蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

春の珍客!―子いのしし君、こんにちは。―

2009-04-11 22:04:54 | 田舎暮らし賛歌
 
4月10日(金)晴れ、暖。

  夕方、庭先で愛犬、ペクのなきごえがした。今さっき散歩から連れ帰り、小屋に入れたはずである。犬小屋は、私が1週間もかけて古材で作った断熱材入りのログハウス風である。大きさは畳半畳ほど。前庭は檻ふうにしてやはり半畳ほどの広さである。彼女はこの小屋が気に入っているらしい。ここは八ヶ岳おろしが厳しいので、風避けのため、犬を小屋に入れた後は、周囲を板でかこんでしまう。だから、小屋へ入った彼女は外をみることはできない。それゆえ一旦、入れば、かさとも音をたてないでぐっすりとねむりこんでしまうらしい。
 
  そんな彼女が、突如として、吼えるということは、ただごとではない。一体、何んの気配を感じて吼えているのだ。
 
  ガラス戸を開けて、ベランダに出て、庭を見た。芝庭の先の小さな畑の畝の間に何かがいた。黒い。犬にしてはずんぐりしている。
何んだろう?相手がこちらを見た。見たことの無い顔である。おや!っと思った。豚に似ている。
  ああ、そうか、猪か。それにしては小さい。まだこちらを見上げている。驚いた風はない。落ち着いている。背中の尻尾近くの毛が魚の鰭のように立っている。うりん坊からやっと半人前の子猪になりましたという感じである。

  これは珍事だ。写真を撮らなくちゃー。私は、そう思うと思わず「おい、待て!」と声をだしていた。
 その声で始めて、相手は、これは何だかやばそうだというふうに、横向きになり右手の雑木林の方にごそごそと地面を嗅ぎながら姿を消した。横向きの姿は、立派な猪だった。

  写真を撮るのは間に合わなかった。惜しい事をした。
 犬はさすがである。姿は見えなくても、臭いと気配でそれとわかるらしい。もうすっかりなき止んでかさともしなくなった。

  それにしても、庭先に猪とは驚いた。一昨年には、猿が数匹群れをなしてやってきて、明日辺り収穫しようかとおもっていたやさきの僅かばかりのとうもろこしをあっというまに横取りされたことがあった。
  その頃は、周囲は鬱蒼とした赤松林だったので、何が出てきても不思議はなかったが、今は、その赤松林が、松くい虫対策のために、一挙に伐採されて、広々と見通しの良い風景になってしまったというにである。
  こうなってみると、かえって、猪類にとっては、走りやすくなっていいのかもしれない。

 しかし、この次には何がやってくるだろうか。
 過日、我が家から1kほど離れた畑地と林の境界付近で見かけた鹿がやってくるのだろうか。
 森の獣たちと人間の混住がはじまろうとしているのだろうか。それほど、彼らか弱き獣たちの住処を人間どもが奪ってしまったということだろうか。

 その一方では、私たちのご先祖様がえいえいと汗水流してつくり上げてきた耕作地が放棄されて森林原野にもどりつつあるという。
 それは、私たちの暮らしにとってどんな意味合いをもつものとなるのであろうか。
 それは、反面、彼ら森の住人たちにとっては、真に喜ばしいことなのだろうか。

 そして、かの子イノシシ君は、あれからどこへ行ったのだろうか。無事、兄弟や仲間の処へ帰り着いただろうか…。

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