「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

怒り (3) (怒りへの対処)

2008年05月31日 21時20分41秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54483529.html からの続き)

 BPDの人は 怒る必要があるのだということを、理解するのは大切です。

 怒りは 形を変えた失望かもしれませんし、うつに対処する方法かもしれません。

 暴力的でない怒りは パートナーとして受け入れ、吸収することが重要です。

 しばらくすれば 怒りは自然に消えていき、

 その根底にある問題について 話し合うことができるようになるかもしれません。

 激しい怒りは、恐れや痛みを 外に向けた表現であるのが 一般的です。

 怒っているほうが、恐れているより楽なのです。

 過去の虐待,親の不在,愛情の喪失などの 痛みは、

 闘うことによって 和らげられます。

 BPDの人の怒りは、心の傷に反応して、または 避けようとしているものなのです。

 恐れと痛みを 常に抱えているBPDの人は、

 表面上の理由はなくても、いつ爆発するか分かりません。

 BPDの人が 激怒するときというのは、まさに自分が 見捨てられるのではないか、

 窒息させられるのではないかという、最も恐ろしい予見を 感じたときなのです。

 BPDの人の怒りに 対処するには、コミュニケーションが 何よりも重要ですが、

 それは非常に繊細で バランスが求められ、練習も必要です。

 一方では、BPDの人に サポートと共感を示し、

 自制心を 積み重ねなければなりませんが、

 他方では、不合理な怒りは 受け入れられないということを、

 相手に知ってもらわなければなりません。

 怒っても受け入れられるのだ と思われると、

 BPDの怒りを 増幅させる結果になってしまいます。

 パートナーにも限界があり、それを超えて 受容しようとすれば、

 こちらも破綻して 共倒れになってしまいます。

 「してもダメ、しなくてもダメ」 という時には、

 その場から 離れるしかありません。

 しかしそれは 永遠の別れではなく、また再び 一緒にやっていくための小休止です。

 時間を置くことによって 怒りは治まり、

 落ち着いたときを 過ごすことができるでしょう。

 相手との境界を はっきりさせておくこと (限界設定) は、

 ずっと共に生きていくための 知恵なのです。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕