蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

“皇室男系維持―超党派議連が発足―” とは、何故なんだ?

2006-10-20 02:32:01 | 時事所感
10月19日(木 )晴れ。暖。

 昨日、18日付けの朝日朝刊(4面)の下の方に小さく、次の記事を見た。

 『 ■皇室男系維持―超党派議連が発足―

 女系天皇を認めず、男系維持を主張すれ超党派の保守系議員で作る「皇室の伝統を守る国会議員の会」の設立総会が17日、東京都内であった。
 男系維持で継承されてきた皇室の伝統を守るための方策や、皇室への敬愛の念を育む学校教育の充実などについて議論し、まとまれば、政府にていげんしたいとしている。この日の総会には、約60人の議員が出席し、会長に島村宣伸元農水相を選んだ。』

 一読、嫌な連中だな。世の中、北朝鮮の原爆ミサイルが、何時暴発するかと、てんやわんやだというのに、何考えてだろうと思った。

 そして直ぐに頭に浮かんだのは、つい先日、これも同紙の土曜日だかのコラムで、何気なく目にして、ほうーこれは意外だなと記憶に留めた、聖路加病院名誉院長、勳二等瑞宝章、文化勲章受賞者にして『生き方上手』120万部以上の最高齢ミリオンセラー作家にして人生の大先輩、日野原重明先生(95歳)の皇位継承問題についてのご意見である。

 先生は、大意こう書かれていた。「男系に拘ることはないと。長子相続でいいではないか。何故、女性では悪いのか。男女平等の理念の新憲法のもとで…」と。

 全くその通りだと思う。
 
 今も昔も、天子様は、日本の歴史において、ほんの一時期を除いては、民族(ヤマト民族)統合のシンボルにすぎないのではなかったか?それすらもどれだけの日本人に認識されていただろうか?
 
 一寸前の江戸時代、山家の隠居同様の無学の下々の庶民にとっては、京の都の天子さまとは、暦の発行元ぐらいにしか思っていなかったのではないか。
それを、アンチ漢学の国学者が、塵を払ってお蔵から引っ張り出して、わが大和にはこのようなお宝が在ったのだと言い始めた。

 すると、それに海の向こうから、この美味(ウマ)し国を、黄金の島と勘違いして、植民地にしようかと、チラチラやってくる紅毛人に、何の手も打とうとしない弛緩腐敗堕落の幕政に、田舎侍の不満が鬱積し、丁度格好の王政復古の錦の御旗と担ぎ出し、あれよあれよというまに、御簾の奥深く鎮座ましました万乗の君を、白馬に跨る大元帥皇帝陛下にまつりあげたのではなかったか。

 そしてこの度、現下の国家の緊急時に、態々お集まりになった「皇室の伝統を守る国会議員の会」の先生方が、目指される、その第一が皇室への敬愛とのこと。

 その裏の魂胆は、天皇を頂点とした日本社会のヒエラルキーを作り上げ、天皇笠を被っての天皇の近くに侍る先生方を、我々下々に敬愛しろということではないのか。偉い先生方に異を唱えるものは、またぞろ不敬罪でひっくくると脅し、先生方の言うことだけを黙って信奉する都合のいい、物言わぬ僕にしたいだけではないのか?
 
 それを、学校教育の場でだと。冗談ではない。友達同士、仲間同士も大事にすることもろくに教えられないで、なんてことだろうか。

 大体、日本古代史で始めてお目にかかるのは、子供でも知っている卑弥呼様だ。
 その時は、よく国中が治まったという。卑弥呼が亡くなって、その娘が後を継ぎ、母親卑弥呼ほどの霊力を着けるには若かったためか、政(マツリゴト)に男どもがしゃしゃり出てきたら、相交伐すること数十年だったとか。

 かくの如くを、省みれば、なんで女帝で悪かろうだ。
 アマテラスオオミカミの言い伝えは、これこそ、ヤマト民族の平和哲学の真髄ではないのか?
 女性こそ、豊穣と平和、生命再生のシンボルとして、これ以上のものがあろうか。
 だとすれば、たった一行、「皇位継承は長子相続とする。」これだけで済むことを、ああだこうだと小田原評定している暇があったら、もっともっと緊急に議論し智恵をつかうべきことがいっぱいあるではないか。
 
 ちなみ、長子継承を可とされる、日野原大先生は、ウィキペディアで確認したら、保守思想家、キリスト者にして天皇を崇拝され、憲法に勤皇奉仕の義務を明記せよと主張なさっているとあった。

 女帝様の下なら、この山家の隠居も喜んで皇居の草むしりぐらいには、ご奉仕にでかけたいものである。 

  と思うこの頃、さて皆様はいかがお思いでしょうか?