道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

「国立トレチャコフ美術館 忘れ得ぬロシア」(Bunkamuraミュージアム・渋谷区道玄坂)

2009年05月03日 | 美術道楽
渋谷の東急Bunkamuraミュージアムで開催中の「国立トレチャコフ美術館 忘れ得ぬロシア」展に行きました。

トレチャコフ美術館はモスクワにある美術館で,ロシア国内の画家を中心としたコレクションで知られています。今回の展示は19世紀半ばからロシア革命までの時期のものが中心です,
クラムスコイやイリア・レーピンを初めとする「移動展派」の作品等が多数展示されていました。
内容的にもリアリズムの絵,肖像画,風景画など様々な作品が展示されていました。
私はロシア美術には,あまり詳しくないので,「移動展派」の解説はwikipediaのものをそのまま引用させてもらいます(正確性はわかりません。)。
「移動派は、1870年にイワン・クラムスコイ、G.ミャソエドフ、ニコライ・ゲー、ヴァシーリー・ペロフらの首唱により、官製芸術の中心地であるペテルブルク美術アカデミーに対抗して、民主主義的な理想のために闘うロシアの前衛的な芸術集団として結成された。ペテルブルク美術アカデミーから追放された14人の芸術家により1863年に結成され,クラムスコイが指導者を務めた「美術家組合」を前身としており,クラムスコイが引き続き移動派を指導した。」
とのことです。


以下は特によかった絵です。
・クラムスコイの「忘れ得ぬ女(ひと)」は,サンクト・ペテルブルグのメインストリートであるネフスキー大通りを馬車で走る女性の肖像画です。物憂げな表情が特徴的です。トレチャコフ美術館で最も人気のある絵で,トレチャコフ美術館の至宝ともいわれる絵画ですが,モデルが誰かということについては定説はないそうです。
忘れ得ぬ女の絵


・ボゴリューホフの「ネヴァ河でのそり遊び」は,ペトロパブロフスク要塞,冬宮などの建物を正確に描写した上で,凍り付いた河の上で遊ぶ人々を描いています。
・シーシキンの「森の散歩」は,草木に至るまで細かいところまで正確に描写された絵です。
・クインジの「エルブルース山-月夜」は,月光に照らされたエルブルース山があたかも富士山のように輝いています。
・ゲーの「文豪トルストイの肖像」は,モスクワのアルバート街にあるトルストイの自宅で描かれたものですが,執筆に余念がないのがよくわかります。私も昔,モスクワのトルストイの家博物館に行った記憶があります。
・レーピンの「レーピン婦人と子供達『あぜ道にて』」は,パリから帰国したレーピンが印象派の影響を受けて描いた絵です。

このほか,絵はあまり印象的ではなかったのですが,カーメネフという名前には聞き覚えがあったので,カーメネフの「冬の道」も覚えました。もちろん私の知っているカーメネフはジノビエフと並んでスターリンに粛清されたあのカーメネフの方で,画家とは関係のない人なのですが・・・

全体としての印象なのですが,いずれも奇麗にまとまり過ぎている絵が多く,個々の作品を見ているといいと思えるのですが,アクのような要素が少なく,しばらくすると皆,忘れてしまいそうです。

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