「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

気分の不安定さ (6) (他のパーソナリティ障害との関連)

2008年05月19日 22時20分15秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54293725.html からの続き)

 演技性パーソナリティ障害は、極端に感情的で、自作自演をし、自分の魅力にこだわり、

 身体的な外見に関心が高く、急激に移り変わる 浅薄な感情表現が特徴です。

 怒りや自己破壊性という点で、BPDと演技性パーソナリティ障害は 区別されます。

 自己愛性パーソナリティ障害とBPDは、過度の怒りや、特権的で誇大な自己認識,

 批判に対して過敏という 特性を持っています。

 しかし 自己愛性パーソナリティ障害は、

 BPDにない 尊大さや優越感,権利意識を示します。

 反社会性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害は 男性に多く、

 BPDと演技性パーソナリティ障害は 女性に多く見られます。

 遺伝的な違いが 関与していると言われています。

 しかし 診断は社会的,文化的な影響も受けるでしょう。

 例えば、ある人が パートナーと喧嘩して飛び出し、酒を飲んで暴れたり、

 飲酒運転で事故を起こして、警察に捕まって泣きちらし、死にたいとわめいたとします。

 この人が女性なら、病院へ連れて行かれて BPDの診断を受け、

 男性なら反社会性パーソナリティ障害と 診断されることがあるかもしれません。

 反社会性パーソナリティ障害とBPDは、怒り,衝動性,無謀さが特徴です。

 子供時代の虐待,不運な人間関係,物質乱用という類似点があります。

 反社会性パーソナリティ障害は、

 良心や情緒が 欠如しているところが、BPDと異なる点です。

 反社会性パーソナリティ障害の人は もっと攻撃的で、

 養護者を求めるより、利益や力を得ようとします。

 ところが、診断が違っていても、治療は共通しています。

 うつ病のSRI,双極性障害の抗精神病薬,衝動性への気分安定薬が、

 BPDに とても役立つことがあります。

 そのため 医師の誤診は補強されてしまいますが、

 正しい診断が なされていくことが求められます。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より〕