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★西田浩著 「ロックと共に年をとる」 新潮新書

2011年01月28日 | BOOK
 
年末年始に読んだ本で、予想外に面白かったのが本書 『ロックと共に年をとる』 (新潮新書)でした。本体価格680円+税。

それこそ60~70年代に活躍した王道ロックの著名なミュージシャン(ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、ジェフ・ベック、ロバート・フリップ、キース・エマーソン、オジー・オズボーン、ニール・ヤング、ポール・アンカ etc.)がズラっと総登場してくる本書ですが、膨大なインタビューをもとに彼らの黄金期についてだけではなく、その後の音楽活動について書かれている点が、実に面白かった。

著者の西田浩氏は読売新聞文化部に所属するポピュラー音楽担当で、現在もその仕事を続けている現役の新聞記者。年齢的にも自分とかなり近いので、リアルタイムで聴いた音楽体験なども結構重なる点が多く、「なるほど」「たしかに」と膝を打ちながらたいへん興味深く読めた。たぶん若い人たちよりも著者と同年代もしくはそれ以上の年齢の人が読んだ方が共鳴する部分も多いのではないかと思う。

たしかに黄金期の演奏は素晴らしいし、同じレベルの演奏を現在の彼らに期待するのは酷だが、現在進行形の生演奏こそベストと考える視点はやはり参考になる。好きなミュージシャンであれば、過去の音源発掘もたしかに魅力的だが、当たり外れこそ大きいが、やはり現在進行形のスタジオ録音作や来日公演などライブを生で楽しむことができる環境というのは、ひと昔前と比べると格段に恵まれていると思う。

ここ最近なんとなくロックから遠ざかってしまっているというような中高年の音楽リスナーにこそ、本書を読んでもらいたい。読了後に無性にライブ会場へ足を運びたくなること間違いなしの一冊です。オススメ。


◎西田浩著 『ロックと共に年をとる』 (新潮新書)

プロローグ・・・ロックは若き日の熱病か

第1章 引き際はいつか
「90歳でも歌うよ」とポールは言った
ビリー・ジョエルの迷い
27歳厄年説
再結成は「遠い将来」と語ったジョージ

第2章 転落のあとに復活がくる
ポール・アンカ、「マイ・ウェイ」を語る
新旧交代の波
サンタナの復活を支えたもの
慎しみ深い好漢ジェフ・ベック
スティーリー・ダンの背伸び

第3章 解散と再結成のロジック
解散は寂しい
スティングの言い分、コープランドの言い分
ミスター・ビッグの不思議
ポール・ウェラーの嗅覚
死と解散
成功の落とし穴
再結成のロジック
「ピートの声でありたい」ダルトリー
ディープ・パープルの二者択一

第4章 プログレの底無し沼に溺れて
プログレの底無し沼にはまって
プログレ天国ニッポン
ロバート・フリップの不機嫌
ジョン・ウェットンのリベンジ
天上から下界に降りてきたイエス
キース・エマーソンの「もし」

第5章 インタビューの裏側
音楽担当記者の仕事
いかにインタビューは成立するか
ロックスターと役者の違い
インタビューは予定調和か
マライア・キャリーがこぼした本音
ジョナサン・デイヴィスは戻って来なかった

第6章 怪人たちの思考
奇人相手は緊張する
やっぱりお茶目なオジー・オズボーン
確信犯としてのマリリン・マンソン
トレント・レズナーの覚醒
異端の系譜を考える

第7章 ロック・ファン年長組の密かな楽しみ
なぜ人はロックから脱落するのか
エアロスミスの浮き沈み
変わりようも楽しい
ニール・ヤングは大いに語った、が・・・
今こそライブに行こう
クラプトンはあちこちに出てくる
ボン・ジョヴィに不明を恥じる
大人もフェスに行こう
フェスならではの出会い

エピローグ・・・ロックは伝統音楽になるのか