけの社会。

 何らかの形で 更生させる道を作るのが、 裁判員としての仕事ではないか。」

〔 参考文献 : 読売新聞 「裁判員経験者の声」 〕