廃盤日記(増補改訂版)

めざせ!日本全国の中古盤店制覇!(by じみへん)

★BILL EVANS 「At The Montreux Jazz Festival」

2008年01月04日 | JAZZ
 
冒頭の「ミダンミモザレルミシュー」という会場アナウンスで有名なビル・エヴァンスの名ライブ盤です(笑)。

実はこのライブ盤、僕はまだ聴いたことがなかったので、先日読んだ中山康樹さんの文庫本 『新・エヴァンスを聴け!』 の影響で思わず買ってしまった一枚です。あ、よく考えたら今年一番最初に買ったアルバムですね、コレ(苦笑)。

しかし、本作はいろいろなリイシュー盤が出ているものですなあ。近所にある某TSUTAYAの店頭で見かけただけでも、同タイトル盤3種類は在庫がありましたが、さあて、どれを購入したものか。僕でも悩むぐらいですから、普段めったにCDなど買わない人はたぶんCD棚の前で悩まれること必至でしょうね。または何も考えずに同じ内容であれば一番安いのを買ってしまうか(ウチの奥さんがそれです、笑)。音質もジャケットの微妙な色合いや再現度合もまったく関係ないそうです。ある意味、そういう買い方ができる人って、「いやー大人だなー」なんて、僕などは思ってしまいますが(爆)

様々なリイシュー盤が出ているということはより多くの人たちに聴いてもらえる確率が増える訳ですから、ジャズ業界的にはOKなのだと思いますが、それにしてもこのお城のジャケットで有名な 『BILL EVANS At The Montreux Jazz Festival』 ですが、アイテムによってこんなにもジャケットの色合いが違う作品というのも珍しいんじゃないでしょうか。空や湖面のブルーの色がまったく違いますからね。たしかに微妙な色調ゆえ、印刷屋泣かせの難しいジャケットなのかもしれませんがあまりにも色が違い過ぎると、一体どれがオリジナル盤に近い色調なのか判らなくなってしまいますよね(笑)。

そんな中、僕が選んだリイシュー盤は、2004年に「ヴァーヴ誕生60周年記念企画」として、スープリーム・サウンド・エディションの一枚に選ばれた初回プレス完全限定盤の紙ジャケ仕様のものを購入しました。税込価格2000円でした。

本盤はオリジナル盤に限りなく近づけるべく、ジャケットの色調も他盤に比べてややくすんだ淡い水色で再現されております。オリジナル盤を見たことはありませんが、たぶん本盤に一番近いような気がしております。

音質に関しては、現在、僕が一番信用しているDSDリマスタリングが施されており、しかも本作のDSDリマスタリング作業については、日本が世界に誇るエンジニアのオノ・セイゲン氏がニュージャージーのテープ倉庫に厳重に保管されているオリジナル・マスターテープから「1-bit/DSDリマスタリング」を行ったという曰く付きの音源だといいます。従来のCDとは一線を画す、至高のアコースティック・サウンドが再現されます。ついでにいうと、本作には後に収録されたボーナス・トラックの類も一切収録されておらず、オリジナル通りの全9曲収録のままである、という点も高評価です!!やはり名盤はオリジナル通りの収録内容でなければいけません。

尚、今回よくわからなかったのが、この「1-bit/DSDリマスタリング」の意味。リマスター化されたCDでよく「20bit」や「24bit」と書かれているものは目にしますが、「1-bit」という表記は初めて見ましたので、ちょっと不安になりましたよねえ(苦笑)。でも、名エンジニアであるオノ・セイゲン氏の言葉を信じて、購入してみることに。

後でCD内に封入されていたオノ・セイゲン氏によるリマスタリング一口メモを読むと、そこには「スーパーオーディオCDにも採用されている1-bit/DSDのサンプリング周波数は2.8MHz(CDの64倍)。私のように音を扱う職業の人間が、オリジナルのアナログ・テープ(あるいはコンソールのラインアウト)とDSDに記録した再生音を比較しても区別ができないほどのきめ細かさと精度である。自然界に存在するほとんどの音を記録するのに十分な特性を持っている。DSDの印象は極めてアナログに近い。現在考えられるもっともハイ・レゾリューションのフォーマットである。」と書かれていたので、いやー勇気100倍、やはり本盤を選んで間違いなかったと「ホッ」と安堵の胸を撫で下ろしましたね(苦笑)。

で、さっそく我が家のステレオで再生してみましたが、たしかに音がイイ。一音一音の粒立ちといいますか、きめ細かさがたしかに違う感じがします。繊細なジャズ・ピアノの音を再現するには、たしかに最適なマスタリングが施されているといった印象を受けました。通常の家庭用ステレオ・ミニコンポで聴く分には、最高音質のCDではないかと思いますね。

おお、なんだかようやく正月らしい文章になりましたね。やはり年明けは 『ゾンビ』 だの 『恐怖奇形人間』 だのといったタイトルではなく、このぐらい品のいいタイトルで飾らないとイケマセンよね(苦笑)。遅ればせながら、正月らしいディスク・レビューということで本盤を是非とも推薦したいと思います。たぶんまだ店頭にも在庫が残っているんじゃないでしょうか。オススメですよ!!


◎BILL EVANS 『At The Montreux Jazz Festival』 (VERVE, UCCV-9153)

01. イントロダクション/ワン・フォー・ヘレン
02. ア・スリーピング・ビー
03. 伯爵の母
04. ナーディス
05. 愛するポーギー
06. あなたの口づけ
07. エンブレイサブル・ユー
08. いつか王子様が
09. ウォーキン・アップ

<パーソネル>
ビル・エヴァンス (p)
エディ・ゴメス (b)
ジャック・ディジョネット (ds)

※1968年6月15日、スイス、モントゥルー・ジャズ・フェスティヴァルにてライヴ録音

=ヴァーヴ誕生60周年記念企画=
スープリーム・サウンド・エディション
DSD Remastered by オノ・セイゲン

●1-bit/DSDリマスタリングによる至高のアコースティック・サウンド
●オリジナルLPを忠実に再現した紙ジャケット仕様
●オリジナルLPのセンター・レーベルをCD盤面に再現
●オリジナルLPライナー・ノーツの日本語訳
●オノ・セイゲン氏によるリマスタリング一口メモ
●シリーズ監修:岡村融/制作協力:鈴木芳久



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Silver Train)
2008-01-05 11:18:34
これ、良さそうですね。
買ってみたくなりました。
某掲示板に「本当の大人はオトナ買いなんてしない」との投稿があり、深く感銘を受けているところです。
まだまだ真っ当なオトナへの道は険しいですが、本年も宜しくお願い申し上げます。
返信する
明けましておめでとうございます (starfish)
2008-01-05 15:30:41
仰る通り、お正月に相応しい1枚の登場ですね(笑)

青~緑系のジャケットは色調の再現が難しいのでしょうか。そういえば、マイルスのプレスティジ盤、通称「小川のマイルス」も青?緑?という話がありますよね。

はい、名盤にはボーナス・トラックは不要という意見には賛成です。

今年もよろしくお願いします。
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Silver Trainさん (じみへん)
2008-01-06 10:56:12
ええ、これはイイですよ。
是非、購入してお聴きになってみてください。

>「本当の大人はオトナ買いなんてしない」との投稿があり、
深く感銘を受けているところです。

なるほど、仰るとおりで(苦笑)。
そもそも、昔は「オトナ買い」なんて言葉もなかったですしね。僕もまだまだ修行が足りません。
返信する
starfishさん (じみへん)
2008-01-06 11:03:53
あけましておめでとうございます。
こちらこそ本年もよろしくお願い致します。

ジャケットの完全再現が難しいというのは、ジャズだけに限らす、ロック名盤でも多々あることで。
広告業界では常識ですが、人間の肌の色の再現が一番難しいと聞いたことがあります。
たしかに一人ひとり肌の色は微妙に違いますし、刷り具合によって
簡単に色の濃淡が崩れてしまいますから、やはり難しいんだと思います。
オリジナル盤の味わいまで完全再現するというのは、やはり至難の業なんでしょうね。

>名盤にはボーナス・トラックは不要という意見には賛成です。

はい、ご賛同の意見ありがとうございます。
ボーナス・トラック付きはデラックス・エディション盤で聴けばいい訳で、
余計な音源が入ることで、計算し尽くされたオリジナル盤のコンセプトが台無しになってしまいますので、
名盤の復刻版はやはりオリジナル通りでなければダメですよね。
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